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「あら、お帰り、先に風呂に入らない」
 顔なじみの隣の家のおばさんが、にっこりと話しかけるように、声をかけてきた。このユースホステルのペアレントさんだ。
「あっ、はい。じゃあ、とりあえず荷物を部屋に置いてきます」
 夏樹が大きな荷物を持って部屋に向かおうとした。
「夏樹君、部屋へ行く前に受付をしてくれないかなあ」
 大学生風のヘルパーさんが夏樹に言った。
「お前どうしたんや、受付もしてへんのに」
 飛沢が大きな声で笑いながら言った。
「おっ、そうやなあ、去年の春にもここに泊まったさかいに、その時と同じ部屋やと勝手に思い込んでいたんや。ええと、これが予約した時の往復葉書の返信です、ほんで会員証です」
「あっ、思い出した、見たような気がしたのよ、そうか去年の今ごろでしょ、泊まったの、あの時も満室だったよねえ」
 夏樹が去年の春にここへ泊まったことを、ペアレントさんが覚えていてくれたのだ。
「あの時も、みんなで大蛇(オロチ)ゲームやったんだよね」
 ペアレントさんがにっこり微笑んで言った。
「あれって、オロチゲームって言うんですか」
 夕食後のミーティングの時間に、宿泊者全員で行うゲームの一つである。四組に分かれての団体戦で戦うじゃんけんのようなゲームで、大蛇は大国主命(おおくにぬしのみこと)の剣に切られてしまうので弱く、大国主命は姫に弱い、姫は大蛇に襲われるので弱い、と言った具合だ。
「大国主命は「ええい」と剣を振りかざす、大蛇は「がおう」と両手を上下に広げる、姫はどうするんやったかいなあ」
 夏樹が大蛇の格好をしたままペアレントさんの方を見て言った。
「姫はねえ、両足を揃えて少し斜(はす)に構えて、右手の甲で左のほっぺを軽く触るのよ、こんな風にね」
 ペアレントさんが姫のスタイルを真似た。ウインクのおまけ付だ。
「そうそう、姫をやるのが照れくさくって、なんか、ぎこちなかったのを思い出しましたは。ほんで何回かこれをやって、一番負けたチームが罰ゲームと言うことで、一人ずつ自己紹介をしたんとちゃうかいなあ」
「そうだったかも知れんねえ」



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2009.06.12 / Top↑
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