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 瞼を閉じて羊を数えても眠れなかった。
 大合唱は新たなボーカルも加わり、入れ替わり、いつ終わるかわからなかった。この部屋には夏樹をはじめ五人しかいないはずなのに、様々な寝息、鼾が聞こえてくる。ますます夏樹の目は冴えてきて、眠ることが難しくなってきた。
 こんな時は考えなくてもよいような、くだらないことを考えはじめ、頭の中をぐるぐると廻り始めてくる。そうなると、最悪な状況を作り出し、もしかすると眠っているのかも知れないが、夢と現実の狭間で頭の中だけが冴え渡りとても疲れてくる。時々時計を見ても「まだ、五分しか経ってへんのかいな」となる。
 行ったこともないような場所を一生懸命に走るのだけれど、前に進まない、とても疲れてくる。そこでハッと目が覚めて、夢を見ていたことに気がつき、窓の外が薄っすらと明るくなって来ていることに驚かされる。変な夢を見たことと、誰かの大きな鼾が耳につき、また眠れなくなる。
 次に目が覚めた時には他の人たちはみんな起きていて、寝ているのは夏樹ひとりになっていた。
 
「夏樹、やっと起きたか」
 飛沢が笑顔で言った。
「あれ、俺いつの間に眠ってしもうたんやろ」
「いつって、俺より先に眠って、大きな鼾をかいてたで、今朝もおまえの鼾がうるさくて五時半に目が覚めて、その後は眠れんかったんや」
「ええ、鼾がうるさくて眠れへんかったんは俺のほうやで、誰や知らんけど三、四人の鼾と寝息の大合唱やった」
「おまえだけやなくて、他の人も鼾をかいてた見たいやけど、おまえのが一番大きな音やったで」
「おかしいなあ、俺が鼾をかいてたなんて、聞いたことないで」
「あほやなあ、自分の鼾が聞こえるはずないやろ」
「そらそうやけど、誰にも言われたことがないから」
「夏樹が眠ってた時は俺が起きてて、俺が眠っている時はお前が起きてたっちゅうことやな」
「そういうことみたいやな、すまんな、うるさくして」
 その時同部屋の大学生二人がにこにこと笑顔で近づいて来た。
「君たち二人の鼾が大きくて俺たちも眠れなかったって話していたんだけど、俺たちも鼾がうるさかったみたいだね」
「えっ、あっ、そうみたいですねえ」
 四人は大きな声で笑った。



・拙い文章を読んでいただきありがとうございます。

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2009.07.10 / Top↑
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