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「この家に住んではったんや」
 小泉八雲の旧居を前に、夏樹が言った。
「けど松江には一年ほどしかいなかった見たいやで」
「へえ、ずっとこの地に住んで、ここで亡くなった人やと思ってたは。今から百年ほど前に異国の町で暮らすって大変やったやろうなあ」
 二人は中には入らず、少しだけ立ち止まり、中を覗き込むように見渡し、そのまま通りすぎて行った。

「飛沢は四月からは大学生やなあ」
「ああ、そうや。夏樹、急にどないしたんや」
「いや、今回の旅もあと三日で帰るしなあ、ふと、帰ってからのことが思い浮かんだだけや」
「俺はちょっとぐらい延長したかて、かまわへんのやけど」
「いや、それはちょっと無理や、周遊券の有効期限っちゅうのが有るさかいなあ、三日後には一応、今回の旅は終りや」
「そうかあ、夏樹は社会人やし、なかなか休みも合わへんかもしれんし、こんな旅行もでけんようになるなあ」
「まあお互いに新しい生活に慣れたら、またいろんなことして遊ぼな」
「そやな、新しいレコードも仕入れとくは、いつでも聴きに来いよ」
「いや、働くようになったら金を貯めて、ステレオを一番に買うから、今度は俺のところへ聞きに来いよ」
「おお、その時は自転車やのうて、バイクか車で行くわ」

「さあ、そろそろ石田のところへ戻って、今日のユースホステルまで行こうか」
 夏樹が松江城の方を見て言った。
「あいつ、ちゃんと荷物の番をしてるやろなあ、戻って見たら俺たちの荷物が、なかったなんてことは無いやろなあ」
「大丈夫やろ、あいつは真面目なやつやから、荷物のことが気になって居眠りもできひんかった、ってぼやくかもしれへんでえ」
「そうかもしれんなあ」
 二人は石田が休んでいるベンチがある松江城へ向かった。




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2009.07.01 / Top↑
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