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 ご無沙汰しております。
 東日本大震災により、隣の街で大きな被害があり、いろいろな思いが私の心を落ち着かないものにし、私の居る周辺ではたいした被害がなかったけれど、被災地の方のこと考えると大きく心が痛みました。
 今でもテレビニュースや新聞などで明らかになっていく災害の大きさ、それによる家族や親愛なる人たちとのわかれを、目に耳にするたびに、また心が痛みます。
 その震災の直後からブログの更新を休んでおりましが、それでも多くの方に訪問いただき、ありがとうございました。あれから三週間がたち、私には何が出来るのか、被災地に行ってボランティアをすることなんてできるのだろうか。そこまで出向いていく勇気も行動力もなく、節電や募金ぐらいしか出来ないけれど、もう少し何か出来ないかと考えていました。
 震災の影響で関東地方では計画停電が行われ、そのために工場やごみ焼却場などで操業に支障が出ているとのこと。また、観光地や遊園地にもお客が減り、大幅な減収だという。そんなニュース放送の後半で「私たちは、出来るだけ今までと同じような生活をして元気に暮らし、休みの時は観光地なんかに行ってお金を使わないと、経済が廻っていかなくなるでしょ」
 お金が廻らないと、経済が廻らない。すると日本全部の元気がなくなる、お金を回して日本を元気にすることが、一日でも早い被災地の復興に繋がっていくのではないだろうか。これも復興支援に繋がっていくのかもしれないと思います。
 もちろん今まで以上に節電を心がけ、無駄な買占めはしない。少しでも震災復興の募金に協力します。
 
頑張れ日本!
 被災地の一日も早い復旧、復興をお祈りします。


 という事で「小説のような旅のはじまり」もぼちぼち更新したいとおもいます。また、よろしくお願いします。


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2011.04.01 / Top↑
 敦賀へのフェリーには往きの便の時よりも乗客が多いようだ。盆休みの最終日はどこの会社も同じなのだろうか。
 フェリーに乗るのは二回目となれば、多くの戸惑いもなく時間を過ごすことが出来た。もちろんビールの販売機は一番左のボタンを押した。三回買ったが三回ともよく冷えたビールを飲むことが出来た。そして帰りの便は少し陸に近いところを航行するので、進行方向左側に陸地が見えるし、船内のテレビも日本の放送局の番組が、比較的鮮明に映っていた。
「ヒッチハイクの人はどこから来た人なんや」
「ええと、東京かな。関西弁やなかったように思うけどなあ」
「一時間の間に、どこから来たか聞かへんかったんや」
「そう言うことやねえ」
 二日間の航海中は晴天が続き、甲板上に吹く風は心地良かったが、夏の日差しは暑かった。三十時間後の八月十六日、午後五時過ぎに敦賀港に着いた。午後五時過ぎの日差しは、盛夏のころの同じ時間のそれよりも色が黄色い感じがした。ほんの少しだけ陽の傾きが早くなったからだろうか。
 フェリーを降りそのまま野田の車の後ろについて国道を南へ走った。国道百六十二号線を福井県から京都府へ入るころには、周りの山々に日差しが遮られるようになり、美山町まで来たころにはすっかり暗くなっていた。
 国道沿いのラーメン屋で夕食をすませ、寮へと向かった。明日からは仕事が始まる。旅での楽しかった思いが少しづつ薄れてきて、少しづつ現実に戻っていく自分が寂しくなってきた。「もう一度、北の大地へ、必ず行こう」と心に言い聞かせながら、野田の車のテールライトを見つめながらバイクを走らせた。

小説のような、旅のはじまり 九章-完-


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2011.04.03 / Top↑
 今では週休二日なんていうのは当たりまえになった。もちろん法律でも一週間の労働時間は四十時間と決められているから、どこの会社も週休二日だろう。しかし、この話のころは二十五年ほど前のこと、週休二日を実施している会社は少数だった。夏樹の勤めていた会社は一ヶ月に二回だけ土曜が半ドンだった。半ドンとは半日だけ仕事をして、午後からは休みなのだ。
 ことし一年間の連休は何処かへ泊りがけで旅に出るという計画を実行するためには、祝日と日曜日が連休になる時か、盆と正月、ゴールデンウイークしかない。今と違って泊まりの旅は難しかった。
 この年、盆休みの次の連休は九月二十三日、秋分の日と日曜日の連休だった。八月の終わるころに飛沢に電話をして、一泊の旅を誘った。
「んんん・・・。なんとかバイト先の店長にうまいこと言うて、休みをもらうわ」
「石田も誘ってみるは、あいつは多分大丈夫やと思うんやけどな」
「それで、どこへ行くんや」
「お前の車で何処かへ行こうって、前から言うてたやろ。東京へ行ってみいひんか」
「東京?」
 盆休みに入る少し前に、浜名湖で知り合った岡本から手紙が来ていた。彼女はいつものメンバーと一緒に浜名湖で盆休みを過ごすという内容だった。その手紙の最後に東京に遊びに来ないかと書き添えてあった。もちろん、案内するからとも書いてあった。休み明けに北海道へ行って来たことと、彼女の言葉を真に受け、九月の連休に一泊だけど東京へ遊びに行くと書いて返事を出した。飛沢と石田に連絡をする前に、二人の友達と三人で、車で行くと書いてしまった。


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2011.04.05 / Top↑
「東京まで車で行くんかあ」
「いいや、東京へ行ったことのないもんが、東京都内を車で走るのは無謀やって、言うてたわ」
「誰が言うてはんのや」
「こないだ話をしたやろ、奈良で知り合って、ほんで浜名湖へ行ったって、あの時の埼玉の女の人や」
「夏樹の彼女になったんか」
「あほか、そんなんやないって」
「そやかて、その人に逢いに行くんやろ」
「いや、そやのうて、東京へ来るんやったら案内してくれるって、言うてくれたはるだけや」
「ふううん。まあええわ」
「ええことないって、そこんとこはっきりしといてや」
 夏樹の心は少しだけ揺らめいていた。自分では気がついていなかったけれど、飛沢に言われて、彼女になってくれたらいいなあと、どこかの心が、僅かに期待していたような、気がする。
『東女に京男?あれ、反対やったかな』

 岡本が言うには、横浜の桜木町駅の近くに神奈川ユースホステルがある。そこの近くに有料駐車場があるからそこに車を置き、電車で東京まで来れば良いとのことだ。そして一緒に神奈川ユースホステルに泊まらないかという計画だった。桜木町から東京までは三十分ほどで行ける。京都から大阪よりも近い。早速、地図と時刻表、ユースホステルハンドブックを広げて計画を練り始めていた、飛沢と石田の都合を確かめたのは、それから一週間後のことだった。
「横浜のユースホステルに泊まるのは土曜日と言うことは、金曜日の夜に出発するんやな。何時間で横浜につくかなあ」
「五百キロほどやから、休憩時間も含めて八時間もあったらいけるやろ」




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2011.04.08 / Top↑
 夏樹の寮から名神高速京都東インターチェンジまでは、一時間ほどのところだ。そこから横浜インターチェンジ(現横浜町田インターチェンジ)までの営業距離は約四百八十キロメートルある。時速百キロで走り続ければ五時間ほどで着くが、休憩をして運転手の交代をして給油も必要になるだろう。また、横浜インターチェンジから桜木町駅までがどれぐらいの時間がかかるか、そのおおよその時間も含め寮から九時間で着くという計算をした。岡本との待ち合わせは上野駅に九時と決まっていた、桜木町駅から八時に電車に乗れば余裕で間に合う。出発は金曜日の十一時に決めた。
「俺の車でそんな遠いところへ行くのは初めてやな。今から待ち遠しいなあ」
「ところで西日本一周した時につくったユースホステル会員証は持ってるよな、あれを更新せんとあかんからな」
「ああ、あるはずや今度の休みに更新をしてくるは。石田には言うたんか」
「これからやけど、大丈夫やと思うで」
 飛沢との電話のやり取りを終え、すぐ石田に電話を掛けた。二つ返事で了解してくれた。飛沢と同じ大学へ通っている石田は、飛沢のアルバイトの予定に合わせて、アルバイトが休みの日に一緒にユースホステルの会員証の更新に行くと言って、電話を切った。

「夏樹さん、桜木町の次が横浜駅で、そこで東海道線に乗り換えて、東京からは山手線で上野まで来て下さいね。必ず東海道線に乗り換えてくださいよ」
 岡本から電話がかかってきた。
「はい、東海道線で東京、ほんで山手線で上野やね。九時までにはちゃんと着くように行きますから」
 鉄道が好きな夏樹にとっては簡単なことだと、気軽に考えていた。しかしこの変な自信が、のちに大きな間違いを犯すこととなった。



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2011.04.11 / Top↑
 アルバイトを少し早く切り上げさせてもらった飛沢が、石田と一緒に夏樹の寮へ来たのは九時三十分頃だった。二人とも一泊分の荷物をバッグに詰め、車のトランクに入れて来た。
「早かったなあ、出発まではまだ一時間以上もあるけど」
「家で時間を潰しても退屈やからなあ、バイト先の店長が今日はあんまり忙しくないから、帰ってもええって言うてくれたさかい」
「石田、久しぶりやな」
「おおう」
 相変わらず言葉少ない男だ。
 三人は夏樹の部屋でテレビなどを見ながら、一時間と少々の時間をなんとなく過ごした。これから車に乗って出かけるのだから、酒を飲むわけにもいかず、いつものように飲めない酒を飲みながらの馬鹿話はしなかった。車での遠出がはじめてという緊張からなのか、飛沢でさえも言葉が少なかった。
「飛沢、就職は決まったんか」
 夏樹が突然、口を開いた。
「んん、まだや。このまま今のアルバイト先で使うてもらおかな」
「大学を出て、小さな蕎麦屋に就職するんかあ」
「ええやないか、俺には、ああ言う仕事が向いてるような気がすんねん」
「まあなあ、人生いろいろ、俺がとやかく言うことは出きひんからなあ。お前が決めることやしなあ」
「来週な、面接やねん。車の販売の営業職なんやけどな。受かったらそこへ行こうと思うんや。もし、不採用やったら、店長に頼んでみようかな」
 飛沢は珍しく言葉に元気がなく、弱気なところを見せた。
「面接だけか」
「いいや、筆記試験もある。大卒しか採用せんところやし、給料もけっこうええみたいやで」
「それやのに遊びに出かけて、ええのんかあ」
「今ごろ何を言うてんのや、大丈夫やて」
 飛沢はいつものように大きな声で笑った。


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2011.04.14 / Top↑
 十時からはじまったドラマを、他愛のない会話をしながら三人で見ていた。十一時五分ほど前に次週の予告も終わり、夏樹が一番に立ち上がりテレビを消した。
「さあ、そろそろ行きましょか」
 その掛け声のような言葉に飛沢と石田も立ち上がった。部屋を出たところで、近くのお好み焼き屋に飲みに行っていた小田君が帰って来た。
「今から行くのかい。気ぃつけて行ってらっしゃい」
「おぉきにぃ、行ってきます」
 飛沢の車はスカイライン。どのタイプなのかは覚えていない。と言うより夏樹は車にはまったく興味がなく、車種は分かるがその次に来る、GTとかEXって言う車のタイプなどは全く分からないのだ。いまだにタイヤのサイズ表示に使われている三種類の数字の意味が覚えられない。汽車とか電車は少々詳しいのだけれど。
 最初は飛沢が運転をした。助手席には夏樹が座り、石田は後ろに座った。まずは京都東インターチェンジへ向かう。
 政令指定都市である京都は人口こそ多いが、大きな企業より、どちらかと言うと地場産業の中小企業が多い。その当時は市営の地下鉄もなかったし、国鉄の京都駅から西北へ伸びる山陰本線は非電化路線だった。市内の主な交通手段は京都市営バスと一部に民営路線バスが走っていた。しかし十一時も過ぎるとバスの本数は減り、道路を走る車もタクシーが多く、道路の交通量はどこも少なかった。日中の移動よりもかなりはやく目的地へ着くことができそうだ。
「空いてるなあ。もうインターまで来たでえ」
「そやなあ、高速も空いてると楽でええねんけどなあ」



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2011.04.17 / Top↑
 遅い時間とあってか東名高速道は比較的空いていた。乗用車より大型トラックやバスの台数が多いように思う。飛沢は時速百キロを少し過ぎた速さで、快調にドライブを続けた。
「五十キロほどごとに運転を交替しようか」
 助手席の夏樹が言った。
「そやな、まあその時の状況しだいやな。まだ、ぜんぜん大丈夫やで」
 助手席に乗るものは、居眠りなどしてはいけない。ましてや長距離を運転する場合は、助手席に座るものが出来るだけ運転手に話しかけ、運転手が眠くならないようにしなければならない、と思っている。今回の長距離運転が、深夜の移動となると、なおさらである。京都東インターチェンジから高速道に入ったころには、日付が変わろうとしていた。
 夏樹は初めての深夜の高速道路を、乗用車の助手席という特等席で体験できるのだから、眠くなんかならないと思っていた。しかし、それも深夜の一時を過ぎると、瞼が自然に閉じてしまいそうになってきた。どんなに仲の良い友人であっても、長時間の会話を続けるには、新たなネタを探し、そのことについてお互いに盛り上がるような内容でなければ、すぐに会話は終わってしまうだろう。
 ほんの少しでも沈黙が続くと、夏樹の瞼が自然に閉じてしまいそうになるから、睡魔を堪えて何か新たな会話のネタを考えていた。
「そろそろ替わろうか」
「まだ、大丈夫やで。夏樹、眠いんやろ、寝てもええで、俺は運転をするのが好きやから、隣で寝られてもなんともないさかい」
「いやいや、そんなわけにはいかんやろ」
「ほな、俺が夏樹と替わろかあ」
 後から突然、石田が言った。出発してから初めて彼の声を聞いたような気がする。


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2011.04.19 / Top↑
「石田、お前、寝てたんとちゃうの」
 夏樹が驚いた表情で言った。
「少し寝たけど、高速を走るとタイヤの音がうるさいなあ、すぐに目が覚めて、ちゃんと寝られへんもんやで」
 石田は後ろの席の真ん中に座り、運転席と助手席のシートに腕を掛け、前の方に乗り出すようにして話をした。(その当時は後の席まではシートベルトの義務化はされていなかった)
 飛沢は名古屋インターチェンジの近くまで運転を続け、トイレ休憩をするために入ったパーキングで石田と運転を替わった。夏樹は睡魔に勝てず先に後の席で仮眠をとることにした。後ろの席で横になり目を閉じるとすぐに眠りに入った、しかし石田が言うように頭のすぐ下にあるタイヤの回転音が耳に付き、三十分ほどで目が覚め寝ているような、寝ていないような時間が過ぎて行った。
「おや、もう休憩するんか」
 夏樹は突然の車の音の変化に気づいて目を覚まし、起き上がった。夢と現実の時間を過ごしていると、状況の変化に敏感な反応をしてしまう。
「さっきのパーキングでトイレに行くのを忘れててん。急におしっこを我慢できなくなってき・・・」
 車を止めると話もそこそこに石田は飛び出して行った。
「飛沢、いま何時や」
「一時を少し過ぎたなあ」
「真夜中やなあ。けどパーキングには、それなりに車が止まってるんやなあ」
「長距離トラックが多いなあ、大きなトラックばっかりで乗用車は少ないなあ」
「今度はお前が後で寝たら」
「いいや、大丈夫や。それに俺の車やろ、なんとなく隣で見ていたいんや」
「そうか、次は俺が運転するさかいに、その時は隣で寝ててもかまへんからな」
「おう、サンキュウー。気にせんでええから、一晩ぐらい寝んでも、どうっちゅうことないから」



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2011.04.21 / Top↑
「おっ、石田がトイレから出てきたな」
 飛沢がそう言うと、上着の胸ポケットから煙草を取り出し、火を点けた。つられて夏樹も煙草を銜えた。それに気が付いた飛沢が自分の持っていたライターに火を点け、夏樹の銜えている煙草に近づけた。
「おう、サンキュー」
 二人は大きく煙を吸い、ほんの一瞬だけ息を止め、ほぼ同時に大きく煙を吐き出した。たちまち車の中は二人が吐き出した煙が充満してしまった。
「ごめん、ごめん。もうちょっと俺が運転するから、飛沢は寝ててもかまへんで」
「大丈夫やて、時間はまだまだあるから、ゆっくり行こうか」
 運転をしている石田とその隣にいる飛沢は大学時代の話をはじめた。夏樹にはわからない会話だ。聞いていても仕方がないので、時々見える遠くの明かりをなんとなく見たり、台数は少ないが周りの車を見たりしていた。追い越した車を見ながら後方を見ると、ずっと後のほうから乗用車の上に四角いものを載せた車が近づいてきた。ライトが眩しく車体とその上に載っている四角いものが一体となり、シルエットでしか確認できない。
「あれ、もしかして後から来るのってパトカーとちゃうか」
「ええ、ほんまか」
 先に反応したのは石田だった。バックミラーを除き込むように見た。その後すぐに飛沢が後を振り向いた。
「どれや。赤色灯は点いてへんで、違うんとちゃうか」
「けど、あの形はパトカー見たいやけどなあ」
「とりあえず、百キロちょうどで走るわ」
 少しづつパトカーらしき車が近づいてきた。やはりパトカーにそっくりのシルエットである。飛沢ももしかしたらパトカーの可能性があると言った。彼らの車のすぐ後ろまで近づいてきた。





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2011.04.24 / Top↑
「おかしいなあ、似てるけど、なんか違うみたいやぞ」
「暗いし、ライトが眩しくて、ようわからんなあ」
 飛沢は後ろの座席に乗り出しそうになり、目を凝らして見た。
「あっ、違うでこの車」
 夏樹が言った。
「ほんまや、車はスカイラインやなあ。高速道路のパトカーとして使われることが多いんや。けど上に載ってるのは赤色灯やのうて、タイヤやんか。なんでタイヤなんか積んで走ってのんや、紛らわしいヤツやなあ」
「変なの、乗用車の上にタイヤなんか積んで走らんやろ」
 夏樹はゆっくりと前向きに座り直して言った。
 飛沢が車の説明をしている間に、タイヤを積んだ車はゆっくりと追い越して行った。
「だいたい、こんな時間に赤いのを回さずにパトカーが走ってるわけがないやんか」
 石田は安堵したようだ。いつもより声が大きかったようにおもう。

 足柄サービスエリアに入るころには、進行方向の東の空が明るくなり、やがて雲がなく青く濃い色の空に太陽が昇ってきた。今日は良い天気になりそうだ。
 横浜のインターチェンジまでは六十キロメートルほどしかない。このまま走り続けるとあまりにも早く着いてしまう、この足柄サービスエリアでゆっくりと休んで時間の調整をすることにした。
「まずはガソリンをいれようか」
 飛沢がガソリンスタンドへゆっくりと車を進めた。それからトイレに近い所に車を止め、まずは毎朝のお決まりの用を済ませ、洗面所で顔を洗った。
「あっ、しまった、タオルを持ってくるのを忘れた。まあええか」
 洗った顔が濡れたままトイレを出て車に向かい、バッグからタオルを出して拭いた。
 売店に行ったがもちろん店は開店前だ。自動販売機で缶コーヒーを買いベンチに座り、ポケットから煙草を取り出し、火を点けた。三人はベンチに一列に並び、煙草を吸った。吐き出した煙が朝陽に照らされながらゆっくりと空に昇っていった。






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2011.04.26 / Top↑
 六時頃に横浜インターチェンジを出た。地図を頼りに桜木町の横浜ユースホステルを目指す。国道十六号線を二十キロほど走ると着けるはずだが、初めての道だし、京都とは比べ物にならないほどに交通量が多いことだろうと思っていた。
「朝の早い時間やからか、あんまり車は多ないなあ」
 足柄サービスエリアから運転をしていた飛沢が言った。助手席には夏樹が座り、その手元には地図を広げていた。
「このまま国道十六号線を標識の『横浜』を目指していけばええみたいやで」
「夏樹の言う通りに運転するさかいに、ちゃんと案内してや」

 ここへ来る前に予想していたよりも簡単に横浜の市街地に入り、桜木町の駅を見つけ、この日に泊まるユースホステルも見つけることが出来た。しかし、車を止める駐車場が見つからない。いつの間にか関内駅の標識が見てきた。そして横浜球場が見えた。球場の横に車を止め、フェンス越しに中を覗いたが、あまり良くは見えなかった。綺麗な緑色の芝生だけが印象に残っている。
 プロが使う球場を見るのはこの時が初めてだった。その当時は大洋ホエールズ(現、横浜ベイスターズ)の本拠地として使われていたはずだ。関西生まれの小生もご多聞に漏れずタイガースファンではあるが、残念ながらいまだに甲子園球場には行ったことがない。
「横浜球場はここやから、桜木町は・・・、あっちやな」
 球場のフェンスの横に止めた車に戻りながら、手に持った地図を夏樹は見ていた。
「あれって、有料駐車場とちゃうか。
 桜木町に戻っているだろう道沿いで、石田が大きな声で言った。



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2011.04.29 / Top↑

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