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「旅のしおり」を作る修学旅行事前調査委員は、各クラス二人づつ選出し、五クラスで十人いた。その中で放課後、図書館に集まり世話役の美子の元で調ものをしていたのは、いつも五人ぐらいだった。男は信也とタクだけだったようだ。
 クラスも、出身小学校も違う五人は、毎日図書館に集まるうちに友情が芽生えた。信也とタクもこの時から親しくなった友人だと言う。

 テレビでは青春ドラマが真っ盛りの時代だった。「レッツ・ビギン」「ヨシカワ君」「カースケ」などなど、学校では昨夜のドラマの話が話題の中心だった。「カースケ」のエンディングに流れる詩を覚えてきた奴もいた。ビデオなどがまだまだ一般的ではないころの話だ。
 そんなドラマの影響があったのか、信也は校長先生に今にも大声を上げそうな語り口で、何度も中止をしないでほしいと熱く語ったのだ。

「中学校の修学旅行は二度とないんやから、行かせてください。委員会のメンバーが一生懸命に「旅のしおり」を作ったことを、無駄にせんといてくださいって何回も言うたし、喧嘩には何の関係も無い奴の方が圧倒的に多く、女子はまったく関係ないのだからと、いろいろ説得したんやけど、あかんかった。校長は申し訳ないと言うだけで、分かったみんなで行こうとは言てくれへんかった」
「そのとき美子は信也の隣に立って、俯いたまま何も言わずにいたんやけど、熱弁する信也を制して一言だけ「もういいよ」と言うたんや」
 タクが言った。
「俺も美子の一言で諦めた。校長室を出て図書館に戻り、出来あがったばかりの「旅のしおり」を持って、みんな、これを大事に残しとくんやで、ほんでいつかみんなでこの「旅のしおり」の通りに旅行しよな、約束やで」
 また、信也が熱く語ったのだと言った。
 ほかの四人は少し赤い目をして、大きく頷いた。




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2009.03.06 / Top↑
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