上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- / Top↑
 西本州一周の旅から戻り、一週間ほどの間に三人が集まり反省会などはやらなかった。夏樹は十日後の仕事始めに向けて、当面の生活に必要な身の回り品を少しづつ用意していたが、一日のほとんどの時間は何をするでもなく、ぼうっとして過ごしていた。就職という人生の大転換期に、親元を離れ寮での不慣れな生活が始まる。すべてが初めてづくしを前にして、当然のことであるが期待より不安のほうが多い。その不安を打ち消す術などなく、ただ毎日を無気力に過ごし、来るべき日を待ち続けた。

 入社式の前日に会社の隣にある寮に入った。同部屋の小田君は夏樹より一日早く入寮した。愛知県出身の彼とは直ぐに打解けて、寮のこと、会社のことを、一日早い分だけいろいろと教えてくれた。今までの不安が全て吹っ飛んだようだった。上司や先輩も暖かく迎えてくれた。当たって砕けろと言う言葉があるが、今回の就職に限って言えばその通りだったように思う。

 入社後は仕事一筋。旅の虫はしばらくのあいだ、何処かへしまってしまった。
 仕事が休みの日は、たいていの場合部屋か、テレビのある食堂でなんとなく過ごしていた。当時は日曜日と、祝祭日だけが休みだったから、あまり遠くへは行くことが出来なかった。仕事が終わってからは車を持っている奴がいたから、時々ではあるがドライブに誘い出されたこともあった。
 飛沢が車を買ったので、時々夏樹のいる寮へ遊びに来た。大学での新しい友人も多く出来たようである。彼女と言えるかどうか女友達も何人か出来たようだ。相変わらず社交的な彼は、夏樹の寮に遊びに来ては寮にいる人たちに気軽に声をかけて親しくなり、入社の半年後には飛沢の車で会社の仲間も一緒にドライブに出かけたり、夏樹の部屋で酒を酌み交わしたりするようになった。
 酒を飲んだ時などは夏樹の部屋に泊まって行ったこともしばしばだった。当然のことながら、同部屋の小田君も友人の一人になるのに時間はかからなかった。

「飛沢、石田は元気か、一回も顔を見せに来いひんけど」
「元気や、相変わらず真面目なやつで、学校と家の往復だけの生活をしているなあ、映画が好きなんやから映研にでも入ればええのにって、言うたんやけどなあ」
「そうかあ、今度つれて来いよ」
「ああ、誘って見るわ」

・拙い文章を読んでいただきありがとうございます。

にほんブログ村 旅行ブログへ にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ
・応援いただき、ありがとうございます。

スポンサーサイト
2009.08.17 / Top↑
Secret

TrackBackURL
→http://suzukaze930.blog19.fc2.com/tb.php/192-0f88278d

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。