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 キーボードだけで演奏されている『翼を下さい』のイントロをバックにバンドのリーダーがひとことだけ言った。
「いつも最後はこの曲ですよね」
 再び初めからイントロの演奏が、さきほどよりは大きな音で始まった。さらにベースの音も加わった。この選曲に誰も反対することなく、大合唱がゆっくりとはじまった。半数以上の参加者が二回目、三回目、またはそれ以上に毎年ここで新年を迎える常連客たちだ、いつも最後にこの曲で終わることを知っているし、コンサートの途中では歌うことのない一曲なのだ。これ以外の曲をリクエストしたのは今回が初めての参加者だということになる。中学校の合唱コンクールなどでも歌われる名曲だ、最後を飾るにはこの曲が最適のように思えてきた。

 一番の歌詞を歌い終わり、二番に入りいよいよサビのところにはいってきた。
「この大空に翼を広げ、飛んで行きたいよ、悲しみのない自由な空へ翼はためかせーーー」
 オリジナルのレコードなどを聞くと、この部分の歌詞が二回繰り返されて、三回目が始まるとフェード、アウトしていくようだ。また、赤い鳥解散コンサートのライブの模様をエアチェックしたものを聞くと、二回繰り返した後に「ゆきたいーー」で終わっている。

(余談になるが、今回のブログを書くにあたり、上記二つの音源を聞き比べ、浜名湖ニュー、イヤー、イヴ、コンサートの歌詞本とCDの歌詞本を見たのだが、ライブの音源だけが二番の詩が少し違うことに気がついた。二番の始まりが以下のような詩が加わっていた。
「今、富とか名誉ならば、いらないけれど、翼がほしい」
 何十年も前からこの曲を知っているが、今回初めてこのようなことに気がついた。全くの余談でした)

 しかし、今日のニュー、イヤー、イヴ、コンサートではこの部分を十回は繰り返しただろうか、バンドの演奏も止まらないから、みんなが歌い続ける。
「じゃあ、ラストー」
 バンドのリーダーが大きな声で言った。


・拙い文章を読んでいただきありがとうございます。

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2009.11.13 / Top↑