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「近くの牧場で、アルバイトって・・・、俺もやってみたいなあ」
「この近くに何軒も牧場があって、どこもこの時期は忙しいから、使ってくれると思いますよ。俺の居たところは、ひと段落したので帰って来ました。ここにいると、求人の情報が入ってくるので、見つかるまではこのユースホステルに滞在です」
 そう言って乾してあった洗濯物を取り込み始めた。
「俺もやってみたいんやけど、次に行くところは決まってはんの」
「いや、俺は三日後にとりあえず一日だけ、今まで居たところに頼まれていますが、さっきここのペアレントさんに聞いたのですが、しばらくはないようです」
「しばらくって、どれぐらい・・・」
「わかりませんがすぐに求人が来ますよ。ただ三日ほどはないと思いますよ。天気予報では明日も、あさっても雨ですから、雨だと仕事ができないんです」
「そうかあ・・・」
「俺は、生まれは東京なのですが、北海道に憧れて札幌の大学に入りました。それで、ゼミの先輩に牧場での話しを聞いて、やってみたかったし、今が一番忙しいからと言うことで、きました」
 小柄で頭髪はスポーツ刈りの彼は札幌の大学一年生、夏休みはまだなのだが、単位はほとんど取れたし、まだ一年生だからと言うことで、そんなに頑張らなくてもよいからと、ここに来てしまったようだ。

やってみたいことは、やれる時にやる。同感である。

「こんにちは」
 突然ドアが開き、明らかに関西弁を話す男が入って来た。
「どうしやはたんですか、別に脅かそうと思て、入って来た訳やないんですけど」
「いや、突然やったからびっくりしただけや」
「おや、こちらの方も関西ですか。わし、大阪から来ました、森山って言います」
 あまり背は大きくなく、華奢な男は、ちょび髭を蓄えて居た。
「夏樹です、ずいぶんと日に焼けたはるねえ」
「わし、自転車で廻ってますからねえ」
「モリさん、お疲れ様でした」
 大学生が笑顔で迎えた。
「あれ、知り合い」
 彼ら二人は、一緒に牧場で働いていたというのだ。
「そうですねん、彼の紹介で一緒に行ってましたんや。これから二日ほどは、ここでゆっくりと寝ます。なんせ牧場の朝は早いからねえ、慣れへんもんには、ちょっときつかったですわ」
 そう言って森山は、自分の荷物を置いていた窓際の下のベッドに潜りこんだ。


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2014.08.03 / Top↑
 この日の浜頓別ユースホステルには、札幌の大学生、大阪の森山、そして夏樹の三人だけ。食後のミーティングには、ヘルパーの女の人二人も加わり、静かに始まった。
「夏樹君は今日が始めてだから、先に自己紹介を頼みます」
 ペアレントの「とうさん」が切り出した。多くのユースホステルでは夫婦で運営していて、ペアレントさんを父さん、母さん、と宿泊者もヘルパー達もそう呼ぶことが多かった。
「ええと、京都から来ました、夏樹です。目的地無しの気ままな旅中です」
「ということは、この先の予定は決まってないんだね」
「まあ。ただ来月の二十日ごろからは、岩手のスキー場にあるペンションで居候する予定なんですけどね。学生が夏休みになると、北海道は混雑するでしょ、その前に本州へ戻ろうかなと」
「じゃ、これに参加しなよ、予定は未定なんだろ」
 そう言って立ち上がり、食堂の壁に貼ってあるポスターの前に行った。
クッチャロ湖水祭りに出てよ、ユースホステルチームとしてさ。そのころには多くのホステラーも来るから、その少し前に来て準備をして、ワッと楽しもうよ」
 そのクッチャロ湖水祭りは二週間後の七月十二日、十三日だった。夏樹はすぐに面白そうだなと、食いついた。
「それって何をやるんですか」
「色々とあるんだけど、ユースホステルチームとして、この手作り筏レースにでてほしいんだ」
「筏を、わしらで作るんですか」
 森山も興味津々のようだ。
「そうさ、レースと言っても、単純に順位だけじゃなくて、美術点ていうのかな、話題性。それも加味されての順位が付けられるんだ。とにかく、お前達、時間があるんだろ、参加しなさい」
 半ば強制的になってきたが、森山も夏樹も参加する方向で気持ちが固まっていた。
「ほな、参加する。その前にまだ行ってないところに行って来ても、ええでしょ」
 夏樹は小樽港へイカ、タコさんの見送りが近づいていることを思い出し、そちらへ向いながらまだ訪れていない地へ行ってみることにした。
「わしも、出るで。それまでは牧場にアルバイトに行ってます、高田君と一緒に」
「高田君も祭りに出るだろ」
「残念ながらその日はどうしても大学に行かなくてはならないんで・・・、出られません。すみません」
「そらしゃぁないわなあ、残念やなぁ」
 森山が、がっくりと肩を落とした。



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2014.08.13 / Top↑
 二人のヘルパーの女の人は、男四人が会話している横で何も話さず座って居た。
「君らも祭りには出たいだろうけど、そのころはホステラーが大勢来るから、忙しくなるから・・・、頼むね。みんなのサポートをしてね」
「はい」
 二人が同時に軽く頷いた。
「あのう、こっち側の人は、関西ですか」
「はい、大阪です」
「やっぱり、関西弁はすぐにわかるもんねえ」
「うちも、今日は関西の人が二人も居たはるんで、なんか楽しいんですよ」
 この後のミーティングは、ペアレントさんが早々に部屋に戻り、残った五人でフリーミーティングになった。ほとんど関西弁だけが聞こえてくる会話が続いた。
「久々に、思いっきり関西弁を聞いたし、喋ったわ。おぉきにぃ、楽しかったです」
 もう一人は群馬県から来たと言う。二人とも元はOLだけれど、仕事を辞め憧れの北海道へ来たのだそうだ。偶然、二人とも同じ年だという。
「ほな、さっきも言うたけど、明日からは祭りまでにもう少しあっちこっち行って来ますは。それに小樽港に旅で知り合った人たちを、見送りにも行かなあかんしね」
「楽しそうやね、今度、来た時に聞かせて下さいね」
 大阪出身のヘルパーさんが言った。
「森山さんはどうするの」
 群馬出身のヘルパーさんが聞いた。
「わしも、この辺を少し回ってきますわ。ほんで祭りの日に合わせて帰って来ます。高田君は牧場の仕事が終わったら、札幌に帰るんやろ」
「そうですね、大学の用が終わったらまた来ますよ。お祭りは終わっていますけどね」
 五人でそんな話しをしながら就寝時間まで過ごした。夏樹にとっては他の四人は今日、初めて会った人たちだけれど、久々に会った旧知の友と過ごしたようにとても楽しい時間を過ごすことができた。年齢も出身も違うのだけれど。

 翌朝、小雨が降っていた。森山は自転車で旅をしているからと言って今日はどこにも行かないかなと言って、ベッドでゴロゴロしている。高田も今日は牧場の仕事が休みだから、朝寝をしている。夏樹はとりあえず出かける準備をして食堂に行き、朝食後に地図を広げ、どこへ行くか考え始めた。音威子府へ向うことにした。
「オト、イ・・・コフって読むのかなぁ」
 オトイネップと読む、北海道の地名は難しい。



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2014.08.17 / Top↑
 音威子府村は現在の人口が千人を下回り、北海道で一番小さな村とホームページに書いてあった。日記にはこの村に入ると天気が良くなり、今まで寒かったがようやく気持ちよくバイクを走らせたことだけしか記録がなく、残念ながら、記憶にも残っているものもなく、なんとなく通過してしまったようだ。
 国道40号線を南下し美深町、名寄市を超え風連町へ、天気は良かったが風が強く走りにくかった。
 風連の国道沿いで小休止。今日はどこまで行くか、まだ決まっていなかった。なんとなく走っていたのだ。そして地図を広げ、先日、行きそびれた天売島を見つけた。その島には北海道周辺に多く分布しているという「オロロン鳥」を見てみたくなったからだ。泣き声に特徴があり、名前が面白い、もう一つは北海道の離党に行ってみたかったからだ。ただそれだけの理由なのだが行ってみたかった。その島へは羽幌から船が出ている。その近くのキャンプ場を探すことにしよう。先日テントを張った苫前のキャンプ場とは別のところを探そう。
 羽幌の港から少し山の方へ入ったところにキャンプ場を見つけた。風連からの道順を確認しながら、地図を眺めるとまた読みにくい地名を見つけた。「朱鞠内」
 シュマリナイと読むようだ。大きな人造湖の名前で、そこへ少し寄り道をして羽幌へ向うことにした。
 この湖に行ったときは水位が低く、湖畔には土がむき出しになったところが多く、景観的にはあまり美しくなかった。名寄から湖の北側を通り深川まで走っている深名線の朱鞠内駅に一両だけのディーゼルカーが止まっていた。一日五往復だけのローカル線だった。1995年に廃線となったようだ。
 羽幌の町で夕食用のカップ麺と、朝食用のパンを調達しキャンプ場へ、夏樹以外には誰もいなかった。いつものことなのだが、なんとなく寂しい。炊いた飯とカップ麺だけで夕食をすませ、缶ビールを一気に飲み干し、早々に寝床に入った。明日は六時にはこのキャンプ場を発ち、七時半の船に乗って天売島へ向う。



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2014.08.24 / Top↑

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