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 今回は小説のような旅の始まり六章を含めて三回訪れた「餘部鉄橋」の写真を特集しました。
 もっと多くの写真を撮ったと思ったのですが意外に少なく、残念です。おそらくどこかなに紛れ込んでいるのでしょう。
 いずれも三十年も前のネガをスキャンしたものです。画質はかなリよくないですが、来年には架け替え工事が完了するとの情報ですから、いずれも今となっては貴重なものだと思います。
 また、どこからかネガが出てきた時にはアップしたいと思います。

 「小説のような旅のはじまり七章」も引き続き書いていきたいと思います。宜しくお願いします。
  (画像をクリックすると大きくなります)

餘部a
       餘部B
                  餘部C
餘部d
        餘部E
                  餘部F
餘部g
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                  餘部5
餘部鉄橋2
        餘部鉄橋1




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2009.08.12 / Top↑
 石田は一人旅に来ているかのように、夏樹と飛沢の方には顔を見せることなく、年上の美人さんとの会話を楽しんでいた。
「なんで石田があんな可愛い人と楽しそうに喋ってんのう」
 飛沢は悔しい気持ちを夏樹にぶちまけた。
 夏樹たちは二人の会話に入っていけず、悔しい思いと、長旅の疲れが体中に出てきたのか、車窓を楽しむこともなく、うたた寝をしてしまった。

 二人がうたた寝から目が覚めたのは、京都市内に入ってからだった。
「そろそろやなあ。飛沢、もうじき着くで」
 夏樹が見慣れた車窓ではあるが、夕暮れとなった風景が旅の終りを、いっそう寂しいものにしていた。
「帰ってきたかあ。あれ、雨が降ってんのとちゃうか」
 八日間の旅の途中には一回も降らなかったのに、まもなく終わろうと言う時に音もなく静かに、弱い雨が地面を濡らしていた。
 飛沢は夕暮れの見慣れた車窓に雨が降っていることを、通路を挟んでの隣に座っている石田に教えようと思ったその時、そのもう一人隣の年上の美人さんのことを思い出した。
「石田」
 右手側から左手側の石田に体を向けながら飛沢が石田を呼んだ。
「あれ、お前の隣にいた可愛い人はどないしたん」
「あの人は亀岡駅で降りはったで」
「何の話をしてたんや、随分と楽しそうやったけど」
「映画の話ばっかりしてた。あの人が好きな映画と、俺の好きなのとがだいたい一緒でな、特にマカロニウエスタンがお気に入りやそうや。ほんでな・・・」
 石田がそこまで言ったときに夏樹が石田の話しを止めた。
「京都駅に着いたで、降りるぞ」
 大きな荷物を担ぎ狭い通路を三人は出口に向かった。
「名前とか聞いたんか」
 石田の前を歩く飛沢が言った
「いいや、名前は聞かへんかったなあ、映画の話に夢中になってて、聞くのを忘れてたは」
「あほやなあ、なんで聞かへんねん」
 旅は道ずれ、いつかまたどこかで逢えるかも。

小説のような、旅のはじまり 六章の終り


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2009.08.10 / Top↑
 京都行きの特急「あさしお」の車内は五割ほどの乗車率で、香住駅を出て二つ目の停車駅、城崎駅で十人ほどが乗ってきて六割ほどの乗車率になった。
 春休みで自由があるのは学生ぐらいで、世間的には平日である。また、今の時季は桜詣でにはまだ早いし、スキーも終わっている、観光、行楽シーズンの狭間でもある。混雑することはない。
 城崎駅の先の豊岡駅を過ぎればほとんど乗ってくる人はいなくなる。空いてる席を有効に利用して、三人が向かい合って座ることも出来るのだけれど、出来ないというか、したくない訳が出来てしまった。
 城崎駅から乗車した人が石田の隣の窓際の席に座ったのだ。歳は石田たちよりも少し上でおそらく大学生だろう、背が高く細めのスタイルに真っ直ぐに伸びたロングヘヤー、黒縁のメガネをかけている。清楚で知的な美人さんだ。何のためらいもなく切符に書かれている席番号を確認して、石田の隣に座った。
 そんな美人さんが石田の隣に座ったことを、夏樹と飛沢は城崎駅を出てから三十分も過ぎてから気が付いた。

 夏樹も飛沢も席に座ると直ぐにうたた寝をしていたから、城崎駅で石田の隣に人が座ったことに気がつかなかったのだ。石田の隣に座っている美人さんの存在を最初に気が付いたのは飛沢だった。
「おい夏樹、寝てる場合とちゃうで、ちょっとあれ見てみ」
 飛沢が夏樹の肩を叩き話しかけてきた時、ちょうどトンネルの中に入った。
「なんやあ、トンネルやからなんも聞こえへんなあ」
 夏樹が大きな声で言って飛沢の方を見た、その時石田が隣に座っている美人さんと笑顔で会話をしていることに気がついた。
「おい飛沢、どないなってんねん。石田が何であんな美人さんと楽しそうに話しをしてるんや」
「俺かて今、気づいたんや、いつの間にあんなに仲ようなったんやろ。俺たちが入っていく隙がないやないか」
 今回の旅で石田は初対面の人と話をするのが苦手だと宣言して、ユースホステルでのミーティングに参加しなかったり、拒んだりしていた。その石田が、たまたま隣り合わせた人と旧知の知り合いのように会話をしている。飛沢と夏樹が不思議そうに見るのは自然である。


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2009.08.08 / Top↑
「飛沢、上りの鈍行列車が来たで、カメラの準備はええのんかあ」
 夏樹の声に俊敏な動きで反応した飛沢は、前もって決めておいた撮影ポイントへ、カメラを持って走って行った。
 当時は乗降客などほとんどいなかった。ましてやこの小さな駅に何時間も滞在して写真を写している者などはなく、たまに乗り降りする人たちには不思議そうな顔で見られていた。
 そんな餘部鉄橋も平成二十二年には、コンクリート製の新しい鉄橋に架け替え工事が完了するらしい。そのため、数年前から鉄道ファンのみならず、一般の観光客も多く訪れるようになったそうだ。駅から少し山のほうへ登ったところには、展望台もあったようだが、夏樹たちがカメラを持って何時間も居た頃にはなかったはずである。

「次が来る前に俺は下まで降りて、鉄橋を下から写したりしてくるは」
 夏樹が上りの鈍行列車の最後尾が鎧駅側のトンネルに入ったのを見とどけてから、カメラを持って走って行った。
「俺も」
 夏樹の後を、飛沢と、石田も走ってついて行った。
 行きは良いよい帰りはつらい、細く急な山道を登って駅まで戻ってきた時には二時を過ぎ、まもなく上りの鈍行が入って来た。これに乗って香住駅まで行き、京都行の特急「あさしお」に乗る。

 香住駅の切符売り場で周遊券を見せて、特急券だけを買う。一両の真ん中あたりのA,B,C,
の三席分の切符を渡された。その三枚を扇型に広げて裏側が見えるように飛沢と、石田に差し出した。その結果、窓際に夏樹、その隣に飛沢、通路を挟んで石田が座った。



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2009.08.06 / Top↑
「おう、でかい鉄橋やなあ。それに鉄橋の下は川やないんや、真下に民家があるやんか」
 石田は餘部鉄橋に来るのははじめてである。今までに見たことのない大きな鉄橋に圧倒されてしまい、石田にしては珍しく感情を前面に押し出して来た。
「久しぶりやなあ、何回見てもこの鉄橋はすばらしいわ」
 飛沢がここへ来るのは二回目である。いつの間にか彼も立派な鉄ちゃんになってしまったようだ。いつ列車が来ても良いように、さっそくカメラを出し準備を始めた。


餘部鉄橋1

「のどかやなあ、山と海に囲まれた小さな漁村、まるで映画のロケ地みたいやなあ」
 石田にとっては列車が来ることは二の次のようだ。映画のロケーションとしての鉄橋を見つめているようだ。
「昔はここに駅がなかったらしいんやけど、それでここの地域の人たちはこの鉄橋を渡り、向こう側にあるトンネルの中を歩いて二キロほど東にある鎧駅まで行ったらしいは」
「そんなん怖いなあ、いつ列車が来るか分からんのにこんな金網の上を歩いて行くのんかあ、俺はよう歩かんわ。けど今の夏樹の話を元になんか物語が出来そうやなあ」
「石田は汽車や電車には興味がないのかあ」
「あんまりないなあ、それよりも何でこんな人が少ない田舎の村に、東洋一なんて言われるような大きな鉄橋が、何十年も前に造られたかと言う歴史に興味があるなあ。夏樹、いつこの鉄橋が造られたんやあ」
「ええっと、それはやなあ、知らん」
 石田の突然の質問に夏樹は困ってしまい、今までこの鉄橋のことを石田のような角度から見たことがない自分に呆れてしまった。

餘部鉄橋2

「腹がへったあ」
 飛沢が突然、大きな声で言った。いつもの腹へらし怪獣の登場だ。
「もう昼時やからなあ。けどこの辺に食堂なんかあったかなあ」
 十二時を過ぎている。夏樹も少々腹が減ったようだが、この当時はコンビニなどが普及する以前の話だ、現在でも小さな漁村である、ないのだろうか。
「二時過ぎの上り列車に乗って香住駅まで行けば、なんなと食い物があるやろうから、それまで我慢するしかないなあ」
 夏樹にそう言われて飛沢は元気をなくし、ホームのベンチに寝転んだ。



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2009.08.04 / Top↑

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