「なんだよ夏樹君、ずっと下を向いたままで歌っちゃだめだよ。せっかく前に出て行ったんだから、もっと表現しなきゃ」
「じゃあ次はトオルさんが歌ってくださいよ、そして表現してきてくださいよ」
「いや、俺はいいの、歌はね聞くものだから」
「すっげえ音痴なんだよこいつは」
智史が言った。
「音痴なんかじゃないよ、俺が歌うのに適した歌が無いだけだよ」
「負け惜しみを言ってんじゃねえよ、こいつねえ意外と頭良いんだよ、一応だけど国立大出身だから」
「一応は余計だろ」
トオルの顔つきが真剣になってきた。
「まあ、そんなことはどうでもいいさ。頭はいいんだけど歌だけは、まったくダメなんだよ。中学校の時の文化祭でさクラス対抗の合唱コンクールがあるんだけど・・・」
「おい智史、何で今、ここでそんな話を始めるんだよ」
トオルが智史の首に後ろから右腕を回し、話しを遮断した。それでも智史は話を続けた。
「あまりに音程が外れているものだから、先生に個人レッスンを受けたんだよ。でも、どうしようもなくてさ、最後には『トオル君、あなたは口だけ動かしていなさい。声は出さなくていいですから』って言われちゃたんだ」
「もうそれ以上は何も言うな。これ以上お前が喋ったら俺はお前との友情を、今日までとするぞ」
「お前、その台詞さあ、俺に何回言った。言った後で直に、『さっきの発言は取り消す、今まで通りに友達でいてやるよ』って言うじゃん。いつも」
「まあまあ、ええやないですか。中学校からの付き合いなんですか、お互いによき友なんでしょ」
トオルと智史の会話が少し本気モードになってきたので、夏樹が割って入るように言った。
「中学校からの付き合いだったかなあ」
「智史とは小学校の四年の時からだよ。忘れたのかよ。それに中学校の時に歌の個人レッスンを受けたのは、音楽の先生が綺麗な先生でさ、わざと下手に歌ってその先生に近づいたのさ」
「嘘付けぇ、あの時の音楽の先生は男だったぞ」
「そうさ、俺はこれだから」
トオルが右手の甲を左の頬に軽く当てた。
・拙い文章を読んでいただきありがとうございます。

・応援いただき、ありがとうございます。
「じゃあ次はトオルさんが歌ってくださいよ、そして表現してきてくださいよ」
「いや、俺はいいの、歌はね聞くものだから」
「すっげえ音痴なんだよこいつは」
智史が言った。
「音痴なんかじゃないよ、俺が歌うのに適した歌が無いだけだよ」
「負け惜しみを言ってんじゃねえよ、こいつねえ意外と頭良いんだよ、一応だけど国立大出身だから」
「一応は余計だろ」
トオルの顔つきが真剣になってきた。
「まあ、そんなことはどうでもいいさ。頭はいいんだけど歌だけは、まったくダメなんだよ。中学校の時の文化祭でさクラス対抗の合唱コンクールがあるんだけど・・・」
「おい智史、何で今、ここでそんな話を始めるんだよ」
トオルが智史の首に後ろから右腕を回し、話しを遮断した。それでも智史は話を続けた。
「あまりに音程が外れているものだから、先生に個人レッスンを受けたんだよ。でも、どうしようもなくてさ、最後には『トオル君、あなたは口だけ動かしていなさい。声は出さなくていいですから』って言われちゃたんだ」
「もうそれ以上は何も言うな。これ以上お前が喋ったら俺はお前との友情を、今日までとするぞ」
「お前、その台詞さあ、俺に何回言った。言った後で直に、『さっきの発言は取り消す、今まで通りに友達でいてやるよ』って言うじゃん。いつも」
「まあまあ、ええやないですか。中学校からの付き合いなんですか、お互いによき友なんでしょ」
トオルと智史の会話が少し本気モードになってきたので、夏樹が割って入るように言った。
「中学校からの付き合いだったかなあ」
「智史とは小学校の四年の時からだよ。忘れたのかよ。それに中学校の時に歌の個人レッスンを受けたのは、音楽の先生が綺麗な先生でさ、わざと下手に歌ってその先生に近づいたのさ」
「嘘付けぇ、あの時の音楽の先生は男だったぞ」
「そうさ、俺はこれだから」
トオルが右手の甲を左の頬に軽く当てた。
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