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 夏樹は原付のバイクに乗って奈良へ一泊旅行に行った時のことを話した。
「俺も誘ってくれたらよかったのに、と言いたいところやけど、大学が休みの時はいっつもバイトに行くさかいなあ、よっぽど前から決めといて休みを取ることを、店長に言うとかんとあかんからなあ」
 飛沢はうどん屋で調理のバイトをしていた。なぜか調理の仕事が気に入っているらしく、今では副店長のような存在で、うどんだけではなく、天ぷらや、丼もの、簡単な一品料理も作ることが出来るようになっていた。生まれつきの人懐っこい性格がお客に受けが良く、店長も飛沢のことをかなり頼りにしているようだ。
 いつもなら土曜日の今日も忙しいのだけれど、週末でも一ヶ月に一回は休みをもらえるらしく、そんな時は朝から彼女とデートをして、夜には夏樹のところへ遊びに来るのが決まりになっていた。

 大晦日の浜名湖ユースホステルのことを話すと、年末年始は稼ぎ時だから、行くことは叶わないようだ。小田君も誘ったが彼は愛知の実家へ帰省するからと、こちらも叶わないようだ。
「石田は行かへんかなあ」
「たぶん、あいつも無理やと思うで。あいつの夢である映画関係のバイトをしてるらしいは、何や知らんけど大学も時々やけど休むし、年末もちょっと無理なんとちゃうか」
 「そうだったのか」石田とは半年以上も逢っていないことを、夏樹は気づいた。

 飛沢が持ってきた缶ビールだけでは物足りなくなり、小田君が持っていたウイスキーを水割りにして、また三人は飲み、語り合った。
「氷がないけど、いいだろう」
 小田君が形の違う三つのグラスに少しづつウイスキーを入れ、食堂から汲んできた水道水をグラスの八分目まで注ぎ足した。
「おう、おぉきにぃ」
 飛沢は少し眠くなったようで、呂律がはっきりしない声で小田君に礼を言った。
 夏樹が初めてのボーナスで買った小さなラジカセからBGMが流れていた。飛沢の家のステレオで録音したビートルズの「青版」だった。
 小田君からグラスを受け取りながら、夏樹は鼻歌交じりにビートルズの曲を歌い始めた。むちゃくちゃの英語のような言葉だった。


・拙い文章を読んでいただきありがとうございます。

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2009.09.22 / Top↑
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