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 イカさんたちも夕食はまだと聞き、民宿のオーナーに教わった居酒屋へ三人で向った。とりあえず再開を祝し生ビールで乾杯し、一人一品ずつを注文した。出て来た皿を見てびっくり、この一品だけで満腹になりそうなほどのボリュームだった。それぞれが注文した皿をテーブルの真ん中に置き、それぞれの皿に箸を入れた。
「船が欠航したのは予想外やったけど、結果的にこうやってヒゲさんと一緒にビールが飲めたんやから、まあよかたやんなあ」
「もうてっきり欠航の知らせを聞いてて、朝の便に乗って帰ったと思ってたは」
「出港の一時間前にフェリー埠頭に着いたんやけど、誰もいてないし、一台の車もバイクも止まってへんから、うちらが時間を間違えて船が行ってしもうたかと思ったは」
 イカさんが言った。
「すぐにチケットを出して見直したけど、間違ってへんかったから、すぐに事務所に行ったんよ・・・」
「その時ターコがな『どないなってんねん』とおっさん見たいに、どすの利いた大きな声を出してバイクを走らせたんよ」
「そしたら事務所の入り口に《欠航》て張り紙がしてあるから、えっ、ほなどうやって帰るんやって、イカの顔を見たらニコニコしてんのよ、いつも思ってたんやけど、やっぱりこいつはアホやったんやと・・・』
「誰がアホやねんな。これでもう一日帰らんでもようなったと思ったら、うれしくなってきたのよ」
「事務員さんに欠航した便のチケットを見せたら、明日の朝の便に乗ることができるからって言われたんや」
「あれ、タコさんそんなに優しく聞かはったの、どないなってんねん、ってすごまんかったん・・・」
「言うたろうかと思たんやけど、こう見えても一応女なんで、そこは大人の対応と行くことで・・・」
 そう言ってグラスに残っていたビールを一気に飲み干し、「おにいさん、おかわり」とジョッキグラスを持って大きくを腕を上げた」
 注文を取りに来たお兄さんに、イカさんと夏樹もビールをもう一杯注文した。
「あっ、それとお茶漬けをひとつ」
「それ、私も・・・」
 タコさんが言った。
 二杯目のビールを飲みながら、層雲峡で別れてから何日かの様子を、それぞれが話した。酒の肴は最初に注文した一品ずつだけ、最後にタコさんと夏樹はお茶漬けを食べて店を出た。


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2015.02.01 / Top↑
 民宿に戻りオーナーも一緒に旅の話に盛り上がり、時間を忘れて夜が更けていった。
 翌朝は気持ちの良い快晴だった。縁側越しに海が見える部屋には朝陽が差込み、この部屋でオーナー婦人が用意してくださった朝食をいただいた。なんとも贅沢な朝食だ、最高の朝の時間を過ごすことができた。
 イカさんタコさんと夏樹の三人は、ゆっくりとこの素晴らしい時間を過ごし、十時出港の敦賀行きフェリーに乗るため、民宿の玄関でオーナー夫婦に見送られて港へ向った。

      ぽんぽん船
                        ぽんぽん船2

 港には人が少なかった。昨日の船に乗る予定だった人たちは飛行機などでもう帰ったのか、それとも夏休み前の平日で、もともと客が少なかったのか、車もバイクもほとんど止まっていなかった。
 船が出港する時も船の中から外を眺めていたのは、イカさんとタコさんだけだった。
 出港のドラが鳴り響く音とともに、イカさんが五色の紙テープを岸壁に投げてよこした。その五本を夏樹は拾い集め、もう片方はイカさんが持っている。映画やドラマなどでよく見る船の見送りのシーンを自らの手で行うことができた。朝に続き、感動の時間を過ごすことができた。紙テープを持って船を見送ることができたのは、このときが最初で最後だ。いまのところ。

        小樽港

 後日、イカさんから写真と一緒に届いた手紙には、乗客は少なく、二等客室の乗車券を持っていたのだが、欠航して迷惑をかけたと言うことで一等客室に乗せてくれたそうだ。
「一日やけど長く北海道にいられて、ヒゲさんと酒が飲めて、二等の料金で一等に乗せてもらったし、儲かったわ・・・」
(今でも年賀状をいただいています)


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2015.02.08 / Top↑
 敦賀へ向けて出港したフェリーを、小樽湾から出るところまで見送り、次の目的地である浜頓別に向った。国道5号線を札幌方面へ、市内の北部を抜け旭川方面へ走る。どこまで行けるか分からないが、交通量の多い道路は車両の流れに乗り、前の車に付かず、離れずついて行くのが一番の安全運転だろう。そのため、いつもの夏樹の走行ペースよりは少し速いが仕方がない。北海道の車の走行ペースは、本州などのそれより少し速いように思う。
 国道275号線に入った辺りのラーメン屋で少し遅めの昼飯を済ませ、ひたすら前の車について走った。江別からは国道12号線、旭川からは国道39号線で層雲峡方面へ、旭川を過ぎたころには、だいぶ陽も傾きこの先のキャンプ場を探し泊まる算段に入った。
 適当にバイクを停めてガイドブックを見ようかと思っていたが、上川の手前で道路沿いに『ライダーズハウス北の元気村』と書かれた看板を見つけた。キャンプ場入村料500円は少し高いようだが、風呂もあり、肉などの食材も販売しているようなので今夜はここにテントを張ることにした。
 元気村の入り口から中を見ると、まったく人影はなく、林の中に以前はモーテルとして使われていたような建物が数棟と水場などが見えた。
「いらっしゃい、お泊りですか」
「はい、テントを持込でお願いします」
「でも、明日の朝は雨が降りそうな天気予報だったよ。今日は特別に風呂付の個室を1000円で貸すから、どうだい」
「はあ、1000円ですか」
「テレビも付いているよ」
「ほんまに、明日は雨降りですか・・・」
「天気予報では、そう言っていたよ」
「テンをト張って、雨が降ってくるのは、いややから、個室に泊めてください」
「料金は後でいいから、部屋に案内するよ」
 案内された部屋は、明らかにモーテルとして使われていた建物で、部屋の中には大きなダブルベッドが置かれ、その脇にはテレビと、小さなテーブルを挟んで一人掛けのソファーが向き合って置かれていた。
 賑やかな電飾はないが、かえってゆっくりと寝ることが出来ないような気がしてきた。とりあえず、風呂に入ることにした。

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2015.02.15 / Top↑

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