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 浜田駅から出雲市駅には約二時間で着くが、車窓からの風景のほとんどが海岸線だ。緩やかなカーブが続く海岸線は変化の少ない風景だが、飛沢と夏樹は飽きもせずに、ずっと海を見ていた。時々見えてくる集落や、漁港の風景に出くわすと、何か面白いものはないかと、目だけを右左に動かし観察するのだ。そして、自分だけの発見にできず、二人は「あれ、なんや。ほれ、あそこを見てみい」と声を発する、大きく窓を開け放ったままである。
 二人が会話を交わすには、開け放った窓から入ってくる風の音が邪魔をする。目の前にいる相手の言葉が良く聞こえない。他愛の無い話しをしているのだから、お互いに相手の言っていることなどは、あまり気にせずに、独り言のように時々、何かを言っている。

 窓に両腕を組んで載せて、その上にあごを載せた二人の目の前が突然、真っ暗になり、ゴウーと大きな音ともに、今まで以上に冷たい風が、二人を襲ってきた。たまらず、夏樹が立ち上がり、大きく開け放った窓を下ろして閉めた。
「どないしたん、急に閉めて」
「いやあ、トンネルに入ったら、ちょっと寒ないか」
「まあなあ、ちょっと寒いなあ」
 さすがに三月初旬のトンネル内の風は、まだまだ冷たい。どんなに単調な車窓でも飽きることのない夏樹だけれど、この冷たい風には我慢の限界が来たようだ。

「飛沢、さっき何を言うてたんや」
「さっきって、何やたかいなあ、なんか面白い看板を見つけたさかいに、お前に見てみいって教えただけとちゃうか」
「いや、女がどうたら、こうたらって言うてへんかったか」
「ああ、綺麗な海水浴場が見えたから、あそこに可愛い女の子と泳ぎに来たいなあって,言うてたんとちゃうかなあ」
「そんな綺麗な海水浴場なんかあったかいなあ。けどなんでそこで可愛い女と一緒に泳ぎに来る話になるねん」
「だって早う可愛い彼女がほしいやんけ、そのために出雲大社に行って、ちゃんとお参りをしてお願いしに行くんやんか」
「お前、津和野ユースホステルで知り合ったくるくるパーマの川上信也に影響されたんとちゃうか」
「そんなことはないで、俺は前から早う彼女がほしかった。彼女がほしくない男なんかおるんかいな」




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2009.05.07 / Top↑
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