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 砂丘の波打ち際まで行って、しばらく海を眺めていた。
「海は広いな大きな」
 突然、夏樹が歌いだした。
「ほんまやなあ、広いなあ。ここからは見えへんけど、この向こうには大陸があって、そこには別の国があって、その大陸は日本の何十倍もの広さがあるんやもんなあ」
 飛沢も海を見つめて、ひとり言のように話しはじめた。
「その大陸にはこの砂丘よりもずっと広い砂漠がどこまでも続いていて、インドやヨーロッパにも繋がった道がある」

砂丘の海


「それってシルクロードって言うんとちゃうかいなあ」
 夏樹も少しは勉強をしているようだ。
「何ヶ月もかけて砂漠の中をラクダに乗って、荷物を運んだんや、すごくないか、もしかしたら途中で山賊に襲われて死ぬかも知れへんのやで」
 飛沢は海を見つめて言った。
「そんな危険があるかも知れんのに、西へ東へと交易したんやからなあ」
「それって人間の欲が作り出すものとちゃうかなあ、自分が持ってない物を求める欲、見たことのない街を見たいと言う欲、そして珍しいものを手に入れて商売をして、金儲けをする欲」
 石田が難しい顔つきで言った。
「けどそう言う欲は必要なんとちゃうかなあ」
 飛沢が海を見つめたままで言った。
「そう言う欲がなくなったら、進歩がないやろ。過去の失敗、歴史を礎として学び、更なる欲を満たすために様々な道具や方法を考え造り出す、そして成功へとみちびくのとちゃうか」
 石田以上に難しいことを海を見つめたまま、さらっと言った。
「飛沢ってそんな難しいことをどこで仕入れてきたんや」
 夏樹にとっては少々理解に時間がかかる話しになったようだ。
「いや、受験勉強をしている時に気晴らしに読んだ本の中に書いてあったんや、受け売りやんか。けど人間は欲がなくなったら進歩せえへんやろ」
「まあ、そう言うことやろなあ」
 夏樹は本当に理解して返事したのだろうか。
「けどその欲と欲がぶつかり合うと争いが起こり、お互いに欲を満たすために戦争が始まる。一部の特別な権力を持った人間の欲のために、多くの人が犠牲になっていく、それなら最初からそんな欲はなかったほうが良かったのに」
 石田は様々な映画を見ているうちに、戦争とはあまりにもおろかなことだ、と言うことを痛感したようだ。




・拙い文章を読んでいただきありがとうございます。

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2009.07.15 / Top↑
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