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 京都行きの特急「あさしお」の車内は五割ほどの乗車率で、香住駅を出て二つ目の停車駅、城崎駅で十人ほどが乗ってきて六割ほどの乗車率になった。
 春休みで自由があるのは学生ぐらいで、世間的には平日である。また、今の時季は桜詣でにはまだ早いし、スキーも終わっている、観光、行楽シーズンの狭間でもある。混雑することはない。
 城崎駅の先の豊岡駅を過ぎればほとんど乗ってくる人はいなくなる。空いてる席を有効に利用して、三人が向かい合って座ることも出来るのだけれど、出来ないというか、したくない訳が出来てしまった。
 城崎駅から乗車した人が石田の隣の窓際の席に座ったのだ。歳は石田たちよりも少し上でおそらく大学生だろう、背が高く細めのスタイルに真っ直ぐに伸びたロングヘヤー、黒縁のメガネをかけている。清楚で知的な美人さんだ。何のためらいもなく切符に書かれている席番号を確認して、石田の隣に座った。
 そんな美人さんが石田の隣に座ったことを、夏樹と飛沢は城崎駅を出てから三十分も過ぎてから気が付いた。

 夏樹も飛沢も席に座ると直ぐにうたた寝をしていたから、城崎駅で石田の隣に人が座ったことに気がつかなかったのだ。石田の隣に座っている美人さんの存在を最初に気が付いたのは飛沢だった。
「おい夏樹、寝てる場合とちゃうで、ちょっとあれ見てみ」
 飛沢が夏樹の肩を叩き話しかけてきた時、ちょうどトンネルの中に入った。
「なんやあ、トンネルやからなんも聞こえへんなあ」
 夏樹が大きな声で言って飛沢の方を見た、その時石田が隣に座っている美人さんと笑顔で会話をしていることに気がついた。
「おい飛沢、どないなってんねん。石田が何であんな美人さんと楽しそうに話しをしてるんや」
「俺かて今、気づいたんや、いつの間にあんなに仲ようなったんやろ。俺たちが入っていく隙がないやないか」
 今回の旅で石田は初対面の人と話をするのが苦手だと宣言して、ユースホステルでのミーティングに参加しなかったり、拒んだりしていた。その石田が、たまたま隣り合わせた人と旧知の知り合いのように会話をしている。飛沢と夏樹が不思議そうに見るのは自然である。


・拙い文章を読んでいただきありがとうございます。

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2009.08.08 / Top↑
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