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 三人は馬鹿な話をしながら、観光案内図を片手に、幕末の情緒を味わっていた。
 伊藤博文の旧宅に立ち寄ったときに、夏樹が言った。
「伊藤博文ってあの千円札の人やなあ」
 歴史にあまり詳しくない夏樹も伊藤博文は知っていた。
「これを機会にもう少し歴史の勉強をしようっと」

 萩から浜田までは普通列車に乗り三時間ほどで移動できる。五時までには浜田のユースホステルに着きたい、そのために二時過ぎには玉江駅に戻った
 本線とは言っても山陰線はローカル線だ、列車の本数は多くはない。三人が玉江駅に着いて時刻表を見ると、次に乗れる列車は十四時二十分の出発だった。これに乗ると浜田駅に着くのは十七時過ぎになる、夕食には間に合うだろう。

 益田駅を過ぎた頃から、山陰海岸に沿うように線路がつづき、進行方向右手に海が望める。快晴の空に穏やかな海のはるか彼方に水平線がくっきりと見える。その水平線の近くにも雲が無く、海と空と、数十分後には沈むであろう太陽しか見えない。
「なんで太陽って沈む頃にはあんなにはっきりとした丸に見えるんやろ、ほんで大きく見えるし、真っ赤になったりするやろう、自然って不思議やなあ」
 夏樹が誰に問いかけるでもなく、独り言のように言った。
「空気中の塵とかが影響して赤く見えるとかって、テレビかなんかで聞いたように思うけど、忘れたわ。あんまり難しいことはわからん。俺、理科系はあんまり得意やないしなあ」
 飛沢も大きく開いた窓に両腕を組んで乗せ、少し冷たい風を顔中に受け、数十分後に沈む太陽を見ながら、独り言のように夏樹の言葉に答えた。
「どこのチャンネルやったかなあ、世界を旅して紹介する番組が始まる時の映像に、大きく真っ赤な太陽が水平線に沈んで行くのを見たことがあるんやけど、あれの実物を見てみたいなあ。もしかしたら、今日がそのチャンスやろか」
 夏樹も飛沢と同じ格好をして、水平線に近づいてきた太陽を見て言った。
 しかし、残念ながら太陽が水平線に沈む前に線路は海沿いを離れ、浜田駅に着いた。




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2009.04.20 / Top↑
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