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 トシ兄は浜田の生まれで、地元の高校を卒業後に三年間だけであるが、京都に就職した。叔母である石田の母の近くのアパートに暮らしていた。その時の思い出話しが盛り上がり、トシ兄と石田が、時には大きな声で笑いながら語り合った。夏樹と飛沢はほとんど二人の会話を聞いていたが、なぜ三人が出会い、今回の旅行を計画したのか、そんな話には加わり、さほど退屈はしなかった。

「そしたら夏樹君とヨシが同じクラスやったのは、小学校の一,二年生の時だけか、そんな二人を再会させてくれたんが、飛沢君なんやな」
「そうなんです、ほんで俺と飛沢は中学一年の時だけ同じクラス、飛沢と石田は中学三年の時だけ、おんなじクラスやった。同じ学年に四百人も居るのに、この三人で、なんか知らんけど、こうやって旅行してますねん」
 夏樹が言った。
「運命っちゅうやつと、ちゃうか。今ぐらいの歳の時の友達は、大切にせんといけん、のう。これからの長い人生で、一番の頼りになるのは若い時に親しくした友達じゃ、のう。進む道は違っもて時々は会って、酒を酌み交わすだけでもええんじゃ、大事にせえよ」
 今まで冗談が半分のような話し方だったトシ兄が、真剣に真面目な顔で話した。三人にはすごく心に染み入ったようだ。

 楽しい時間とは、時計が早回りしているのではないかと思うぐらいに、過ぎるのが早い。トシ兄の家にお邪魔をしてすでに三時間が経った。ユースホステルに戻らないといけない時間になってしまった。名残惜しいが帰らなければならない。
「また来いな、今度は美味い刺身と酒を用意しておくから、ちゃんと電話を寄こせよ。ヨシがこれなくても、お前らだけで来たかてええから、のう」
 右腕を夏樹に、左腕を飛沢の肩に回し、二人だけに聞こえるような小さな声で言った。酒の臭いが少し鼻に付いた。
「いやあ、そういうわけには、いかないでしょう、なあ」
 飛沢が夏樹の顔を見て言った。
「何を言うてんのや、ヨシの友達は俺の友達じゃが、遠慮せんと遊びに来いな」
「おぉきにぃ、ありがとうございます、きっといつか、遊びに来ます」
「あっ、ちょっと待てな」
と言って先ほどまでテーブルの上に置かれていた菓子を、そのまま大きな紙の袋に入れて、石田に持たせてくれた。
 三人は大きく頭を下げて、礼を言いユースホステルに戻った。

 ユースホステルに戻ってから三人は部屋に布団を敷き、トシ兄さんの家で貰った菓子を広げて、一つふたつと摘み、楽しかった時間の余韻に浸っていた。



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2009.04.27 / Top↑
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