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こんばんは、いつも拙い文章をお読みいただき、ありがとうございました。
今日はいつもと違う記事をお届けしたいと思います。
我が家のアイドルを紹介します。
 
 名前 チョコ 
 犬種 ミニチュア、ダックス
 年齢 4歳
 趣味 寝ること(とにかくいつも眠そうです)
        チョコ①
                      チョコ②
時々、彼の生活を紹介していきたいとおもいます。


今年も今日で終わりですね。
来年も引き続き書き続けていきたいと思います。
どうぞ宜しくお願いいたします。




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2010.12.31 / Top↑
 夏樹はモジャヒゲ男の話を聞きながら、スウェットのズボンのポケットから煙草を出し、潰れた紙の外箱に開けられた穴に指を入れて、一本の煙草を取り出した。少し曲がった煙草が最後の一本だった。空となった外箱を両手でギュッと捻じり、近くにあったゴミ箱に投げ入れた。
「ナイ、シュート」
 モジャヒゲ男がそう言うと三回だけ素早く手を叩いた。
「おぅ、入ったやんか。ご声援おぉきにぃ、ありがとさんです」
 夏樹は少し微笑んで、親指を上に立てて前に突き出した。
「夏樹さんは、いつまで北海道に居るんですか」
「いつまでって、今日、フェリーで小樽に着いて、明日は小樽まで戻って、あさっての朝のフェリーに乗って帰るんや。そやから北海道に五十二時間ぐらいしか居られへんなあ」
「ええっ、たったの三日だけなんですか、せっかくここまで来たのに、二泊して帰っちゃうんですか、なんとももったいない」
 モジャヒゲ男はそのモジャモジャのヒゲを右手で二回なでた。
「そやかて、しゃあないやんか、それが社会人の現実ちゅもんや。それでも五日間の盆休みをフル活用をして、やっとここまで来たんやから。ギリギリのスケジュールなんやで」
 夏樹は右手の指に挟んだ煙草を口に運び、煙を大きく吸い込み、そして大きく吐き出した。
「働くようになったら、給料を貰ってお金があるから、ゆっくりと旅ができると思っていたけど、時間がないから、じっくりと旅を楽しむことはできひんのやねえ」
 またモジャモジャのヒゲを右手で二回なでた。
「大学生は、時間はあるけど、お金がないのやろ」
「ええっ、何でわかるんですか、俺に金が無いことを」
 今度はモジャモジャのヒゲを左手で二回なでた。
 


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2010.12.29 / Top↑
「モジャヒゲさんは大阪からどうやってここまで来たの」
「俺ですか、自転車で来ましたやんや。小さいテントと飯盒を積んでエッチらオッチらとチャリを漕いでここまで来ましやんや」
「大阪から自転車で来たんか、何日かかったんや」
「十日ぐらいかなあ」
「たった十日で大阪から襟裳までこれんのんかあ、一日に何キロ走るんや」
「一日に何キロかなあ、百キロは走れへんかなあ」
「一日に百キロも走れへんのやったら、十日で大阪からは来れんやろ」
「そやかて八月一日までバイトをして、その日の夜に出発して襟裳まで来たのが十日やからねえ」
「夜に出発した、もしかして夜行か寝台の列車に乗って、自転車は輪行袋に入れて来たのかな。ほんで自転車で走ったのは函館か、札幌から乗って来たんやろ」
「そうですよ、札幌まで電車で来て、気の向くままにチャリを走らせて襟裳まできたんです」
「なんやあ」
「なんやって、何ですねん。大阪からずっと自転車を漕いで来たと思わはったんですか、そんなもん夏休みだけで北海道まで来て、大阪まで戻れませんやろ」
「それやったら、最初から輪行して電車で来たって言うてえなあ」
「あれ、言いませんでしったかいなあ」
 モジャヒゲ男と夏樹は他愛のない、どうでもいいような話を続けた。
「ここまで来て、三日ぶりにユースホステルに泊まって、久々に風呂に入ってミーティングに出たら、いきなりお母さんが「ヘルパーを募集してます。時間に余裕がある人は、ぜひお手伝いをお願いしまあす」って言わはったから、はい、おれ時間に余裕がある暇人です、って手を上げたのが三日前なんですよ」



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2010.12.27 / Top↑
「夏樹さん、歌が終わってへんのに電気を点けたら、あきませんって」
 ユースホステルに着いた時に玄関で、はちあわせしそうになった、ヒゲ面の関西出身の大学生が声をかけてきた。
「おや、ヒゲ面兄ちゃんやないですか。そやかてあんまりにも長いさかいに、ちょっと飽きてきたんや、なんぼなんでも長すぎひんか、あのサビのエンドレスは」
「今日は特別に長かったような気が、俺もね、ちょっとそう思たんやけどね、ヘルパーとしての経験が浅いから、先輩ヘルパーさんに言われへんでしょ」
 ヒゲ面の男は遠慮気味に小さな声で、夏樹の耳元で話した。
「サビの部分を何回、歌うのか誰が決めてはんの」
「真ん中でギターを弾いていた、シンさんとちゃうかなあ、ヘルパーの中で最古参のシンイチさん。今年が最後の夏とちゃうかな、もう四年生やし」
「そうやねえ、働くようになったら、なかなか旅も、でけへんしなあ」
「たしか、シンさんの大学は東京なんやけど、出身は九州って聞いたなあ。まあ、もし北海道に就職したら、時々来れるかな。けど、やっぱり学生のように、ちょくちょく来ることは、できひんもんなあ」
「ところで、おたくは何時からここでヘルパーをしてはんの」
「おれはねえ、まだ、今日で三日目ですねん」
「そうは見えへんけどなあ、もっと前から、ここにいた人見たいやけど」
「それって、顔が地味やから、おっさんくさいから、実年齢より年上に見えるから、って言うことですか」
「誰もそこまで言うてへんけど、そうとも言うかも」
 もちろんヒゲ面男と夏樹は初対面である、それなのに、この男はよく喋る。初対面とは思えないぐらいに、いろんなことを話してくれる。夏樹もその気さくなヒゲ面男のペースにのせられるように、口がよく回りはじめた。


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2010.12.25 / Top↑
「通り過ぎる風 それが季節 とても寒い季節」
 一番の歌が終わり、間奏の間に二番の詞を読み上げてくれた。すると部屋の周りに居たスタッフが、近くにいる宿泊者の背中を軽く押して、立って歌うように手で合図を送った。スタッフに近い人から順に立ち上がり、手拍子をして読み上げてくれる歌詞に続いて歌った。
「♪♪♪いつか 君が 忘れていった レンガ色のコート・・・」
 三番の歌に入るころにはスタッフの歌声のボリュームが最大になってきた。
「♪♪♪部屋のあかり消しながら・・・・・」
 突然、スタッフが部屋の電燈のスイッチを引っ張って消し始めた。部屋の中が暗くなり、ギターを弾くスタッフの楽譜のところにある小さな灯りだけが点いていた。
「♪♪♪また会うその日まで♪また会うその日まで♪また会うその日まで♪♪部屋のあかり消しながら・・・・・」
 サビの始まりに戻り歌は続いた。同じサビの部分を何回歌っただろうか、くり返し繰り返し歌った。
「ちょっと飽きてきたなあ」
 浜名湖ユースホステルでのラスト曲「翼を下さい」を歌う時も、サビの部分を何回も歌うが、その時以上に何回も歌ったように思う。衝動的に目の前にある電燈の紐を引っ張ろうとしたが、それに気がついたスタッフが、夏樹の行動を静止した。さらにくり返し歌が続いた。
「ラストー!」
 ギターを持ったリーダー格の男の人が大きな声で言った。
「♪♪♪また会うその日まで♪また会うその日まで♪また会うその日まで」
 ようやく終わった。全員が笑顔で大きな拍手をした。あちらこちらの電燈に灯りが点いた。誰が言ったのか「アンコール」の声が聞こえたが、ギターを持った三人は拍手をしながら部屋を出て行った。


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2010.12.23 / Top↑

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