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 車内はほぼ満席で賑やかだったが、窓側の席に座ることができた。高山までは三時間、急行「のりくら号」の終着富山までは五時間ほどの道のりだ。岐阜で少しの乗降客があり、駅を過ぎたころから少しづつ山が近づいてくるようになり、都会から山里への風景に変わっていった。そして高山まではあまり乗り降りする人はいなかった。
 名古屋駅からは夏樹の前の席には、若いお母さんと小学校前ぐらいの男の子が座っていた。会話をすることはなく、夏樹はずっと車窓を見ていた。山陰本線の車窓は毎年見る風景が、いつもと変わらず進む中で新しい発見をしたり、時折いつもと違う変化したところを見つけたりして楽しんでいた。
 今回の高山線は初めて通る線路だ。次々と現れる新しい風景は夏樹の興味を休ませることはなく、頭の中に僅かに記憶されている日本地図と照らし合わせながら楽しんだ。
 高山に近くなるころには周りの山々は高くそびえ、頂には真っ白な雪が積っていた。沿線の田んぼや畑には積った雪が残り、見渡す限りの白い大地に感動していた。

高山付近


高山付近2

 なぜ人は真っ白な雪の世界を見て心が和むのだろうか、雪はいずれ解けてなくなる、その不確かな存在が全てのものを白一色に変化させて、光の明暗によってのみ、そのものの形や存在を知ることができる。美しくないものも覆い隠し、真新しい画用紙のようになる。寒ければ寒いほどその白さが増してきて、美しいと感じる。
 雪国にとってはとても厄介なものなのだが、気温が大幅に氷点下となり、夜通し吹雪いた翌朝に快晴を迎える時が稀にある。その時、真っ青に済みきった空を背景に、燦燦とふりそそぐ日差しによって白一色の山や木々が照らされた、純白の濃淡だけの情景は、ひと時の静寂と感動を与えてくれる。
 厄介ものからの、贈り物のようである。


・拙い文章を読んでいただきありがとうございます。

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2009.12.14 / Top↑
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