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「海からの風が、気持ちええなあ」
 夏樹が言った。
「ほんまやなあ、なんか気持ちええなあ」
 飛沢もようやく居眠りから目が覚めたようだ。
 三人は海の近くまで歩き、大きく両手を広げて空を仰ぎ、寝転んだ。少し頭を後ろに反らすと日御碕灯台の天地が反対になって見える。灯台の先の上空には薄い雲が、ゆっくりと流れて行く。

「ここの灯台には人は住んでへんのやなあ」
 石田が突然、灯台を見上げて言った。
 昔は、どこの灯台にも「灯台守」と言って、灯台を管理、運営している人がいた。人里離れた岬の灯台に、夫婦二人だけで灯台の灯りを絶やすことなく、点し続けた話しが映画にあるのだと、石田が得意げに話した。
「その映画って、随分と昔のとちゃうかいなあ、歌も聴いたことがある、最初のとこだけな」
 夏樹も多少は映画に興味があるようだ。
「おいら岬の、灯台守は・・・って言うのとちゃうかいなあ」
「へええ、夏樹も随分と古い歌を知ってるやんか、俺もそこだけは聞いた記憶があるなあって、俺も知ってんのかい」
 飛沢が一人万才をはじめてしまった。
 
 天気が良く、心地よい海風が体全体を駆け抜け、大きな灯台を目の前に仰ぎ見ていると、なんだか眠くなってきた。体中の筋肉からゆっくりと力が抜け、無意識の力がまぶたに襲いかかり、ゆっくりと目を閉じさせらてしまった。

 どれぐらいの時間を眠ってしまったのか、ただただ心地よい時間をすごした。
「さあ、そろそろ行こか、今日の宿へ」
 夏樹が目を覚まし、起き上がった。その言葉に飛沢が起きた。
「おい石田のやつ、いびきを掻いてるで、よっぽど気持ちよう寝てるで」
「夏樹もいびきを掻いてたで、石田よりも大きないびきを」
 飛沢が夏樹に言った。
「うっそう、ほんまいかなあ、自分のいびきは聞こえへんさかいなあ」
 その時石田が飛び上がるように起き上がった。



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2009.06.03 / Top↑
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