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 ようやく駐車場に車を置き、桜木町駅で電車に乗ったのは八時ごろだった。約束の時間まで一時間となった。三十分ほどで上野駅には着くと岡本は言っていた。そして、必ず横浜で東海道線に乗り換えるようにとも言っていた。
「京浜東北線、上り大宮行きがまもなく到着します」
 ホームに上がると構内アナウンスが聞こえてきた。この電車に乗って横浜駅に行き、乗り換えればいいのだと、その時は思った。青い色の京浜東北線の車両に乗ると、乗降口の上にある路線図が目に入った。鉄道好きの人間はなぜかそういうものが気になり、すぐに見てしまう。見なければ良かったのだけれど。
「京浜東北線って上野を通って大宮まで行くんやんか。ほな横浜で乗り換えんでもこのまま乗ってても上野に着くやん」
 このままこの電車に乗っていても上野には着くのだが、関東にお住まいの方はもう気がつかれたであろう。横浜駅から東京駅までは東海道線も京浜東北線もだいたい同じ場所を走っているが、停車する駅が違うのだ。
 東海道線に乗ると横浜駅から四駅目が東京駅だ。所要時間は二十六分。京浜東北線では十三駅目が東京駅で、所要時間は四十二分もかかる。現在の時刻表を調べてこの時間差である。三十年近くも前ならば所要時間はもっと多かったかもしれない。このことに気がついていなかった夏樹は、面倒な乗り換えをせずに、このまま京浜東北線に乗ることを選択し、横浜駅では下車しなかった。
「あれ、今の電車の行き先表示は東京って書いてなかったか」
 横浜駅を出発してしばらくしてからのことだった。
「ううん、そうみたいやなあ」
 飛沢があやふやな返答をした。



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2011.05.06 / Top↑
夏樹たちが乗っている電車のすぐ横を緑色とオレンジ色の電車が、勢いよく追い越して行った。明らかに隣の電車のスピードが速いのは、夏樹たちが乗っている電車が駅に停まるために速度を落としていたからだ。まもなく夏樹たちの乗った電車は駅に停まったが、さっき追い越して行った緑とオレンジ色の電車はその駅には停まらずに走り去って行った。
「どういうことなんやろ。今の東京行きって書いた電車はなんなんや」
 乗降口の上にある路線図をじっくりと眺めた。山の手線の円を中心に四方八方へ伸びる線路と、数えきれないほどの駅名が書かれている。そして京浜東北線と東海道線を見つけた。その時、二つの路線は横浜から東京までは同じ所を走るが、停まる駅が大きく違うということに、初めて気がついた。
「そういうことか」
 夏樹は一人で頷いてしまった。
「次の東海道線が停まる駅は、川崎か。まだしばらくかかるなあ」
 あと二駅で川崎駅につくころだった、また緑とオレンジ色の電車が勢いよく追い越して行った。東京行きと書いてあった。
「飛沢、石田、次の次の川崎で降りるで。ほんで東海道線に乗り換えるで」
「なんでや」
「このまま、この電車に乗ってたら、約束の時間に間にあわへんかもしれんのんや」
 川崎駅で東海道線に乗り換えるために降りたが、次の電車が来たのは十五分後だった。東京駅に着くまでに青い電車を一両だけ追い越したようだ。結局のところ東京駅から上野まで乗った電車は、最初に乗っていた京浜東北線だったようだ。
 なんとも間の抜けたことをしてしまった。




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2011.05.09 / Top↑
 上野駅で岡本たちとの待ち合わせ時間に十分ほど遅れてしまった。駅に着いた時間は約束の時間前だったが、ホームから駅の外へ出るのに時間がかかってしまった。京都とは比べものにならないほどの人の多さと、駅の広さで、さすがの夏樹も迷ってしまい、遅れてしまった。
「おまたせ、岡本さん。遅くなってしもうて、すんません」
「こんにちは、私たちも、いま来たところだから」
「ご無沙汰してます、夏樹さん」
 岡本の後ろから、タナカが笑顔で迎えてくれた。彼女たち二人は社会人になって初めての一人旅で奈良に行った時に知り合った。浜名湖と今日で三回目となる。
「中学時代からの友達でこっちが石田で・・」
「こんにちは、飛沢です。夏樹の彼女はどっちの女(ひと)なんや」
「彼女・・・?」
 岡本が少し微笑んで、不思議そうな顔をした。
「飛沢、何を言うてんねん、誰もそんなこと言うてへんやろ。困ったはるやんか」
「すんませんねえ、こいつがお二人のことを話しする時は、すごく楽しそうやし、美人さんやて聞いてるさかいね、たぶん、どちらかが彼女なのかなあっと思って。それともお前、彼女やなかったら、もしかしたらどちっかの人が好きなんとちゃうかあ。予想通りの美人さんやもん」
「おまえなあ、初対面の人の前で、あること、ないことを、ようそんだけしゃべるなあ」
「あることって、やっぱりどっちかの人が好きなんやな」
「おもしろい人ですね、お二人の会話は漫才を聞いているみたいですよ」
 笑顔でタナカが言った。すると飛沢が左手で頭を掻いて二回頭を下げ、笑いながら「おぉきにぃ」と言った。


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2011.05.12 / Top↑
「さて、どこへ案内しましょうか」
 夏樹と飛沢の漫才のような、つまらない会話を遮るように岡本が言った。ほんの少しの沈黙のあとに夏樹が声を出した。
「浅草の雷門って描いた提灯があるところに行って見たいんですけど」
「浅草の浅草寺ね。東京タワーは見なくていいの」
 岡本が得意気に言った。
「ううん、ここへ来る前に、電車からちょっとだけ見えたから、いいかな」
「はい、俺は原宿の歩行者天国に行ってみたいなあ」
 飛沢が割り込むように前に出て、勢いよく手を上げて発言した。
 高速道を走っている時からずっと晴天が続き、気温も上がってきた。上着として着ていたセーターを脱ぎ、肩から掛けて歩いた。上野駅から地下鉄に乗り三つ目の駅が浅草で、そこからは歩いてすぐに着くのだとタナカが言った。
 夏樹の個人的な意見としては、いわゆる大都会東京というところに興味はなかったようだ。そして東京の観光地として最初に頭に浮かんだのが、雷門と描かれた提灯だった。
「結局、東京って全国から人が集まって来て、その二代目、三代目といった人が多いやろ。そやのうて、昔からの東京と言うより、江戸的なところに興味があるなあ」
「じゃあ、浅草周辺だよね」
 岡本が言った。
「いや俺は大都会東京やな、京都なんかよりも、ずっとトーカーイーなところがいいじゃん」
「飛沢、なんや今の『・・じゃん』は。思いっきり変やで。それとも彼女たちにうけようとしたんか、今の笑い方を見ると、スベッたな」
「うるさいなあ、お前に言われとうないわい」
 また岡本とタナカが苦笑した。さっきよりは受けたようだ。



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2011.05.16 / Top↑
 地下鉄に乗り浅草駅で降りた。銀座線は東京都内を走る多くの地下鉄路線の中では最も古く、日本で最初の地下鉄路線だ。ホームや改札周辺は天井が低く電燈も少し暗かった。柱も鉄骨がむき出しで昭和初期の歴史を偲ぶことができた。(あくまでも三十年ほど前のことで、現在は改装されているのかな)
 地下から地上に上がり浅草寺までの道程にスクランブル交差点があった。当時、京都にはまだなかったようにおもう。信号待ちをしていた場所の対角線上の場所へ渡っても良いのだから、歩行者用の信号が青になると一斉におもい思いの方向へ歩き出した。関西人は目の前の信号が青になるのを待って渡るのではなく、交差する道路の信号が赤になるのを見て渡りはじめる人が多い。夏樹もその一人だった。
「夏樹、どの信号が赤になった後に、俺らの信号が青になるのか、分からへんなあ」
 飛沢も夏樹と同じことを考えているようだ。
 全ての方向から車が進入しなくなり、交差点上には何もなく、静寂の世界となった。その時間はほんの一瞬で終わり、歩行者用の信号が一斉に青になると、目の不自由な人のための音楽が流れ、広い交差点は人が埋め尽くした。周りの人たちの歩くペースに圧倒されてぶつかってしまいそうになり、うかうかしていると岡本とタナカにおいてけぼりにされてしまいそうになった。
「今の信号が青の時に流れてた曲って、『とうりゃんせ、とうりゃせ』とちゃうか」
 飛沢が岡本たちの方だけを見ながら夏樹に言った。
「あつそうか、どっかで聞いたことのある曲やなあとおもたんや。おい、急がんと青が点滅してるで。あれ、石田はどこへ行ったんや」
 夏樹は後ろを見たが石田の姿を確認することはできなかった。


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2011.05.19 / Top↑
 夏樹と飛沢は小走りで横断歩道を渡り対岸の歩道へ辿りついた時、目の前に岡本とタナカとそして石田が立っていた。その石田の後ろに『雷門』と描かれた赤い提灯が見えた。
「これやこれ、赤い提灯。雷門なんや」 
 五人は参道である仲見世へと入って行った。多くの参拝客で賑わっていた。雷おこしや人形焼といった東京土産の店と、扇子や手ぬぐいなどの食べ物以外の土産ものの店が参道の両脇に並んでいた。その先には本堂があり、その手前には線香の煙がもくもくと立ち上がっていた。参拝客はその煙を頭に掛けるような仕草をしていた。頭がよくなるのかなあ、信じるものは救われるのだ。僅かだけれど夏樹は江戸情緒を味わった。
                 
                       雷門

 五人は本堂の前で横一列に並び、御賽銭を入れて手を合わせ、それぞれに祈った。
「飛沢は何を拝んだんや」
「はやく、可愛い彼女ができますように、に決まってるやろ」
「あれ、こないだ俺に紹介した子はどないしたん」
「ああ、あいつはただの友達や、彼女やないで」
「ほんまかいな、ふられたんやろ」
「ちがうわい。おまえは何を頼んだんや」
「おれかあ、悔しいけどお前と一緒や」
「ところでおまえは、どっちが好みなんや」
 飛沢は夏樹の耳元で小さな声で言った。
「あほか、こんなとこで何を言うてんのや」
「そやかて、なんかええなあって言うてへんかったか」
「そやけど、ここで言わんでもええやろ」
「協力をするから、そのためにはどっちが本命なんか聞いとかんと、あかんやろ」
「そうかあ、おぉきに。ええとなあ髪の長いほう」
 夏樹はさらに小さな声で飛沢の耳元で言った。


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2011.05.21 / Top↑
 夏樹と飛沢はこそこそ話をしながら、浅草寺の仲見世を雷門のある方へ歩いた。
「髪の長い方って、岡本さんか」
「おう、そうなんや、お前はどう思う」
「可愛い人やんか、なんかチャンスがあったら、後押しするさかいな」
「ああっ」
「さっきから二人で何をこそこそと喋ってんのんや」
 二人の後ろから石田の声が聞こえてきた。振り向くと岡本とタナカの間に石田が入り、三人がにこやかに微笑んだ。夏樹たち二人がこそこそ話をしている間に、三人は楽しく会話をしていたようなのだ。中学生のころから、石田は意外と抜け目のないところがあった。
「石田、なんでお前が彼女たちの間に入って歩いてんのんや」
 飛沢が言った。
「なんでって、お前ら二人で話をしてるさかい、残った俺と彼女たちが話をするのが自然とちゃうか」
「それはそうやけど、何で二人の間に入ってんの」
「人が多いやろ、ぶつからんように、気をつけて歩いてるうちに、たまたまこうなっただけやけど」
「そうだよ、なんだかお二人の中に入っていけなくて、石田さんに中学生の時の三人の出会いの話を聞いていました」
「おい石田、何を言うたんや、変なことを言うてないやろなあ」
 飛沢がプロレスの技を真似して、石田の首をヘッドロックした。
「言うてへんて、変なことなんか何もしてへんやろ、なんか心当たりがあんのんか」
「いや、ない」
 飛沢はそう言うとヘッドロックをやめた。
「三人とも仲がいいんですね。浅草寺のお参りは終わったから、次は都会らしい東京へ行きましょうか」
 岡本は立ち止まり、大きな声で言った。


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2011.05.23 / Top↑
「おれ、新宿に行ってみたい。お昼のテレビで新宿アルタ前って、よく出てくるんやけど、そこに行ってみたいんやけど」
 今まであまり発言しなかった石田が、大きな声で言った。
「新宿に行って原宿に行きましょうか。じゃあ地下鉄で移動した方がいいわね」
 岡本がすかさずに言った。
「そうすると東京タワーが見えないよ。いいのかな」
 タナカが言った。
「あっそうか、でも原宿から横浜へ行く時に少しだけ見えるんじゃない」
「東京タワーは、見なくてもかまわへんじゃん」
「飛沢、無理して標準語を使うな、思いっきりおかしかったで」
「標準語は難しいじゃん」
「やっぱりおかしいわ。やめとき、ぜんぜん似合わへんし、どっこから見ても関西のヤンキーの風貌やし。その顔からちゃんとした標準語が出てきたら、ものすごい違和感やわ」
「夏樹、それはどう言う意味やねん、俺がそんなにカッコエエっちゅうことなんか」
「本当に面白い人たちですね。なんだっけ、大阪のお笑いの会社に入ればいいのに、ねえ」
 タナカが岡本に同意を求めるように言った。
「いやいや、あそこにはもっともっとおもろい連中がいっぱいいてるから、この程度では話になりませんで」
 石田が微笑みながら、タナカの方だけを見て言った。
「夏樹、石田の今の様子、見たか。なんか妖しくないか」
 飛沢が夏樹の耳元で他の人たちにも聞こえるように言った。
「妖しいって、何が妖しいねん」
 石田は男二人の間に割って入って言った。

 浅草から新宿まで、どの路線に乗り、どこで何回乗り換えたのか覚えていないが、地下から地上に上がった時はビルだらけの所に出てきた。そしてビルしかないのに,
空がとても広く感じたことを覚えている。



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2011.05.26 / Top↑
「なんでやろ。ビルばっかりやのに、随分とすっきりと空が見えるし、広く感じひんか」
 夏樹は立ち止まり、空のほうばかりを見ていた。
「今日はとても天気が良いから、雲ひとつない青空だね。東京では珍しいんじゃないかなあ」
 岡本が少し空を見上げて言った。
「そやけど、道幅は同じぐらいやけど、あきらかに京都の繁華街よりも高いビルばっかりやのに、空がすごく広いとおもわへんか」
「そうかあ、言われて見ればそうかもしれへんなあ」
 飛沢も空を見上げて、その場でぐるりと一回りした。
「電柱と電線がないさかいとちゃうか」
 石田が静に言った。
「あっそうかあ、それやなあ、ぜんぜん無いもんなあ、電線も電柱も」
 大発見をしたような大きな声で夏樹は微笑んだ。
「電柱と電線がないだけで、こんなに空が広く見えるんや。京都の四条通りなんか、電線だらけやもんなあ。あれ、ほな電線はどこにあるんや」
「地下に埋められているんじゃない」
 タナカが言った。その一言で夏樹は一人で喋り始めた。ビルにも地下の部分が何階も作られ、それぞれを結ぶ地下道があり、下水に上水、ガスに電気までが地下に埋まっている。そして何本もの電車が走っているから地下鉄の駅がすごく深いところにもあり、長いエスカレーターに乗ることもある。
「東京の地下を断面図にしたら、面白いやろなあ。京都は難しいらしいで、いまだに地下鉄がないのは、どこかを掘れば何かが出てくるらしいわ」
 (阪急電車は、市内の一部分が地下だった。現在は市営の地下鉄も南北と東西に走っている)
「何かってなんなの」
 岡本が言った。




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2011.05.28 / Top↑
夏樹は一人で喋りまくっていることなど全く気にしていなかった。それどころか岡本が話しの内容に少し興味をもち、質問してくれたことでますます調子に乗り出した。
「遺跡」
「遺跡?」
「それが出てくると、工事を中断して、調査をしてからやないと前に進むことは出来ひんらしいわ。どこを掘っても何かの遺跡が出てくるんやて」」
「何かって、もしかしてお化けかと思っちゃった」
 タナカはなぜか微笑みながら言った。
「まさか、あほなことを言わんといてや、京都の街を掘ったらお化けが出るなんってことはないやろ」
 飛沢は振向き、後ろにいるタナカを見た。そして後ろ向きに歩きながら言った。
「だって、出るって言ったら、お化けしかないじゃない」
「お化けが好きなんですか、タナカちゃんは」
 飛沢は誰とでもすぐに友達になれる。馴れ馴れしいと思う人もいるかもしれないが、たいていの場合、飛沢のペースに飲み込まれていく。
「ううん、お化けとか、妖怪とか、オカルトとか恐いものは大嫌い」
「そうでもないんじゃない。あなた、彼氏と映画を見にいくと、いつも恐い映画じゃん」
「それは、その・・・」
「恐いからと言う理由で、くっつきたいからやんなあ。キャーとか言いながら」
 飛沢はタナカをからかった。
「ええ、彼氏がいたはるんですか」
 石田が立ち止まり、小さな声で言った。
「お化けと言えば、ちょっと面白い話しを思い出したわ」
 夏樹がそう言うと、タナカが両耳を手で覆うって隠した。
「なになに、聞きたい。わたしはそういうの好きなのよ」
 岡本は興味津々のようだ。



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2011.05.30 / Top↑

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