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 夏樹たち三人しかいない風呂場は、決して綺麗ではないが、古さとほのかな温泉の香りが、少し萎びた雰囲気を醸し出し、旅の最後の夜にふさわしく、今までの疲れを癒してくれている。
「さっき、時刻表を見てみたんやけど、餘部鉄橋のつぎの次の香住駅に特急が止まるから三時過ぎにその駅に着けば、京都行きの特急に間に合いそうや」
「夏樹、何時に京都に着くんや」
 石田が言った。
「七時頃に着くなあ」
「そうか。また来たいなあ三人で」
「えっ、そやなあ、これからの方がこうやって出かけることが多いのちゃうかなあ。俺は就職するから、今までよりは使える金も増えるしなあ」
「俺は大学に行くけど、アルバイトしながらまずは車の免許を取って、安い中古の車を買うから、今度は来るまで旅をするのもええんとちゃうか」
 飛沢が言った。今回の旅で三人の心の絆は深まったようだ。三人はこれからそれぞれの道を進んでいくことになるのだけれど、またいつかこの三人で旅をすることを約束した。

 風呂から上がり、また本堂の下のスノコの廊下を通り、部屋に戻った。他にも泊まっている人は居るようだけれど、夏樹たちの部屋には三人だけだった。
 ユースホステルも様々で今回は七ヵ所に泊まったが、ミーティングがあったのは二箇所だけだった。夏樹が初めてユースホステルのことを聞いた時は、どこでもミーティングがあると聞いていたのだけれど、予想以上に少なかった。それとどうしても有名な観光地の方が、宿泊者が多いようだ。

「今日は随分と静かやなあ」
 飛沢はミーティングもなく、可愛い女の子も泊まっていないことに、元気がなく大きな欠伸をした。
「飛沢、眠そうやなあ、まだ早いけど寝よか」
「そやな、寝よか。ところで夏樹、今日は静かに寝てや」
「なんや静かに寝ろって、夏樹が大きな鼾でもかくのんか」
「石田は知らんわなあ、昨日はお前、熟睡してたからなあ、すごかったんやから」
「飛沢、おまえもあんまり人のことは言えへんのとちゃうか」
「ええ、俺もひどかったかあ。あの部屋には五人しか居てなかったんやから、もしかして石田もすごかった可能性もあるよなあ」
「あるわ、かなりあるわ。なんか俺を除く四人以上の鼾が聞こえてたような気がするわ」
「やっぱり、俺の鼾はすごいよ、親父にもよく言われるから」
「石田、ほな昨日の真犯人はお前か」
 夏樹と飛沢が声を合わせて言った。




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2009.07.27 / Top↑
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