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「仲間に入れてもろうて、良かったですわ、一人で来たさかいに話し相手がいなくて、ちょっと寂しかったんやけどね、ほんまに良かったわ、おぉきにぃ、ありがとう」
 夏樹は堰を切ったように話し始めた。今朝は会社の寮の誰にも会うことなく出発してきた。渋滞の国道をひたすら走り続けて、昼食は大型スーパーの立ち食いそば屋の自動発券機で食券を買い、無言で券を出してラーメンを食べたから、その店の人とは会話をしなかった。ユースホステルの受付で簡単に、少しだけ言葉を発して以来の会話だから、本日二回目の会話だった。一日の中でこんなに言葉を発しない日は、今までで初めてかもしれない。

「こんなに大勢の宿泊者がいるユースホステルに来たのは久しぶりやから、なんか圧倒されてしもうて、いやあ、ほんまに良かったですわ」
「関西の方ですか」
 二人の女性の一人が言った。夏樹が初めて見たときに少し可愛いな、と思った、夏樹の好みタイプの女性だった。
「あっ、そうですけど、わかりますか」
「わかるよう、こてこての関西弁を喋ってるやないですか」
 大学生風の三人の男の中で肩まで髪を長く伸ばしている男が言った。
「けど、あんたの喋り方も関西弁に似ているような、けどちょっと違うなあ。どっから来はったん」
 夏樹は調子が出てきたようだ。
「俺たちは名古屋から来たんだわ」
 大学生風の三人の男の中で身長が一番高い男が、名古屋弁を意識した言い方で言った。
「名古屋ですか。名古屋弁ってそういう喋り方するんですか、ちょっとだけ関西弁にイントネーションが似ているようやなあ」
「関西のどこですか。まさか地元の人だったりして」
 二人の女性の、髪をショートカットにした人が覗きもむ様に聞いた。
「俺は京都です。原付のバイクに乗って、久しぶりにユースホステルを利用しての旅に出てきたんですわ」
「バイクで一人旅なんだ。でも奈良から京都って近いんじゃないの」
 夏樹のタイプの女性が言った。
「ええ、まあ。五十キロぐらいかな」
「五十キロぐらいなら一時間ぐらいで来れるんじゃないですか」
 髪を肩まで長く伸ばしている男が言った。
「それがねえ、渋滞は酷いし、原チャリやからスピードも出せへんし、四時間近くかかったかなあ」
 他愛の無い会話が始まり、続いた。三人の男の中で短くカットした髪に軽くパーマをかけてメガネをかけた男が、会話に入ることなく笑顔でゆっくりとトランプを切っていた。


・拙い文章を読んでいただきありがとうございます。

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2009.09.04 / Top↑
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