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 高校二年の夏休みは、飛沢、赤川、石田、そして夏樹の四人で丹後半島の間人(たいざ)への二泊三日の海水浴旅行に行った以外は、四人ともアルバイトに勤しんでいた。要するに四人とも夏休みにもかかわらず、毎日のように学校へ行かなければならないような、部活動は何もやっていなかったのだ。四人ともに運動は遊びとしての域を超えるほどの興味、関心はなく、中学生時代も何も入っていなかった。

 また、あの当時の体育会系の部活は、先輩、後輩の縦の関係が非常に厳しく、一年でも年上の先輩の言うことは絶対だった。それだけその競技への強い想いと、強靭な精神力のない人間は部活動に入っても、苦しいだけだったかもしれない。四人が通っていた中学校の体育会系の部活は、大会では常に上位入賞をする部が多かった。
 文化系にもあまり興味を持てる部活はなかった。絵を描くのも、音符も苦手だった。

 夏樹が籍を置いている、ユースホステル部と、鉄道研究部は、夏休みにおいては自主活動、自主研究ということだった。結局、何もないのである。

「夏樹」
 夏休みが終わって二学期が始まったころだった、安達が声をかけてきた。
 安達も夏樹と同じくユースホステル部と、鉄道研究部に籍を置き週に一度の活動日に顔は会わせていたが、相変わらずユースホステル部には、この二人と逢坂と一年生の何人かが顔を出すだけだった。
「冬か春の休みにスイッチバックを見に行かへんか」
 スイッチバックとは、列車が高低差の大きい急傾斜を、ジグザグに登りくだりする場所である。

「ユースホステル部と鉄道研究部の両方の自主活動が出来るやろ、スイッチバックはこの辺にはないから、一度見て見たかったんや」
「ええなあ、何処へ行くんや」
「島根県の宍道湖のある宍道駅から、県境の岡山側の備後落合駅を結ぶ、木次線の出雲坂根駅にZ型のスイッチバックがあるんよ」

 地図を見てもはっきりとZ型に線路が書かれている。
「そこやったら山間のローカル線やろ、列車の本数は少ないやろなあ。早めに計画を立てんとあかんなあ。岡山側から島根に行って、そや出雲大社にお参りにいこ、あそこは縁結びの神さんやろ、そろそろ彼女が出来ますようにって頼んでこうよう」
 さっそく二人は地図と時刻表を開いた。


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2008.10.27 / Top↑




 山陰方面へはいつも始発の列車に乗って行くのだが、今回は山陰本線の長距離列車の最終便、二十二時ごろ発の夜行列車に乗って行くことにした。夜行鈍行である。
     (残念ながら現在の時刻表には載っていない。いつの間に
     廃止されてしまったのだろうか、またまた、鉄道研究会を
     サボっていました)
 この列車で米子まで行き、伯備線で新見へ芸備線で備後落合へ、そして木次線で出雲坂根駅へ向こうことにした。

 この夜行鈍行は山口県の下関駅までの各駅停車の鈍行で、亀岡あたりまでは会社帰りに一杯飲んでのサラリーマンの乗降があったように思う。その先はほとんど人の乗降はなく、静かに駅に止まり、静かに駅を後にしていく、この連続であった。
 嵯峨駅を過ぎれば、街の灯りはなくなり、車窓からは何も見えなくなる。窓ガラスには車内の様子がくっきりと映り込んでいた。亀岡駅を出たあたりだろうか、車内アナウンスはなくなり、室内灯も少し落とされて薄暗くなる。各駅停車の夜行鈍行なのに、一両だけではあるがB寝台車が連結されていた。

 四人掛けのボックス席には、二,三人ずつの人しか座っていなかった。一人で四人分を独占している人もいた。夏樹と安達も四人分を二人で使っていた。
「今日は空いてる方なんやろか」
 静まり返った車内に夏樹の小さな声が、隣の席の客にも聞こえてしまいそうだ。
「どうなんやろ、分からんけど。結構、揺れるなあ」
 車内アナウンスはないし、駅での出発のベルも鳴らないが、発車の時は『ガッタンゴッゴン』と大きく揺れる。
「今日の運転手はへたくそやなあ」
「そうみたいやなあ」
 夏樹と安達は、窓に映っているお互いの顔を見ながら、苦笑いをした。

「米子に着くのは朝の七時半ごろ。寝過ごさんようにちゃんと降りんとなあ」
「夏樹、心配せんでも大丈夫やと思うで、多分、寝られへんのとちゃうか、走ってる時も結構、揺れるし」
「いや、俺は寝てしまうかも知れへんから、安達、自分に頼むは、起こしてな」




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2008.10.29 / Top↑




 車内のほとんどの人たちはおもいおもいのスタイルで眠っているように見える。何人かのおじさんは、透明のガラスカップに入った酒や、缶ビールを片手に持ち、寝るでもなく、起きているでもないような、赤い顔をしてとても気持ちの良いように見える。まさしく夢心地といったところだろうか、あのおじさんたちには、列車の揺れ具合がちょうど良い感じの揺れ具合なのだろう。

 日付が替わり安達と夏樹は小声で話しをしていた。内緒話に花が咲いたような光景で、学校の教室や街中の喫茶店などで、こうやって男子高校生二人が、お互いの顔を近づけて、小声で話をしていたら、とても滑稽であろう。
 夏樹はうとうとと眠ってしまいそうなのだけれど、缶ビール片手のおじさんのように、列車の揺れが心地良い揺れとはならず、しっかりと眠ることは出来なかった。
 眠いのだけれど、揺れと列車の走行音が、睡眠の邪魔をするのだ。

「安達の言うとおりやな、ひとっつも寝られへんは」
「けどさっき、大きな鼾をかいてたで」
「うそう、俺って鼾をかくのんかいな、なんかショックやなあ、そんなこと言われたん初めてやで」
「五分ぐらいやったかな、すぐに目を覚ましたけどな、少しだけやけど寝てることには間違いないわな」
「そんなこと聞かされたら、気になって寝らへんがな」
「なんも気にすることなかあらへん、見てみ、あそこのおじさん、思いっきり鼾かいてるはる、さっきからずっとや。けど、走行音の方がうるさいから、ぜんぜん気にならへんやろ」

 夏樹から見れば二つ後ろの席で、通路側の肘掛を枕代わりにして、夏樹たちの方へ顔を向けて寝ている、五十代ぐらいのおじさんが見えた。鼾の音が聞こえるが、それ以上に『ガタンゴトン、ガタンゴトン』の音の方が大きく、あまり聞こえてこなかった。

「ほんまやな、静かな部屋で一緒やったらかなりの顰蹙(ひんしゅく)もんかもしれへんなあ。あれ、もしかして自分は全然寝てへんのか」
「うるさいのと揺れが大きさかいになあ、それと少し考えごとをしてたさかいに、目が冴えてしもうたは」
「なんぞ、悩みでもあんのんかあ、俺でよかったら相談にのるでえ」
「おうきに」

『ガタンガガッタガタゴトン』
 大きく左右に揺れて、ポイントの上を通る大きな音がした。スピードも急に遅くなってきたようだ。どこかの駅に入って行ったのだろう。

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2008.10.31 / Top↑



 腕にはめた時計を見ると午前二時を少し過ぎていた。相変わらず窓の外は何も見えない、真っ暗闇だ。夏樹と安達が座っている席の窓からは、駅の名前を確認できるものは何も見えない。まもなく、何の合図も無く『ガッタンゴッゴン』と大きく揺れるけれど、静かに発車した。
 大きく揺れて発車した列車だったが、その後は静かにゆっくりと、真っ暗なホームを進んで行くのが、わずかに確認できた。その時、不意に目の前に駅名表示板が左から右へ流れた。一瞬だったが『玄武洞』と書かれていたのが読み取れた。

 円山川沿いのこの駅の対岸に、天然記念物の洞窟がある。日中であれば、車窓からでも六角形の岩肌が見えるはずである。今はその駅舎の存在を確認するのも間々ならないほどに、あたりは真っ暗である。月も星も見えない曇り空のようだ。

「なあ、夏樹、眠たいかあ」
「今はあんまり眠とうはないで」
「列車が走り出したら、少しぐらい話しても回りに聞こえにくいやろうから、俺の話を聞いてくれるか」
 そう言うとジャンパーの下に着ているウエスタンシャツの胸ポケットから、タバコを取り出した。
「自分ってタバコを吸うのんか」
「うん、少しな」

 安達は銜えたタバコに火を付けて、吸い込んだ煙を大きく天井に向けて吐き出した。それを三回繰り返して、窓のすぐ下に備えられている灰皿で火を消して、その中に投げ捨てた。
「よう分からんけど、まだまだ吸えるだけの長さが残ってんのとちゃうの」
「いや、これだけでええねん。気持ちが落ち着いたわ」

 夏樹が親しくしている友達の中に、タバコを吸うやつは、今までいなかった。中学のときも、今も。いわゆる不良グループと言われるようなれ連中が吸っているのは、知っていたし、見たこともあった。そんな連中とは一線を画したところに居ると思っていたその安達が、いきなり目の前でタバコを吸出したから、少し、ほんの少し別の世界の人間だったのかと驚いた。
「夏樹は吸わへんか、俺は中二のときから吸ってる。意外やったみたいな顔してるなあ」
「う、うん。ちょっと意外やった。勉強もできる方やし、あのグループたちとはまったく関係の無い人間やと思ってた」
 あのグループとは夏樹たちが通っている高校で、有名な悪(わる)グループたちで、そのボス的存在が夏樹のクラスにいた。


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2008.11.04 / Top↑





「俺のいた中学校は市内でもベストファイヴに入るぐらいに、ワルが多いところでな、教室の一階の窓は全部割れていた。辛うじて残っていたのは、職員室だけやった。職員室も毎日のようにどこかの窓ガラスに石を投げつけて割るやつがいた。他の教室は割れたら割れたまんまやったけど、職員室はすぐに直してたから、残っていたというより、すぐに直してたからガラスがあったんやな」
「そんなに荒れてたんか。喧嘩も、けっこうあったんか」
「そやなあ、大きな喧嘩はあんまりなったけど、小競り合いは毎日、どこかであったなあ。『メンチ切った』とか言うて、些細なことで大きな声出して、ヤクザみたいな啖呵を切ってるやつばっかりやった」

 当時、安達が通っていた中学だけではなく、各地の中学校が荒れていたようだ。夏樹の居た中学校にもツッパッタ連中はいた。足が二本も入りそうな太いズボン、膝ほどもある長い学生服。その裏地には竜や虎の刺繍が施されていた。『南無阿弥陀仏』なんていう刺繍をしていたものもいた。また、頭髪はパンチパーマに剃り込みを入れた前髪、眉毛は無く、フレームの上部が前よりに四十五度に傾いた伊達眼鏡をかけていた。

 そんな連中が授業にもあまり出ないで、校内をうろうろしていた。夏樹も中学校に入学してすぐに、「おい、俺のこと見てたやろ」と言いがかりを付けられて、殴られそうになったこともあった。

「俺は入学してすぐの時に、髪を櫛でキッチリと分け目を入れて梳かして学校に行ってた。そしたら三年生にいきなり叩かれた。『なんやその頭は、なんや腹立つなあ』って吐き捨てるように言うて、どっかに行きよった。俺の歯が一本折れたんや」
「ええ、ちょっとひどすぎるなあ」
 その三年生は卒業後に障害事件で新聞沙汰になったようだ。
「それからは、いつも髪をボサボサにして、梳かしたことはなかった。そしたらある日に俺を殴った奴が、三人の子分見たいなんを連れて歩いて来たから、廊下の影に隠れて見ていたら、子分みたいなんの一人が小学校の時の友達やったんや」
「その友達って、小学校のころから悪かったんかあ」
「いいや、俺よりもおとなしかったけど、勉強はあんまりでけんかった」


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2008.11.05 / Top↑





 安達よりおとなしく、あまり目立つ存在ではなかった彼は、いつの間にか不良グループの仲間に入り、太いズボンを穿き上着のボタンを一つも留めないで、少し伸ばした前髪に整髪料をタップリ付けて、両横を上の方へかき上げた、いわゆるリーゼントにしていた。ボス的存在の後ろに立ち、風を切って歩いていた。
「なんであいつが、あのおとなしかったあいつが、と思った」
「中学校に入ったら、突然、別人のようになってしまう奴っているんだよなあ。あれってなんなんやろなあ。小学校とは違う環境への適応ができひんから、戸惑ってしまうからかあ」

 夏樹の通っていた学校にも中学校へ通うようになると、別人に変化してしまった奴がいたのだ。
「環境の変化もやろなあ。中学校に入ると多くの人はいろんな変化がおとずれる。環境もやけど、体の変化、背が伸びて、いろんなところに毛が生えてきたり、男は声が変わったり、女は胸が大きくなってきたり、無意識に異性を気にするようになったりせえへんかったか、疎ましいような愛しいような、もやっとした感じなかったか」
「ん、あったあった。今まで一緒に走り回って遊んでた近所で同い年の女の子を、女として意識をした存在になったなあ。今思えばあいつへの想いが初恋なのかなって」

『ガッタンゴッゴン』
 大きく揺れた。どこかの駅に停車していたようだ。相変わらす窓の外は真っ暗でなにも見えず、何処の駅だったのか確認することは出来なかった。そういえば夏樹の後ろの方から大きな鼾が聞こえていたようだが、いまの大きな揺れで目が覚めたのだろうか、突然聞こえなくなった。

「二、三年生がものすごい大人に見えたりもしたやろう」
「いままでの小学校では、幼稚園から上がったばかりの小さい子もいたから、今の上級生が大きくて、大人っぽくて、なんか怖いような感じもしたもんなあ」
「そういう変化に戸惑って、ちょっとしたきっかけで、自分も大人になったような気がして、ああいう格好をして、ツッパッて親や先生に反抗することが、大人なんやて思う奴もいると思うんや」
「それが思春期、青春てかあ・・・」



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2008.11.07 / Top↑





『ゴウウウウーーーー』
 トンネルに入ったようだ。夏樹の声が聞こえなくなった。二人はトンネルを抜けるまでの間、話をするのを止めた。あまりの騒音で何を言っているのか分からなかったからだ。
「なんやえらい長いトンネルやったなあ」
『ガタンガガッタガタゴトン』
 大きく左右に揺れて、ポイントの上を通る大きな音がした。しばらくして駅名表示板に『柴山』と言う字が読めた。

「柴山駅か、もうすぐ餘部の鉄橋やなあ。安達のその友達も、なんかのきっかけがあったんやろなあ」

 ある日、学校から帰る時に安達はその友達と一緒になった。お互いに昔からの仲の良い友人としての会話がはじまり、彼は小学校のころとなんら変わらない様子で、安達と話をしながら歩いた。すると少しうつむきがちに寂しいそうな声で、太いズボンを穿くようになった理由を話しはじめた。
「こうしてると楽なんや」
 彼は中学校に入ってすぐに、このワルボスに変な言いがかりを付けられて、殴られたのだ。それからも学校内で会う度に、校舎の影に連れて行かれて殴られたり、小銭を取られたりしたようだ。
「学校に行くのがいやになって、よく休んだんや」
 彼は安達の顔を見ながら言った。
 どうすればこんないやな思いをしなくて済むのか、彼なりに考えた。決して学校に行くのは嫌いではない、できることなら毎日、学校へ行きたいのだ。そして彼が選んだ方法は『ワルいやつの仲間になればええんや』だった。

「ある日、髪を整髪料で固めてリーゼントにして、普通の学生服の下に白地にプリント柄のTシャツを着て、学生服のボタンを全部あけて、少しうつむき、上目づかいにして、両手をズボンのポケットにいれて学校へ行ったんやて。」
「突然そんな格好をして行ったら、みんなが驚いたやろなあ」
「うん。クラスのみんなが呆気に採られ、変な、怖いものを見るような顔をして、彼を遠巻きに見てたそうや」
「そやろなあ」
「けど、喜んで彼を迎えてくれた連中がいたんや。ワルグループのボスとその仲間たちやった。



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2008.11.10 / Top↑





 ある日突然、変わってしまった安達の小学校の時の友達は、ワルグループのボスのお下がりの太いズボンを貰い、やがてお尻全部が隠れるような長い学ランを買って、その連中といつも一緒に行動をとるようになった。当然、今までの友達はみんな、離れていった。でも、変わる以前のように、その連中からいじめらたり、小銭を取られたりすることはなくなった。逆に、取る側の後ろでいつも睨みを利かせていたようだ。

「けどな、あいつ『俺は直接、人を脅したり、小銭を巻き上げたりはせんかった、虎の威を藉る狐を演じていただけや。そうせんと、いつまでも俺が脅されて、いやな思いを毎日することになる』少し涙ぐんだ目で俺に言うんや」
「かなり切羽詰まっての選択やったんやろな」
「ワルグループに立ち向かう勇気も、腕力も、知力も持たない人間の、究極の選択やったと思うで」

『ガッタンゴッゴン』
 大きく揺れたが、柴山駅を静かに発車したようだ。

「それから、そのワルグループが次に狙いをつけたんが、俺やってこっそりと教えてくれたんや」
「えらいこっちゃがな」
「俺かてびっくりして、スーッと血の気がひいたで。これはやばい、何とかせんといかんって。けど俺かて立ち向かう勇気も腕力も何もないから、何日かはなにも手に付かずに、そのことばっかり考えてた」
「ほんで、どんな風に考えたん」
「俺も彼とおんなじようなことしか、思い浮かばんかった」
 
 安達は彼なりの作戦を立てた。急に変わってしまうと、今までの友達を無くしてしまう。だから、安達の友達のような方法ではだめだ。そこで、何気ない素振りでワルのボスのことを聞いて回った。そして自分より腕力の強い奴には、手を出さない、意外と思ったほどたいしたことのない奴なのだ、という情報を手に入れた。

「それで俺は柔道部に一年の二学期から入ったんや」
「えっ、何でそこで柔道部なんや」
「小学校の時の友達で、誰よりも体が大きくて、ちっさい頃から柔道をしていた奴がいてな、中学校でもすぐに柔道部に入って、一年生の時から団体戦の大将をやったこともあった」
「へえ、すごいなあ」
「まあ方法は違うけど、簡単に言えば俺も『虎の威を藉る』ことにしたんや。正面から向かって行っても、争いが日常化するだけやろ」



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2008.11.12 / Top↑


 安達は柔道部に入って強くなって、不良たちに立ち向かう方法を選んだのではなく、おそらく一年生で一番体が大きく、一番強そうな柔道部の友達といつも一緒にいれば、標的にされることはないだろうと考えたのだ。
 もし強くなって正面から向かえば、いくら大したことのない奴でも、あらゆる手段を使って攻撃してくるのではないだろうか、するとこちらも黙ってやられる訳にはいかないので、攻撃することになるだろう。暴力に暴力で立ち向かうと、どちらかが降参するか、大怪我をするまで続く可能性がある。憎しみに憎しみが掛け合わさると、その憎しみはもっと大きな憎しみとなる。その最たる悲劇が国同士の戦争である。
 争いになった最初の理由など大したことではないのだ。しかし、攻撃に対して攻撃すると、始めの攻撃よりさらに大きな攻撃を仕掛けてしまう。こうやってどんどんと大きな憎しみと、争いになっていくのではないだろうか。
 男の面子などは結局のところ、大したことないのだ。

「けど柔道部の練習って、けっこう厳しくはなかったか」
「うん、中途入部やし、あんまり体力には自信がなかったし、はじめの三ヶ月ぐらいは、きつかったなあ」
「そやろなあ。俺の中学校の柔道部には、けっこうワルい奴もいたけど、大丈夫やったか」
「俺のとこもちょっとカッコつけて、流行の服を着たり、基本的に丸刈りの部やのに、『ヘヤー&カット』の雑誌を一生懸命見たりしてる先輩もいたなあ」
「なにそれ」
 夏樹が思わず噴出すように笑った。

「それとタバコを吸ってる先輩が多かったなあ。悪いことといえばそれぐらいで、弱いものいじめしたり、喧嘩したりはせんかったなあ。練習もまじめで、大会ではいつも上位入賞やった」
「たばこかあ」
「厳しい練習の後に一服すると、ものすごく楽になった気がするねん」
「へえ、そうなんか?俺にはわからんなあ」

『ゴウウウウーーーー』
 トンネルに入ったようだが、すぐに抜けた。速度はさほど速くはなかったが、いつもの走行音よりもはるかに金属的な高く大きな音が客車全体に響き渡った。

「ううん、餘部鉄橋みたいやなあ。微かに下の方に家々の明かりが見えるなあ」
「真っ暗で何も見えへんけど、ここが餘部鉄橋なんや、ゆっくり見たいなあ」
「帰りにはここに昼ごろに着くから、駅に降りてじっくり見れるで」




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2008.11.14 / Top↑





 餘部の駅には停車しなかった。駅を通過する時は徐行したけれど、停車しないで次の駅に向かった。

「もちろん中学生がタバコを吸うのは悪いことやし、先生に見つかったら大変なことになったけど、見つからんようにうまいことやってた」
「誰も見つからんかったんか」
「そやなあ、柔道部以外で吸ってた連中は学校で吸うてから見つかって、えらい怒られて、親も呼び出されたりしてたなあ」
「ほな、柔道部は見つからんかったんか」
「うん、学校では絶対に吸わんかったからなあ。それに日に二、三本やったし」
「そしたらお前もその時に覚えたんか」
 安達は小さく頭を下げて、頷いた。
「先輩に強制されて始めた分けやないで、軽く進められて興味半分で吸ってみたんや、そしたら思いっきりむせて、何でこんなんが美味しいんか分からんかたけど、しばらくしてから、その香りがなんとなくリラックスできた」

 その後も安達は時々吸うようになった。ただ運が良かっただけなのか、見つかることはなかった。徐々に常習化していて、止めることが出来なくなっていた。しかし、常に悪いことをしているという罪悪感がつきまとい、その罪悪感を打ち消すかのように柔道の練習に励んだ。

「それで、そのワルグループ達には標的にされんかったんか」
「うん、学校にいる時はほとんど、柔道部の友達や先輩と一緒にいたから、絡まれることはなかったなあ。柔道の練習のことを思えば、あんな連中どうっちゅうことないように思えてきたんや。それだけ厳しい練習やったし、俺にも力がついてきてそんな連中なんか何も怖いことなくなった」
「いろんな自信がもてたっちゅうことやな」
「高校に入ってからは、親父が体を壊したから、家の手伝いをせんといかんようになって、柔道も止めたんやけど、タバコだけはいまだに止められへんのんやあ」
 安達はそう言うと真っ暗で何も見えない車窓を、少し寂しそうに眺めた。

「まあええやん、そんなにいっぱい吸うてるんとちゃうやろ、それに学校では吸ってないんやろ、悪いことには違いなけど、いまどきの高校生はみんな吸うてんのとちゃうの」
 たいした確証もなく、夏樹は少し落ち込んだ安達を励ましたつもりだった。




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2008.11.17 / Top↑


「俺もな、自分自身にそう言い聞かせてはいるんやけどなあ。そしたら最近、中学時代にタバコを吸っていたという情報を嗅ぎつけた奴がいてなあ、『けっこう悪かったんやなあ、今はまじめな振りをしてるだけなんやろ』って絡んでくる奴らがいてなあ、どうやって逃げるか悩んでんねん」
「安達って、とてもクールなイメージがあるんやけど、まじめで以外に考えこむほうなんやなあ」
「クールなイメージってどんなんやねん」
「そんな連中は柔道の巴投げでも掛けて、ぶっ飛ばしてやったらええねん」
「そんなことは出来ひん。武道は人を懲らしめるためのものやない、自分自身を鍛えるためのもんや。それに巴投げなんて、そんな簡単に掛けらる技とちゃうで」
 夏樹は柔道の技の名前で、巴投げしか知らなかった。
「やっぱりまじめなんや、とてもタバコを吸ってる不良高校生には見えへんなあ」
「おいおい、人がまじめに悩みを相談してんのに」

 夏樹の後ろの席で大きな鼾をかいていたおじさんが、急にむくっと起き上がり、すくっと立った。列車の揺れに着いていけずに大きく左右によろめきながら、夏樹と安達の座っている座席の横を通りすぎ、トイレのある乗降デッキの方へ歩いて行った。途中、何度も転びそうになり、座席の背もたれを掴んで体のバランスを整えていた。

「あのおじさん大丈夫かいな、今にもこけそうやで」
「その絡んでくる連中って本村と同じ中学の奴らやろ」
「そうそう、なんでわかんの」
「あいつらなら、大したことないで、俺と同じクラスやけどな、ただそうやって話をしてくるだけで、それ以上のことは何もないで。人のことを色々と詮索したいだけやねん。ほんま、適当に話を合わせとけばええねん」
「ほんまかいな、夏樹の言うこと信じるで」
「元M中学の豪腕柔術師が、あんな奴らごときに、なにをビビッてんねん」
「なんやそれ、俺はもともとビビリや、小心者なんや、ほっといて」
「そうそう、それでええねん『ほっといて』て言うてたらええやんか」

 その時さっきトイレに行った夏樹の後ろの席のおじさんが、座席の背もたれを掴んで体のバランスを整えながら、夏樹たちの横を通り過ぎて行った。



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2008.11.19 / Top↑



 車内で話をする人は誰もいなかった。時々、何処からか鼾が聞こえてきた。
 車窓には夏樹と安達がぼんやりと映し出されているだけで、外の景色は何も見えない。ようく目を凝らして窓の外を見ていると、電柱につけられた裸電球や、横断歩道を照らす明るい光、夜中に走る車のライト、消し忘れたのか家の外灯などが時々見える。

「まだ、三時過ぎかあ、外は真っ暗やなあ」
「四時半ごろに鳥取で、七時半ごろに米子やろ」
「米子の二つ手前の伯耆大山で伯備線に乗り換えて新見へ、そして芸備線で備後落合、木次線でいよいよ出雲坂根の駅に着く。昼ごろにはつくはずやなあ」
「さすがに夏樹やな、時刻表が頭の中に入ってるみたいやなあ」
「好きこそものの上手なれ、って言うやろ。ところでさっきの話は気がすんだんか」
「ああ。『ほっといてぇ』やろ」
「そう、その調子や『ほっといてぇ』や」

 二人は顔を見合わせて小さな声で笑った。その時「ゴゴゴーーーーー」とトンネルに入った。夏樹はここぞとばかりに大きな声で笑った。安達もその声につられて大きな声を出して笑った。

「ほな少し寝よか、まだ伯耆大山までは三時間ぐらいあるしなあ」
「そやな、寝よか、おやすみ」

 二人は通路側の肘掛を枕代わりに、窓側に足を伸ばし、眠ることにした。
「なあ安達、俺が鼾をかいてもほっといてな、うるさいかも知れへんけど、列車の音よりは静かやと思うから」
「ああ、俺の方が大きい鼾をかくかもな、その時はほっといてやあ」



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2008.11.22 / Top↑





 肘掛の枕は硬く、少し窮屈だけれど、それ以上に睡魔が勝り、わずかな時間ではあったが熟睡したようだ。どこかの駅を発車する時の大きな揺れで目が覚めた時には、列車の進行方向左の山々の間から、登ったばかりの眩しい日差しが、車内を照らしていた。

「朝になったな」
「夏樹、ここは何処や。ぐっすりと寝たけど、まさか乗り過ごしてへんやろなあ」
「大丈夫や、いま六時半やから」
「伯耆大山駅では、乗り換えにあんまり時間がないんやろ」
「十分ぐらいかな」
「今のうちにトイレに行ってくるは、顔も洗わんとなあ」

 伯耆大山駅からの列車は、新見行きの三両編成のディーゼルカー。休日の早朝だからなのか乗客はまばらで、三両に散らばっている人たちを一両にまとめても、まだ全席は埋まらないだろう。平日のこの時間帯なら高校生の黒や紺色の制服で埋め尽くされているのだろうか。
 伯耆大山駅を出てすぐに、雪をかぶった大山が見えてきた。中国地方の最高峰、だったよなあ。たぶん。

「新見駅では乗り換えに一時間ぐらいあるから、売店でパンでも買って朝飯にしようか」
「そやな、それがええわ。腹が減った」

 新見駅に着くまでにいくつかの駅に停車したけれど、乗降客はほとんどなく、新見に着いた時には各車両に十人ぐらいの人しか乗っていなかった。国鉄時代の話です。

 新見に近づくにしたがって、線路の両脇に山が迫って来た。
 後々になって知ったことだが、この辺りの鳥取、島根、岡山、広島の県境周辺はあの有名な探偵『金田一耕助』が、たびたび活躍した地である。映画やテレビで見たことがあるような風景が車窓からうかがえたように思う。
 そして、今目指しているスイッチバックのある出雲坂根より三っ目の駅,亀嵩駅は、松本清張先生の『砂の器』の舞台になった場所である。記憶違いでなければ、この映画を初めて見たのは中学校か高校の時の芸術鑑賞会だったと思う。
多感なる思春期にあの映画を見たときは、十代なりにいろんなことを考えさせられて、ある意味、カルチャーショックを受けたように思う。

 新見に着いた時は、もう九時を過ぎていた。この駅の売店でアンパンとコーヒー牛乳を買い、少し遅めの朝飯となった。



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2008.11.25 / Top↑





 新見から備後落合への列車もディーゼルカー三両編成だった。こちらも乗客は少なく、車内はがらんとしていた。
「なんか山ばっかりやなあ」
「中国山地を横断中やからな、けどこの辺ってあんまり高い山がないのか、何処にでも道路があって家があって、それなりに標高は高いんやろうけど、すごく周りの山が低く感じるなあ」
「そらあ信州の山々よりは、はるかに標高が低いし、尖がった山もないから山頂付近にも、道があって、家があるんやろなあ」
 安達はそう話しながら、ジャンパーの下に着ているウエスタンシャツの胸ポケットから、タバコを出した。

「安達、俺といる時は吸うてもええけど、他の奴といる時は我慢しいや。ましてや学校では絶対に吸うなよ、そうせんと、ややこしい奴らに、またからまれたりするで」
「ああ、分かってる」

 備後落合に着いた時には、昼時を少し過ぎていた。駅の立ち食いそばで昼食を済ませ、木次線に乗りいよいよスイッチバックのある出雲坂根駅に向かう。
 木次線はディーゼルカー一両だけの、ローカル線である。今の時刻表を見ても、備後落合から、宍道までの列車は一日四本しかない。
 当時の時刻表がないので、不確かではあるが、あの頃は広島からの急行も走っていたように思う。

 備後落合駅を出てからしばらく走っても、あまり速度は上がらなかった。かなり勾配が大きいようだ。一両のディーゼルカーの車内は、今までの列車以上に人が少なく、車掌さんも客室の座席に座り、雑誌を読みはじめる始末である。(職務中にそんなことしていてイイのかな)
 列車の速度は上がらないが、エンジン音は今までになく、唸るような大きな音を出していた。勾配の大きさをエンジン音という形で表現しているようだ。
 右も左も山ばかりの風景の中をゆっくりと、そして確実に前へ進んでいくディーゼルカーはようやく出雲坂根の駅に着いた。



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2008.11.26 / Top↑





 一両編成のディーゼルカーが停車した。駅に着いたと思った。しかし駅舎らしき建物もなく、ホームも見えない。どうしたのだろう、と思って車内や、窓の外をキョロキョロしていると、運転手さんが運転に使うレバーを持って、小走りに後ろへ行った。すると後ろからは車掌さんがまた、小走りに前へと走って行った。
 まもなく一両のディーゼルカーは今まで走っていたのとは逆の方へ動き出したのだ。

「いよいよこれがスイッチバックの最初の折り返しなんや」
 夏樹と安達は興味津々で、まだ山のあちらこちらに雪が残っていて、外は寒い。しかし、そんなことなどお構いなしに窓を大きく開けて、進行方向の左側に身を乗り出すように外を見た。
「この列車は下ってるけど、左側に上って行く線路が見えるで」
 夏樹の声が少し浮付いているようだ。
「そやなあ、ここを下って今、最初の折り返しで、さらに下って出雲坂根の駅に入っていくんやな」
 下りの線路をエンジン音も静かに、ゆっくりと進んだ、まもなく大きなダブルクロスのポイントを超えて小さな駅に滑り込んだ。

 駅舎も小さく、狭く短いホームにはこのディーゼルカーに乗ろうとする人はなく、降りたのも夏樹と安達だけだった。
「どちらへ行かれるの」
 駅員さんが声を掛けてきた。
「いえ、どこへも行きません。この駅に来たんです」
「じゃあ降りないの」
「いいえ降ります」
「降りるのだったら、切符を下さい」
「いや、駅からは出ません。次の下り列車が来るまで、この駅にいます」
「次の下りは二時間後にならないと、来ないですよ」
 胸の名札には駅長と書いてある。小さい駅だから駅長さん一人で何でもやらなければならいのだろう。

「二時間後ですか、それはまずいなあ、出雲まで着かなくなっちゃうなあ」
「夏樹、そこまでは計算せんかったんか」
「今乗ってきた列車は、登りの急行がくるので、ここに三十分止まってますよ」
 駅長さんが教えてくれた。
「えっ、三十分ですか。じゃあこの列車が出発するまで、この辺りをうろうろしています」

 夏樹と安達はカメラを取り出し、出雲坂根駅のホームを走り出した。



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2008.12.01 / Top↑



 列車が五両も止まれば一杯になるような短いホームの端から端までいったり、小さな駅舎から外に出て見たり、カメラを片手にうろうろしていると、『プアーーン』登りの急行列車がゆっくりとホーム入ってきた。
「駅長さん、まだ十五分しか過ぎてませんけど」
「先にこの急行が出発して、十分後に下りが発車します。だから、まだ大丈夫ですよ、ゆっくりと写真を撮って下さい」
「じゃあまだうろうろできるなあ」

              出雲坂根4            出雲坂根3


「急行が発車して五分後にここへ来てください、あそこをこの急行列車が通るのが見えますから」
 といいながら駅舎とは反対側の山の上の方を駅長さんが、指差しして教えてくれた。

                           出雲坂根5


 ホームのずっと上の山の斜面を通る急行列車も撮し、小さい駅のダブルくロスも撮した。夏樹と安達はカメラをバッグに片付けて下りの列車に乗り込んだ。
「駅長さん、ありがとうございました」
「いえいえ、良い旅をお続けください」


                           出雲坂根2



 下りの一両のディーゼルカーは、定刻に宍道駅を目指して発車した。


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2008.12.04 / Top↑

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