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 札幌から真南に走る。札幌の市街地を出たころから霧雨が辺り一面に濃く広がり、数メートル先の状況がよく分からない。さすがに車もゆっくりと走っている、その後ろを見失わないように付いて走った。周りの景色はまったく見えなかった。
 やがて霧が少しずつ晴れ、周りの状況が見えてきたころに支笏湖に着いた。霧は晴れたが小雨は止むことはなかった。
 観光シーズン前の平日、人影はなく湖に浮かんでいるはずの貸しボートは全て陸に上げられ、底が天を向いていた。地図を確認すると、湖畔沿いを東に進み、ホテルや遊覧船乗り場の少し先にモラップキャンプ場がある。小雨は止みそうにないが、水場の大きな屋根の下などにテントを張ることができないだろうか、なんとしてでも今夜はテントを張りたい。経費節約のためだ。
 モラップキャンプ場は、支笏湖畔に広がる大きなキャンプ場で、道路からすぐのところに木造の管理棟があり、テント一張り250円を払った。
「雨降りなんで、あそこに見える屋根の下にテントを張ってもいいですか」
「いいですよ」
 ゆっくりとバイクを走らせキャンプ場内を進んだ。家族用の大きな貸しテントが何張りもあり、ロッジも数棟あった。その奥の屋根の付いた水場へ向った。管理棟からは見えなかったが、屋根の下にはすでに先客がテントを張っていた。残念。さらに350円を払ってロッジに泊まろうか、いやこの大きな貸しテントの中に泊まろうか、管理等へ向った。
「今日は人がいないから、貸しテントに泊まると料金が違うけど、その中に持って来たテントを張るのならいいことにしますよ」
 管理棟のおじさんは笑顔で応対してくれた。
「おぉきにぃ、ありがとうございます。じゃそうさせてもらいます」
 管理棟で売られていたカップ麺を買い、大きな貸しテントに向った。このテントならバイクごと中に入ってテントを張ることができた。飯を炊き、今夜はラーメンライスと、缶ビールを1本、小雨が相変わらず静かに降り続いていたが、何の心配もなくキャンプをすることができた。
「あしたは晴れるかなあ・・・」

                          支笏湖キャンプ



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2014.11.02 / Top↑
 翌朝四時半、テントに当たる雨の音で目が覚めた。雨音を聞くと本降りの雨が降っているようだ。自分のテントとバイクは大きなテントの中にあるから、とりあえず濡れる心配はないが、このまま強い雨が降り続く中を走るのかと思うと憂鬱である。
 大きなテントの中で紅茶と、ちょっとお洒落なベーカリーショップで買った徳用のパンで朝飯を済ませ、テントを片付け雨合羽を出した。少しは雨の勢いが弱まってはきたが、しばらくやむことはなさそうだ。意を決し支笏湖畔のキャップ場を出て、美笛峠から登別方面に向った。雨足は少しずつ弱まってきたが、濃霧で行く先がよく見えず、ゆっくりと峠道を下り大滝村から壮瞥町へ、案内標識を見逃さないように注意を払って走った。
 左へ登別の標識を見つけた。林の中をしばらく走り、カーブも勾配もきつくなってきた。オロフレ峠付近は未舗装道路で、さらにゆっくりと慎重に前に進んだ。(現在は新しいトンネルが造られ、通年通行できるようだが、当時は冬季閉鎖されていたようだ)
 峠の展望台からは洞爺湖や登別側の倶多楽湖が望める絶景ポイントなのだが、何も見えない。ガイドブックにも霧がよく出ると書いてあった。オロフレ峠からの下りは、急カーブ、急勾配が登りよりきつく、さらに濃霧で先が見えない、登り以上に慎重に進まなければならなかった。
 ようやく峠道の急勾配が終わり、登別の温泉街に入って来たようだが、バイクに乗ったままゆっくりと見ながら通過してしまった。国道36号線の少し手前の屋根のあるバス停で寒さに震えながら休んでいると、道路の反対側の喫茶店の玄関から手招きをする人がいた。
「そんなところにいないで、中に入って休んだら」
 はじめは誰に言っているのか分からず、辺りを見渡していたが夏樹しか回りにはいない、夏樹に声をかけているようだと、すぐに気がついた。バイクに跨り道路を渡って喫茶店の前に停めた。
「こんな日にバイクじゃ寒いだろう、合羽を着たままでいいから、コーヒーでも飲みなよ」
「このままで、いいんですか、じゃお邪魔します」
 ログハウス風でカウンターだけの小さな店内は、ほのかに暖房が入っているのか、暖かかった。店の奥はペンションになっているようだ。
「寒いでしょ、コーヒーでいいかな」
「はい、おぉおきに」
 合皮ジャンパーの上から合羽を着ているから、少しぎこちない動作でカウンターの椅子を引き、腰を降ろした。


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2014.11.16 / Top↑
「おにいさん、関西のひとかな」
「はい、京都です」
「こんな雨の日にバイクに乗らなくても、どうせ急ぐ旅じゃないんだろ」
「まあ、そうなんですけどね」
「バイクで一人旅か、昔は大きなリュックを担いで、列車とか歩きとか、時にはヒッチハイクの若者が多かったが、今はバイクで来るミツバチ族が主流になったね」
「カニ族って言うんですよね、帯広の駅前にそう言う人たちのためのカニの宿って言うのがあるって聞いたんですけど、まだやってませんでした」
「帯広にも行ってきたんだ。じゃあここからは函館に戻って帰るのかな」
「いや、明日は小樽に行って、層雲峡で知り合った人たちが、フェリーに乗って帰るのを見送りに行くんです」
「へえ・・・。どうぞ、うちのブレンド、暖まって」
 サイフォンで入れたコーヒーが夏樹の前に置かれた。
「どうも、おぉきにぃ」
 砂糖とミルクを少し入れ、カップを口元に運んだ。一瞬にしてメガネが雲ってしまった。
「小樽に行ってからはどっちに向うんだい」
「それから、浜頓別の湖水祭りに行きます」
「一周じゃなくて、あっちこっち行くんだ。夏とは言っても北海道は寒いから、もう少し暑くなってから来たほうがよかったんじゃない」
「そういう時期って人が多いやないですか、二年前に盆休みを利用して来たんですけど、どこもかしこも人だらけで、疲れました。ほんで今しかないと思って、仕事を辞めて、この人が増える前に来たんです」
「なるほどね、ご苦労さん。」
 少し皮肉交じりに色々な話しを聞かせてくれた。まだ雨は降っているが、いつまでもこの店にいる訳にもいかず、出かけることにした。
「もう行くかい、雨降りで寒いよ。隣がペンションだから泊まって行ってもいいよ、昼前だけど特別に今から部屋に入ってもいいんだけど」
「いや、ペンションなんて、そんな贅沢はしてられません。今日も何処かのキャンプ場にテント張ります。貧乏旅行なんで」
「そうか、じゃあ風邪を引かないようね。また近くまで来たら、コーヒーを飲みに寄りなよ。雨が降っていたら合羽のままでいいからさ」
「はい、おぉきにぃ、ありがとうございます」
 店先の軒の下で合羽をしっかりと着直し、首にタオルを巻きヘルメットを被った。発進するまでマスターは見送ってくれた。

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2014.11.23 / Top↑

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