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「そんなに面白くはないやろ、俺らよりもおもろい奴は一杯いるからなあ」
 夏樹が飛沢の顔をのぞきこむように言った。
「ごめんね、普段通りの普通の会話だったね。俺もまじめに君たちの疑問に答えるよ」
 こみ上げて来る笑いを抑えて、ボサボサ頭を右手でかき上げる仕草を繰り返した。その度に僅かだが白い粉がポロポロと落ちた。
「その仕草って金田一耕助みたいやね」
 石田がポツリと言った。

「俺は金田市郎って言います。歳は、いいか、そんなに詳しい自己紹介は。埼玉出身で今は東京の大学へ通っています。三回生です」
 飛沢が微笑んだ。それにつられて夏樹と石田も微笑んだ。
「金田さん、その辺の話はさっき聞きましたよ」
「あっそうか」
 みんなで大笑いをした。和やかなひと時。
「俺は小さい頃から地図を見るのが好きだった。小学校の五年生だったかな、教科書と一緒に地図帳を貰ったんだよね。親父とおふくろは埼玉県生まれの同級生だから、夏休みとかに帰省ということはしなかった、だから県外へはほとんど行ったことがなくてねえ、その地図帳を見たときに俺の住んでいるところが、日本地図の点なのだってことに驚愕したんだよ。そして地図を見ることにのめり込んでしまって。地図の上で日本中を廻ったんだ。図書館に行っては貸し出し禁止の『日本の風景』だったかな、大きなカラーの本を見たり、自分の地図帳より詳しい地図帳を見たりしていた。家では旅番組ばかり見ていたよ」
「それって『遠くへ行きたい』ですか、俺もいっつも見てましたよ」
 夏樹がくいついた。
「そう、毎週欠かさず見ていたな。高校生になってユースホステルクラブに入って、長期の休みの度に各地へみんなで旅行をして、『日本の風景』で見た写真の世界を自分自身の目で見ることが出来るようになった。もうそれは驚きの連続でさあ、もちろん写真とは比べようのない迫力に感動しまくりさ」
「そうやって旅ばっかりしてたから、一浪したんですね」
 飛沢が小声で言った。




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2009.04.03 / Top↑
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