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「今のはあかんは、反則やでトオルさん」
「ぎりぎりセーフや、セーフ」
「本当にこの人たちって、いま、知り合ったの、信じられないぐらいに親しいね」
 タナカが笑顔で言った。
 この後のコンサートも、初日の出を拝みに行く時も、智史たち三人、タナカたち四人、そして夏樹、他にも仲間が増えていったが、ほとんどの人たちとは二度と逢うことは無かった。二十五年後の今も再会していない。トオルともこの二日間だけの会話しかしていない。この日の次の年に一度だけ智史たち夫婦と、東京で落ち合ったことがあったが、今では年賀状だけの付き合いである。
 この先も全国へ旅をして、多くの人たちと出逢ったけれどほとんどの人は、そのときが最初で最後だ。何人かの人たちとは年賀状だけはいただき、送っている。もう、みんながおじさん、おばさんになったことだろう。なかには孫がいる人もいるかもしれない。(夏樹もそろそろかな)

 ホールの方からギターとピアノの音が聞こえてきた、そろそろニュー、イヤー、イヴ、コンサートがはじまるようだ。歌詞本を持ってホールに行こうとタナカが皆を促した。それぞれが歌詞本を片手にホールに集まり、思い思いの場所に陣取り、床に腰を下ろした。夏樹の周りには智史たち、タナカタたちがいた。夏樹の隙を狙うように、後ろにトオルが座った。
 バンドのメンバーはギターが二人とベース、シンセサイザーの四人。シンセサイザーでドラムの音も出している。地元のアマチュアバンドだそうだ。当時、人気のフォークグループ「かぐや姫」に対抗して「あんみつ姫」と言う名前だったように記憶している。

                           歌詞本


 楽器のチューニングが終わり、ペアレントさんの挨拶があった。とても穏やかな話し方の人で、皆に親しまれているのだろうと言う人柄が伝わってくる。
 ペアレントさんの挨拶が終わると同時に、天井から幅が一メートル以上もあり、長さ五メートルは有にありそうな紙が、するすると下へ伸びてきた。
『旅のおわり、やれ』と大きく書いてあった。
「旅のおわり、やれえ」
 五,六人の男の大きな声がホール中に広がった。



・拙い文章を読んでいただきありがとうございます。

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2009.10.23 / Top↑
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