上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- / Top↑
「落陽、いつも始まりは落陽だよ」
 別のところから大きな声が聞こえてきた。
「じゃあ、いつもどおり落陽からいきましょうか」
 あんみつ姫のリーダーらしきギターを持った男が言った。
 吉田拓郎の落陽がはじまると、五人の男がバンド達の前に横並びになって、曲に合わせて踊り始めた。毎年恒例のオープニングセレモニーのようなものなのだろうか、多くの参加者が歌詞本を見ないで歌っている。正直言って夏樹はこの歌を知らなかった。今では数あるマイベスト曲の上位に入っている。
 二曲目は大きな垂れ幕に書いてまでアピールした旅のおわりが始まった。
 チェッカーズや松田聖子といったその当時のヒット曲から、少し前のフォークソングなど、百曲が歌詞本には掲載されている。全曲が手書きをコピーして一冊の本になっている。
 参加者のリクエストで歌う曲が決まり、リクエストした人が前に出て生バンドの前で一人、マイクを持って歌うのだ。なかにはその歌手になりきって熱唱する人もいる。マイクを持って歌っている人がリードボーカル状態で、参加者全員が歌詞本を見ながら、こちらも熱唱する。参加者全員での大合唱が続く。

 アマチュアだけど生バンドを中心に次々と歌が続くのだけれど、今のカラオケボックスで熱唱している人たちは多少のアルコールが入っているが、ユースホステルは基本としてアルコールが一切飲めないのがルールである。(現在は少し変わったようだ)当たり前だけれど誰一人として酒に酔っていない、それでもすごく盛り上がっている。歌手、ミュージシャンのコンサートに行ったことのない夏樹は、初めての体験に感動していた。
 始まってからどれくらいの時間が過ぎただろうか、この場の雰囲気に慣れてきた。ついに夏樹もリクエストした。何でこの曲をリクエストしたか良く覚えていないが、曲名は良く覚えている。安全地帯の「ワインレッドの心」だった。もちろん、一人でマイクを持って生バンドの前で歌った。歌詞本から目を離して、観客の方を見る余裕などまったく無かった。歌い終わったら伴奏が終わる前に、さっさと元の居たところへ、いそいそと戻って行った。


・拙い文章を読んでいただきありがとうございます。

にほんブログ村 旅行ブログへ にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ
・応援いただき、ありがとうございます。

スポンサーサイト
2009.10.26 / Top↑
Secret

TrackBackURL
→http://suzukaze930.blog19.fc2.com/tb.php/222-1fe87692

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。