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 国道36号線を室蘭へ向う。ガイドブックにある名勝地、地球岬へ行ってみる。高さが100メートルもある断崖絶壁が14キロメートルも続くのだそうだが、あいにく天気が悪く、霧がかかりよく見えない。天気のよい日に訪れていたら、もう少し感動できたのだろうか、写真も撮らずに走り去ってしまった。
 国道をさらに西へ洞爺湖方面に向う。道端に無人のコイン食堂を見付け、少し早いがここで昼飯を済ませることにした。値段は忘れたがきつねうどんを食べた。雨降りの中を走り、冷えきった身体にはちょうど良い昼飯となった。食べ終わったころに合羽を着てヘルメットを片手に持った男が店に入って来た。
「こんにちは、表のバイクの方ですか。雨の日はこういう店が入りやすくて、いいですね」
「どうも、こんにちは。そうやねえ、合羽のままでも大丈夫やしね。合羽を脱いでとなると、めんどくさいし・・・」
 その男は有給で会社を休み、一週間の日程で今朝、横浜からフェリーで苫小牧に着いたと言っていた。夏樹より少し年は下のようだった。
「今日はどこまで行くんですか」
「北海道を時計回りに一周してやろうと思うので、できるだけ遠くまで走ろうとおもいます。あまり日数がなくて、五日後には苫小牧からフェリーに乗らないといけなにので」
「なかなかハードな日程やね」
「そちらは、どちらまで・・・」
「そやねえ、雨降りで寒いから・・・、どこまで行こうかなあ」
「もしかして、仕事を辞めて来たのですか」
「はい、プータロウです」
「いいですねえ、すごいじゃないですか」
「全然、すごくはないですよ。毎日、繰り返される決まった行動に、少し疲れて逃げてきたようなものですから・・・」
「でも、やりたいことを、やるために、会社を辞めてまで行動するなんて、すごいことですよ。僕にはできないなあ」
「そうですかねえ、そんなすごいことじゃないと、思うけどなあ」
 夏樹は北海道での出来事を少し話し、寄ることができるのなら、常呂の船長の家と、厚岸の霧多布里と言う民宿が良かったと教えた。
「日程の状況で、なんともいえないですが、是非に寄ってみたいです。情報、ありがとうございます。ヒゲさんも、気をつけて旅を続けてください」
 とても丁寧で、好印象の青年だった。
「おぉきにぃ、ありがとう」


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2014.12.06 / Top↑
 国道36号をさらに西へ走り、豊浦から内陸へ入りニセコ方面へ向う。強くはないが雨は降ったり上がったりの繰り返しで、体感は相変わらず寒い。
 真狩村を走っている時に羊蹄青少年の森を見つけた。テニスコートや野鳥の森、フィールドッスレチィク、キャンプ場など野外活動全般が利用できる公園だ。施設内をゆっくりと走りながら様子を伺ってみた。まだシーズン前の平日で雨降り、誰もいないが管理棟には電気が点いている。管理棟近くに屋根のかかった炊事場を発見した、「あそこなら雨が降っていてもテントを張ってキャンプができる」今夜の食材探しにニセコ方面へ向った。
 ニセコ町内に入ると雨が完全に上がったようだ。スーパーを見つけ、さっそく食材探しを始めた。
 味のフライを一尾、ツナ缶と小さいレタス、トマト一個、缶ビールを一本かごに入れた。
「いらっしゃい。この辺りの人じゃないわね」
 店の名前の入ったエプロンを掛けたお姉さん(?) が声をかけてきた。
「はあ、真狩村のキャンプ場にテントを張ろうと思って」
「こんなに寒いのに、キャンプをするの・・・」
「はあ、あまりお金に余裕がないんで」
「じゃあ、これを持っていきなよ」
 そう言ってお姉さんは天ぷらの盛り合わせをくれた。
「ええんですか、おぉきにぃ、ありがとうございます」
「風邪を引かないようにね」
「はい」
 これも旅での出会いの一つ。
 再びバイクにまたがり、来た道を少し戻って羊蹄青少年の森へ。キャンプ場近くにある管理棟へ行った。キャンプ場利用は無料だった。炊事場の屋根の下にテントを張る許可をもらい、バイクも屋根の下に置くことができた。やはり今日のキャンパーは夏樹ひとりだった。
 炊事場には薪を使うコンロがあり、薪も少し置いてあった。僅かな知識をひねりだし、薪に火をつける事に成功した。長い枝を四本見つけてきて、それにグローブとブーツを挿し、コンロの前に置き乾かした。そして、その火を使って飯を炊いてみた。ガスを使わずになんとか炊くことできたが、コッヘルは墨で真っ黒になってしまった。
 星が幾つか見えてきた。明日は晴れそうだ。小樽港へフェリーで帰るイカ、タコさんを見送りに行く日だ。楽しみである。


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2014.12.20 / Top↑

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