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「こんにちは」
 夏樹は受付で渡されたシーツと手作りの歌詞カードを持って、自分の部屋に入った。部屋のドアを開けると、左右に二段ベッドが二組づつの八人部屋だった。すでに五人の先客がそれぞれのベッドに荷物を置き、おもいおもいに時間を過ごしていた。
「こんにちは、ここ空いてますよ」
 通路に立って荷物の整理をしていた男が、奥の右側の下のベッドが空いていると教えてくれた。
 荷物を通路に置き、まずはベッドメイキングをしようとシーツを広げて準備を始め
た。
「あれ、ここへは初めてなの、多分だけど,ここで寝ることは無いと思うよ。コンサートに参加するんでしょ」
 このベッドが空いていると教えてくれた男が言った。
「ええっ、遅くなるだろうから先にやっといた方がええかと思って・・・」
 広げたシーツを両手で持ったまま夏樹は不思議そうに言った。
「だって朝までやると思うし、陽が登る前にここを出て海岸まで行って、初日の出を見るからねえ」
「あしたの朝は晴れますかねえ、誰か明日の天気予報を見てないですか」
 夏樹のベッドの上のベッドから突然、顔を出して通路に立っている男に聞いた。
「たぶん良いと思いますよ。きのう見た週間予報では晴れるって」
 入り口ドアの近くにいた男が言った。
「ところで今年もチガサキさん来たかな」
 夏樹のベッド上のベッドの男が言った。
「来るだろう、毎年の恒例行事だからね。あいつの「思い出の渚」は最高だからね」
「そうだよね、彼のあの歌を聞かないと大晦日になった気がしないんだよね」
「今年は一番に歌ってもらうようにさ、みんなで最初にリクエストをしようよ」
「いいねえ、この人数でもって大きな声で「思い出の渚、歌ええ」て叫ぼうぜ」
「よし、今年はチガサキの「思い出の渚」からはじまりだ。
 夏樹以外のこの部屋にいる五人の会話である。いまだに両手で広げて、立ったまま話を聞いていた夏樹が、ようやく無造作に広げたままベッドへシーツを置いた。




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2009.10.08 / Top↑
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