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 会員証を出し住所や名前を宿泊票に書いて女の人に渡した。それと交換にシーツを渡された。
「今日はあなた一人だけだから、ミーティングはしませんから、ゆっくりとしていってください。夕食は六時からということで」
「はい。今日は俺だけですか。すいません、俺一人だけのために準備していただいて」
「そんなことは気にしないでね、それが私たちの仕事なんだから。先にお風呂に入れますよ」
「ありがとうございます。ええっと、部屋はどっちですか」
「その、廊下の一つ目の部屋です」
 重い荷物を担ぎ、シーツを持って部屋へ向かった。建物の外観とロービー周辺の内観は洋風の重厚な木造で、木の温もりを感じることができる。だから寝室も二段ベッドであっても洋風の作りだと思っていたが、部屋は畳を敷いた和室だった。
 合羽を着てはいたが雨の中を走り、時おり雨滴が胸元を伝わりアンダーシャツの前身は濡れてしまった。夏ではあるが少し寒かった。そんな冷えた体には風呂が一番である。荷物を置きすぐに風呂へ向かった。
 木で作った大きな風呂に一人で浸かり、ゆっくりと身体を温めた。とても贅沢な気分を味わうことができた。
 風呂から上がり部屋で横になっていたら寝てしまったようだ、目を覚ました時には夕食時間の六時を少し過ぎていた。すぐに食堂へ向かった。ユースホステルでの食事はセルフサービスが一般だ。プラスチック製かアルミ製の盆に食材の入った食器を載せテーブルに持って行くのだ。しかし今日の宿泊は夏樹だけである、あらかじめアルミ製の盆にご飯と味噌汁以外の食材の入った食器を載せてテーブルの上に置いてあった。
 
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2012.03.02 / Top↑
「夏樹さん、遅かったね」
「部屋で少し寝てしまって、すみません」
「いいの、いいの。おかずはそこのテーブルに置いてあるし、ご飯と味噌汁をここに置きますから、持っていって下さいな。何杯でもおかわりしてね、遠慮なく」
「ありがとうございます」
 ご飯と味噌汁を持っておかずが載せられたテーブルへ向かった。
「いただきます」
 広い食堂にテレビはあっても電源は入っていないし、少し立派なステレオセットが部屋の隅に置かれているがこちらも電源は入っていない。ペアレントの女性が厨房であと片付けをしている音がわずかに聞こええるだけで、他には無音に近いとても静かな空間で夏樹は一人だけで夕食を食べた。なんだかとてもつまらない夕食となってしまった。今までに何回かユースホステルに泊まったが、夕食をひとりっきりで食べたのは初めである。
 食べ終わった頃にペアレントの女性が、二人分のお茶の入った湯飲みとポットを持って夏樹のテーブルの前に座った。
「やっぱり一人で食べる夕食はつまんないよねえ」
「はあ、そうですねえ」
「私も一緒にと思ったのだけれで、こんなおばさんとじゃ迷惑だろうと思って・・・」
「そんなことはないですよ、やっぱり食事は楽しく会話などをしながら食べるのがいいですよ。一人はおもろないですは」
「そうだよねえ、昨日は四人泊まったのだけれど、今日は夏樹さんから電話が来なかったら、さっさと寝ようかと思っていたの。来てくれてよかった、誰も泊まってくれないと、この広いところに今夜は私だけになっちゃうからね」
 ペアレントさんはそう言うと両手に持った湯飲みを口元に運び、少しお茶を飲んだ。

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2012.03.04 / Top↑
 夏樹もお茶を少し飲み、ペアレントさんに話をはじめた。
「今の季節って泊まる人は少ないんですか、こんなに立派な建物やのに・・・」
「もう少し、六月の中ごろを過ぎると、山登りをする人たちが電車で来て、ここへ泊まりに来るわね」
「今はちょっと閑散期なんですね。ところで土樽の駅前にバイクを置いてきたんですけど、ここへ来る道はないんですか」
「あるけどね、一キロほど北に行けば線路の下を潜って小さい橋が架かっているのだけれど、今日の大雨で明日は渡れなくなるかもしれないねえ」
 このユースホステルの宿泊者は電車を利用して来る人たちが殆どなのだそうだ。だからと言うわけではないのだろうが、ユースホステルへ繋がる道路は整備されていないようなのだ。
「ほな、もしその橋を見つけてここへ来たとすると、明日はここから動けなくなるかも知れへんと言うことですか」
「そう言うことになるわねえ。その時はここの掃除を手伝ってもらえたわね」
 ペアレントさんは微笑みながら、両手に持った湯吞みを口へ運んだ。
「夏樹さんは一人旅中かな、プータローしながら・・・」
「はあ、プータローです。わかりますか」
「今の季節はそういう人が時々、来るのよ。バイク、自転車、徒歩。車の人はあまりいないわね」
「やっぱり無職で車に乗って旅をするような、リッチな人は少ないやろねえ」
「私たちのころはカニ族って言っていたわね。大きな登山用のリュックを担いでさ、そのリュックは横に広いものだから、前を向いて狭いところを歩くと他の人にぶつかるから横向きに、カニのように歩くからそんな風に言われるようになったのだけどね」
 ペアレントさんは昔を思い出すように遠いところを見つめ、ほんの少しだけ笑みを浮かべながら話した。

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2012.03.06 / Top↑
「もしかしてペアレントさんは昔、カニ族だったんですか」
「はい、そうですが、そんなに昔じゃやあないわよ・・・」
 少しだけ笑みが消えた。
「大学で山岳部に入って、日本中の山を登ったわ、あのリュックを背負ってね。学校へ行くより山とそのための費用を稼ぐためのアルバイトに明け暮れていたの、おかげで二年も留年しちゃったけどね」
「山ですかあ、何で山に登るんですか、そこに山があるからなんですよね。何かで聞いたことがあるなあ」
「山はいいわよう、でもとても気まぐれで、恐いところよ」
「へえ、俺の山登りはハイキングぐらいしかしたことがないけど、そんなに恐いんですか」
「四年生の春に、いや実際には六年生ね、新入生の歓迎会としてハイキングコースのような山に登って、山頂近くの山小屋で一泊して帰ってくる予定だったの。でも翌朝に天気が急変して、小屋の周りは濃い霧に覆われたわ」
 ペアレントさんの表情がとても険しくなり、ほんのわずかに肩から両腕に力が加わったように見えた。
「わしたち上級生は何回もここに登ったから目を閉じていても歩けるからと言って、小屋を出て下山したのよ。でもその過信が良くなかったのよね、新入生がまったくの初心者だったことを忘れていたのね、予想以上に長い時間、霧が濃くてなかなか前に進めなくて、ようやく霧が晴れてきたら今度は大雨になっちゃって、こんなに大変な登山はいやだと言って八人の新人のうち半分が退部届けを出しちゃったのよ」
「僕が初めての登山でそんな天気に見舞われたら、いやになってしまうかもなあ」
「そうなのよ、その四人はほとんど無理やり入部させて連れて行ったからねえ」
「あら、そらあきませんわ・・・」



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2012.03.10 / Top↑
 ペアレントさんは大学卒業後に山と関連のある仕事をやりたいと考え、全国の山を一年掛けて登り歩き、その周辺の山小屋やユースホステルなどの宿に泊まり、山ガイドの仕事や登山関連の店を見て周った。海外にも何回か行ったと言っていた。
「いろいろなことをしてきたのだけれど、成り行きで今はここのペアレントをしているの、山で知り合った今の旦那と二人でね」
「あれ、さっきは俺が泊まりに来なかったら今晩は一人だって・・・」
「そう、昨日からユースホステル協会の集まりで、東京に行っているの」
「出張ですか」
「北海道までいくんでしょ、今の季節は何処へ行っても花が綺麗だと思うから、特に東のほうね、楽しんできて下さい。ユースホステルもね、個性的な特徴のあるところが多くあるから・・・桃岩とか・・・」
「桃岩ですか、何処かでも聞いたような気がするなあ」
 その後も二人はお茶を飲みながら山の話し、旅の話し、ユースホステルの話しをした。

 翌朝もどんよりとした空から雨が降っていた。玄関の脇に干しておいた合羽を着て走ることになる。
「いってらっしゃい」
「行ってきまあす」
 大きな荷物を担ぎ軽く手を振り駅に向かった。来た時と同じようにホームから線路に降り、反対側のホームまで行きよじ登った。
 駅前には夏樹のバイクだけがあり、他には車も人の姿もなく、雨の音以外は何も聞こえなかった。バイクのエンジンを掛け、荷物を括りつけてヘルメットを被った。そしてゆっくりと走りだした。
 国道へ戻る途中に線路の下を潜り川の向こうへ繋がる道を見つけたが、橋らしきものは見えず川の部分だけ道が途切れていた。やはり昨日からの雨が増水し、橋を隠してしまったようだ。

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2012.03.12 / Top↑
 昨日からずっと降っていた雨も六日町あたりでようやく上がり、東の空が少し明るくなってきた。
 国道十七号線を北上し、長岡からは国道八号線に入って行った。山が後方の遠くに見えるだけで付近には高い山がなく、平坦でカーブが少なく片側二車線の広い道路はとても走りやすい。あまり休むことなく前へ進み、走行距離を稼ぐことができた。
 三条のあたりで右へ行くと新発田の標識を見つけ、地図を確認すると山形へは新潟市内を通るより近いようだ。それに新潟市内は道が複雑に入り組んでいて分かりにくそうだ。
「今日はこのまま新潟を抜けて、さて山形のどこら辺まで行けるかな、何処かのキャンプ場で今日はテントを張るぞ、天気も良さそうやしなあ」
 周りの車のスピードに合わせて走り、独り言を言った。
山形?あっ、あそこに行ってみたかったんや」
 以前にペンション情報という雑誌のことに触れたことがあったが、その巻末に「アルバイト、居候募集」というコーナーがあった。そこには全国のペンションのアルバイト、居候(三食と寝るとこが付いていてペンションの手伝いをする人、手間賃はわずかだけれど忙しい時の手伝いと言ったものだろうか)の求人欄が北から南へ掲載されている。夏樹は世間が夏休みの時期に北海道のペンションでアルバイトか居候をしてみたと考えていたのだが、条件の欄に二十一歳ぐらいまで(すでに二十五歳となっていた)テニスができる人(そんなもん、やったことがない)料理ができる人(インスタントラーメンぐらいな作ったことがあるけど・・・)とにかく条件が合わない。やっと難しい条件がないところを見つけて電話をした。
「ごめんね、もう決まっちゃったのよねえ」
 何軒か連絡してみたが、どこも採用済だった。



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2012.03.16 / Top↑
 北海道のペンションでのアルバイト、居候は出かける前の段階では全滅だった。北海道の次に掲載されているのは東北地方だ。福島県の磐梯山周辺や岩手県の八幡平などには多くのペンションがあるようだが、他の地域には少なかった。北海道には一度行ったことで多少の知識はあったが、東北地方の地理的知識はほとんどなく、聞いたことのない地名やスキー場が掲載されていた。その中に山形県月山の麓にあるペンションの居候募集欄には特別な条件はなく、仕事内容欄に「晴耕雨読」と書いてあった。
「これって晴れた日は田畑に出て、雨の日は本を読むと言うことなんやろなあ。なんか面白そうやなあ」
 さっそく電話したのだが、「数日前に決まったのよ、ごめんなさいね」と言われてしまった。しかし、バイクで北海道へ行くことを伝えると、行く前に二,三日だけでもペンションに寄って手伝ってほしいと言ってくださったのだ。
 地図を確認し、月山へ行くにはまだ二百キロ以上あるようなだが、行けなくはない距離だ。公衆電話を探して月山のペンションへ電話をすることにした。
「こんにちは、先日、電話させてもらいました夏樹です」
「おお、夏樹君。もう北海道に行っちゃたか」
「いいえ、いま新潟にいます。日本海側を通って北海道へ行こうかと思ってます」
「じゃあ少し寄っていってよ、ちょうど手伝ってほしいことがあるんだよ」
「はい、それで急なのですが、これからそちらに向かおうかと思うのですが」
「いいよ、道わかるかい。国道百十二号線の弓張平を目指して来ればすぐにわかるからね。じゃあ気を付けてね」
「ありがとうございます」
 

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2012.03.18 / Top↑
 電話を切ると、もう一度地図を見て山形県月山を確認した。新発田市を抜け日本海沿いの七号線を北上し鶴岡まで行き、そこからは百十二号線で南東方向へ向かう。空模様もだいぶ回復し、青空が見えるようになってきた。スピードを出しすぎて検挙されない程度の速度を維持して月山へ向かった。
 三条市からどれくらい走ったころだっただろうか、夏樹のバイクの後ろから一定の距離を置いて走ってくるバイクがいることに気が付いた。周りの交通量や状況に合わせて走っていた夏樹のバイクの速度は一定していなかったが、後ろを走っているバイクはどんな速度でも一定の距離を保って走ってきた。赤信号で停車しても同じように距離を置き停車した。まるで二台のバイクがツーリングしているようだった。

 新発田市から七号線に入りドライブインで小休止をすることにした。飲み物の自動販売機の横にバイクを停め、缶コーヒーを一本買いベンチに腰を掛けた。そこへ先ほどから夏樹の後ろを付かず離れず走っていたバイクがすぐ横に停まった。ライダーはヘルメット取りながら夏樹の座るベンチの横へ座った。
「こんにちは、京都からいらしたんですね」
 少し慣れなれしい奴だなと思ったが、まったく無視するわけにもいかず「ええ・・」と簡単に答えた。
「もしかして、北海道まで行かれるんですか」
「はあ、なんでわかるんですか」
「今の季節に寝袋をバイクに積んで走っている人は、ほとんどが北海道を目指している人ですよ」
「そういう人がここを通って行くんですか」
「そうですねえ、日本一周をする人たちはここを北へ、南へ大きな荷物をバイクに積み、一番上に寝袋を積んでいるね。時々そんな人たちに声をかけるんです。俺もいつかはバイクに寝袋を積んで日本一周をしたいなあって、でも今の仕事を辞めなければいけないし、それにはいろいろと問題がありますしねえ」
 とても人懐っこい話し方に、先ほどまでのあまり良くない印象がなくなった。


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2012.03.20 / Top↑
「そうやねえ、仕事はやめな、あかんわねえ」
「じゃあ、今は無職ですか」
「はい、辞めました」
「すごいですねえ、勇気がありますね」
「別にすごくもないし、勇気があるわけではないです。ただ今しかでけんことを、今やっておこうと思っただけで、仕事を辞めてまでこんなことをやるのは、人間がええかげやからですよ」
 夏樹はそう言うと持っていた缶コーヒーを一口飲んだ。
「いや、俺も旅をしてみたいのですが、会社を辞める勇気がなくて」
「大きい会社ですか?給料が良くてやりがいのある仕事なら辞めないで、長期休みをうまく取って、分割で日本一周をしたほうが、ええのとちゃうかなあ」
「仕事は続けたいのです。できれば辞めたくない」
「俺は仕事で色々と壁にぶち当たってしまったし、小さい会社だったから給料も高くなかったしなあ・・・」
「これから北海道へ行って、一周したら太平洋側から九州まで行くのですか?」
「いや、日本一周にはこだわってないから、日本中を回りたい、とりあえず全都道府県制覇が目的やね」
「じゃあ目的達成頑張ってください」
 そう言うと右手を差し伸べてきたから夏樹も右手をだし握手をした。
「おぉきにぃ、自分も良い旅をしてください」
「ええ、自分って・・・」
「あっそうか、関西では自分て言うのは、君とかあなたという意味なんです。自分自身のことは自分とはあんまり言わへんねえ」
「はあ、関西弁と面白いですね」
 二人は笑顔でもう一度握手を交わし、夏樹が先に山形方面へ走りだし、その彼は、来た道を新潟市方面へ走って行くのがバックミラーに映った。


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2012.03.22 / Top↑
 国道七号線は快適だった。道幅は広いし、交通量もあまり多くなく、信号も少なかった。進行方向左側には山はなく、ときおり防風林のような林が続き、あの向こうは日本海なのかなと思いながら前へ進んだ。
 ガソリンの残量が四分の一を下回り「E」に近づいてきた。当時のバイクのフューエルメーターはあまり正確ではなかったように思う。早め早めに給油するに越したことはない、国道沿いのスタンドを見つけ入った。
「いらっしゃいませ」
満タン、お願いします。それとチェーンが、見てもらっていいですか」
「どれどれ、ああ、だいぶ伸びてますねえ」
「これぐらいなら簡単に治りますよ、チェーンを引っ張ってやれば良いだけですから。給油が終わったら俺がやりますよ、少しだけ工賃をいただきますけど・・・、なんてね、サービスしときますよ」
「ほんまに、うれしいなあ。本職さんのやり方をちゃんと見せてもらって、今度は自分でできるようにならんとねえ」
カンサイの人ですか・・・、やっぱり京都ナンバーじゃないですか。初めて見ましたよ。多くのライダーが給油してくれるけど、関東や地元の人がほとんどで、たまに関西方面の人も見ますけど、京都の人ははじめてだなあ」
 そこまで話したところでガソリンが満タンまで給油され、給油ホースを戻しタンクのキャップを閉めた。よく喋る兄さんだけれど、仕事はきっちりと確実にこなしてしいた。
満タン入りましたあ」
 スタンド中に聞こえる大きな声でそう言ってから、整備スペースのほうを指さしてバイクを移動させるように言ってくれた。



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2012.03.28 / Top↑
 整備スペースの前でバイクのセンタースタンドを立て、後輪の軸棒のナットを緩め後輪を少し後ろへ引っ張り、伸びたチェーンを適度に張った。さすがに専門家である、とても手際よく作業が進み、わずか十分ほどで終わった。
「終わりましたよ。これでしばらくは大丈夫です。でも、これからも旅は続くのでしょ、また伸びてきますから、今の手順で引っ張ってやって下さい。その時にここに刺さっている割ピンをなくさないように、気を付けて下さい」
「おぉきにぃ、俺にとってのバイクは旅の移動手段であって、バイクが好きで乗っているのとはちょっと違うし、メンテナンスはほとんど、でけへんから。ほんま、助かりましたは。ありがとうございました」
「あまり知らないほうがいいですよ。バイクや車に乗る人のみんながメンテナンスに詳しいと、俺の仕事がなくなりますから・・・」
 そう言ってスタンドの制帽を被り直し、にこりと微笑んだ
「ありがとうございました。気を付けて旅を続けてくださいね」
「はい、おぉきにぃ」
 ふたたび国道七号線へバイクとともに駆けだした。

 村上まで来ると、周りの風景が今まで以上に海へ近づいてきたようだ。そしてわずかに潮の香りがしてきたように感じた。しかし村上市街を超えたころだろうか、交通量が大きく減り周りに山が迫ってくるようになってきた。ドライブインの片隅にバイクを停め地図を確認すると、国道七号線は村上から内陸に向かい山間部を走っていた。
 村上までより道幅は狭くなり、少し登り勾配の変化の少ない山あいの道を進み、大きく左に曲がると今度は緩やかに下り勾配になった。



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2012.03.29 / Top↑

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