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夏樹、飛沢、石田の三人は津和野駅に置いてあった観光案内図を片手に観光へ繰り出した。今思えば大きな荷物は、駅のロッカーにでも預ければ良かったものを、なぜか担いだままで、あちらこちらを歩き廻った。
 津和野へ来る前に一つだけ行って見たかったところがあった。白壁の武家屋敷風の建物が並ぶ町並みに、巾が一メートル程の堀が流れていて、その緩やかな流れの中に鯉が泳いでいるのを「遠くへ行きたい」か何かの旅番組を見て、強く印象に残っていた。

 夏樹の家の前にも水が流れる側溝があるが、下水道が整備される前の家庭排水路である。いわゆる「どぶ」と言うものはあった。どうしても、家の前を流れる水の中に鯉が泳いでいるという事が、ミステリアスな事実というか、信じがたいことだった。見たことのない情景を、とにかく自分の目で確認したかった。
 津和野駅から歩いて十分ほどのところに、殿町通りといわれる武家屋敷が、観光用に整備された道路沿いに並び、その白壁の直ぐ下を清んだ水が流れる堀がある。中をのぞいて見ると、本当に鯉がいた。悠々と泳いでいるではないか。十八歳の春の新たな発見、感動を与えてくれた。

 殿町を見た後は、津和野カトリック教会、乙女峠記念聖堂、などを見て廻った。京都は観光地としては日本一なのかも知れないが、キリスト教の教会などは少ないように思う。そのためか、カトリック教会などというものは珍しく、見入ってしまった。
 次に津和野城跡へ向かった。石垣の頂上に登ると一面に雪が積もり、関西人には雪は珍しく、何もない城跡の石垣の頂上一面を覆う雪に、きょう二回目の感動をもらった。
「わあ、雪や、雪やで」
 飛沢が早速、雪を手に取り丸めて投げた。
「津和野の街が全部見えるやんか、山口線の列車が走ってるのも見えるなあ」
 夏樹は風景を楽しんだ。山口線を走る列車は、上りか下りかも気になっていた。どうでも良いことのようだけれど、そこいらへんが「鉄ちゃん」の性なのである。



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2009.03.18 / Top↑
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