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 佐呂間湖から道道を通り40キロ程で留辺蘂に着くが、ずっと曇り空で,時おり霧雨が夏樹の身体を冷やした。
「最近、こんな日ばっかり。寒いなあ・・・」
 つい、独り言で文句を言ってしまう。しかし、急ぐ旅ではない、走るのが嫌になれば止まってしまえばいいのだ。お気楽な、時おり怠け放題の放浪旅である。
 国道39号線を西へ、層雲峡へ向う。70キロほどで着いてしまうが、寒いので休みながらゆっくりと走った。大雪ダムまで来た時、地図を確認すると層雲峡の南方に「十勝三叉」の地名を見つけた。何かの本かドキュメンタリー番組を見て覚えていたのか、機会があれば行ってみたい駅の一つとして頭の片隅にあった。まだ昼前である、姫路ナンバーのナナハンとはここで別れ、国道273号線を南へ向った。
 国道だから安心して走っていたのだが、10キロも走ると未舗装ダートになった。速度を落とし、転倒しないように慎重に走った。やがてただの未舗装から深砂利の敷かれた道になり、ますますゆっくりと慎重に走らなければならなかった。さらに10キロほど走り三国峠のトンネルを越えると、霧が濃くなり先行きがよく見えなくなった。道路に敷き詰められた砂利も今まで以上に深くなり、転倒しないで前に進むことは難しくなった。残念ながら引き返すことにした。

 石狩川を堰き止めた大雪ダム。それによってできた大雪湖の西側を通り北へ走る。ダムを渡ると国道39号線だ。さらに西へ走ると層雲峡へと入っていく。層雲峡は石狩川を挟み両側に奇岩がそびえる渓谷が20キロメートルほど続く、北海道有数の観光地で温泉宿も多くあるようだ。
 夏樹のイメージする北海道はどこまでも続く草原、視界を遮るものはほとんどなく、道はどこまでも真っ直ぐで・・・、と言ったところだろうか。しかしここは道路の両側を高さ100メートルもあろうかという断崖絶壁が,視界を大きく遮っている。断崖絶壁のあちらこちらの隙間から滝となって水が落ちてくる。その様は圧巻ではあるが、ある意味、北海道らしくない景色だ、と思いながら眺めていた。

            層雲峡1
  
                  層雲峡3

                             層雲峡2



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2014.05.03 / Top↑
 国道沿いに様々な滝が流れ落ちてくる景色を見て周った。曇り空は晴れることなく、気温は低いまま、バイクを走らせると体感温度はさらに下がってくる。この日も寒さに挫けてしまい、早々に層雲峡ユースホステルに宿泊の予約の電話を入れた。
 玄関前には神戸となにわナンバーのバイクが止まっていた。今夜も楽しい話が聞けるだろうか。
「こんにちは、さっき電話した夏樹です」
「お帰りなさい。ようこそ層雲峡へ」
 笑顔で元気に迎えてくれた。ここのペアレントさんのようだ。
「今日は楽しい日になると思うよ。夕食後のミーティングを愉しみにしていてね」
「あぁ、はい。何があるんですか」
「まあ、あとでね」
 シーツをもらい部屋の場所を聞いて荷物を持って向った。部屋には先客はいなかった。この部屋には夏樹一人で、後からも誰もこなかった。
 なぜペアレントさんがとても楽しそうに話をしていたか、夕食の時に理由がわかった。男の宿泊者は夏樹だけで、他の宿泊者は四人の女の人だった。男が夏樹だけで他の宿泊者が女の人というのは、夏樹にとっても初めてのことだった。反対に女の人が一人というのは、標津ユースホステルで土山という女の人が一人だけだった。
「夏樹君は運がいいね、四人の女性に囲まれて」
「ペアレントさんだって男やないですか」
「いや、僕には奥さんがいますからねえ。まさか夏樹君は妻帯者じゃないでしょ」
「もちろん、結婚はしてません」
「あら、関西の人やねえ」
 一人の女の人が話し始めた。夏樹よりは少し年上だろうか、細身で少し美人さんだった。
「はい、京都です。もしかして玄関にあったバイクは・・・」
「そうそう、うちらやで。この人と二人でツーリングしてんねん。なあイカさん
「そのイカさんて言うのやめへんか」
 隣に座っている女の人が言った。ボンバーヘッドだった。
「そやかて伊川やろ、イカさんやんか」
「ほな、自分はタコさんですか」
 夏樹が口を挟んだ。
「何で、うちがタコやねん」
 関西弁丸出しで少し口が悪いように思われた。少し美人さんなのに。


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2014.05.11 / Top↑
「あっ、そうか。タコさんねえ。あんた孝子やから、ターコってゆうてきたけどタコさんやんか」
「いらんことを皆さんの前で披露せんでもええやんか」
「と言うことでイカさんとタコさんは、今日はどこから来はったんですか」
「きょう、小樽にフェリーで着いたとこやねん、明日は宗谷岬に行って、オホーツク沿岸を知床まで行ってそれから・・・」
 イカさんが言った。
「それから何もない春・・・の襟裳岬。ほんで小樽からフェリーに乗るのが・・・」
「一週間後の7月4日、あんたしっかりしいやあ」
 タコさんがイカさんの肩をポンと叩いた。
「今回の休みはこの日程が限界やもんね、やっと取れた長期休暇やからねえ。帰った次の日から仕事やもんねえ」
「そっちのお二人さんは」
「彼女も私と同じ大阪から来たんだよねえ」
「タコさんと同じく大阪から来ました、先月に仕事を辞めて周遊券を買って、今日で何日目かなあ・・・」
 アフロっぽい長い髪の女の人が、右手の指を一本づつ折り曲げて考えた。
「4日目かな」
「もしかして、周遊券を2枚買って来ました」
「はい、まだ1枚目ですけどね。なんで・・・」
「標津と知床の岩尾別ユースホステルで一緒だった、大阪の女の人が2枚の周遊券を持って放浪してはったんや。今日は宗谷まで行かはったかな」
「2回も一緒だったんですか」
 もう一人のショートカットの女の人が言った。
「私もそんな出会いがあれば、いいなあ。周遊券を2枚買って来るなんて、きょう、マキさんに聞かされて知ったんですよ。それが一番お得で、長い期間を北海道に居られるって」
 ショートカットの女の人は福岡の大学生で、北海道に来て3日目だそうだ。
「ヒゲさんのことをまだ聞いてなかったなあ」
「イカさん、タコさん、ヒゲさんですか。漫才トリオみたいやねえ」
「おもろないで、このイカさんは」
 ペアレントさんを含めて6人で大笑いをした。夏樹はここまでの日程を簡単にみんなに話をした。
「ほな、明日はどこまで行くの」
「明日は、まだ考えてへんなあ。北へ行こうかなあ」
「山に登ったら。黒岳に。キャラバンを貸すから。みんなで登ったらどうですか、上の方はまだ雪が残っているから。みなさん、そんなに急ぐ旅じゃないんでしょ」
 ペアレントさんが提案してくれた。


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2014.05.18 / Top↑
 翌朝、天気は快晴。ユースホステルで登山用の靴、キャラバンを借り、大雪山系の一つ黒岳へ向った。夏樹以外のメンバー4人は全員が女の人だ。
 麓からはまずロープウエイに乗り5合目まで行く、そこからはリフトに乗って7合目へ、ここは標高1,500メートルを超えているようだ。ここから一時間半ほど歩くと黒岳の山頂に着く。登山道のあちらこちらには残雪があり、関西人4人、九州人1人は雪がとても珍しく、皆が白い塊を見て大いにはしゃいだ。
 しかし、その残雪を踏みしめて登って行くのはとても辛く、一番最初に音をあげたのはタコさんだった。
「もう、あかんは。何でこんなシンドイ思いをせんとあかんのんや・・・」
「やっぱり、あんたが一番に、あかんようになると思たは。口は達者やけど、体力はないもんなあ」
 イカさんがタコさんの腰に手をやり、下から押しながら言った。
「そやけど、このキャラバンて安もんなんやろか、ひとっつも防水せえへんのかなあ。靴の中は水でグチョグチョなんやけど」
 こんどは夏樹がぼやき始めた。
「こんなもんだと思いますよ。山登りをする人は防水の靴下を履くんじゃないですかねえ。何かで聞いたように思いますよ」
 福岡の大学生が言った。
 9合目を過ぎると残雪はなくなり、登山と言うより、ハイキングコースのような緩やかな坂が続いた。まもなく黒岳の山頂に着いた。大雪山系の山々が一望に広がり、遠くは阿寒岳まで見えると言うのだが、どれが何の山なのかよくわからなかった。

    雪渓
              黒岳山頂
                          黒岳山頂から

「あの山の残雪の具合が白鳥に見えるらしいけど、白鳥に見えるか」
 タコさんが言った。
「白鳥と言うより、俺にはあの口ばしの感じがペリカンに見えるけど」
 しばし、黒岳の山頂からの景色を楽しんだ。下山は9合目からの残雪を一気に滑り降りた。キャラバンのつま先を上げ、踵で雪を削るように滑り降りた。夏樹と福岡の大学生にはスキーの経験はなかったが、うまく滑り降りることができた。スキー経験のある3人は、なぜか雪の上を滑り降りることができず、転びそうになりながら、少しづつ下山することとなった。


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2014.05.25 / Top↑

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