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 午後六時になった。夕食の時間だ、もちろんホテルや旅館のような食事と言うわけにはいかず、飲酒も禁止だ。プラスティック製のトレーにエビフライ定食を乗せてテーブルに置き、一人椅子に座り食べた。ほぼ定員と同じだけの人たちが泊まっているのだろうか、食堂はかなり賑やかだ。夏樹の座った周りの人たちは多人数のグループや家族連れが多く、会話の仲に入って行くのは難しかった。

「人が多すぎて、なんか圧倒されてしまうなあ」

 誰とも会話をすることなく、エビフライ定食を食べ終わり、食器の返却口へトレーを持って歩いた。その時反対側から、夏樹の歩く少し前を横切り、食器返却口へ向かって行く女性が二人いた。見た目は夏樹より少し若そうだが「大学生やろか」夏樹の頭の片隅に少し記憶として記された。
 食堂を出て部屋に戻り、混雑する前に風呂に入ることにした。
 風呂は定員二百人の宿泊施設だけに、ホテル並に大きかった。まだ多くの人が食事中だから、風呂場は空いていた。ゆっくりと湯船に身体を沈ませて、手足を伸ばし、この後のことを考えた。せっかく三年ぶりにユースホステルに泊まりに来たのに、このまま寝てしまっては何のために出かけて来たのか分からなくなってしまう。夏樹はふと先ほどの二人の大学生らしき女性のことを思い出した。

「あの二人は多分、二人だけで来てはると思うなあ。風呂から上がったら談話室に行って、あの二人を探して話かけてみるしかないな」

 ひとり言のように、いや小さな声でひとり言を言って、浴槽から上がり、頭と身体を洗った。
 風呂から脱衣場へ行くと、急に人が増えていた。早めに風呂に来て、正解だったようだ。食事は座る椅子さえあればどんなに混雑していても気にならないが、風呂があまり混雑していると、少し煩わしくなる。出来ればそんな時には入りたくないものだ。
 夏樹は一人で旅に出かけたのは今回が初めてだった。飛沢も石田もいない、だから全ての行動を夏樹だけの都合で決めることが出来る。飛沢たちとのグループ旅行が煩わしい訳ではないのだが、他の人たちの都合を考えなくて良いと言うことに、今までにはない小さな心地よさを感じていた。

・拙い文章を読んでいただきありがとうございます。

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2009.08.31 / Top↑
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