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「ほな、イマさんに惚れて告白する女の人はいなかったですか」
「夏樹さん、正直に言うと、いたんだよ。毎月のように来てくれる常連さんで、ヘルパーとして手伝ってくれたこともあったんだ」
「えぇぇ、もてたんやないですか」
「いやあ、その人はね俺を好きになったんじゃなくて、このユースホステルに憧れていたようなんだ。でも現実は厳しいからねえ、ゆっくりと話をすると「私には無理です」って、それっきり来なくなっちゃたんだ」
「現実は厳しいって、どれぐらい厳しいんですか」
 スミちゃんがイマさんの顔を覗きこむように聞いた。
「協会の直営ユースホステルの職員だから、公務員じゃないけど公務員みたいな存在かな。給料は安いし、旅が好きでこの仕事を選んだけど、旅には何年も出かけていないなあ。それと全国に直営のユースホステルがあるでしょ、だから数年で転勤もあるからねえ」
「家庭を持っていると大変ですねえ」
「スミちゃん、イマさんと出合ってみたら」
「係長さん、スミちゃんが困っていますよ、そう言う冗談はよくないですよ」
 イマさんが係長の背中を軽く叩いた。
「イマさん、すみません。私は一人娘なので、親の住まいから遠いところへは駄目なんです」
「スミちゃん、冗談、冗談だよ。ごめんね」
 係長が大きく頭を下げて謝った。そして、そこにいた皆が大笑いした。イマさんだけが少しだけ寂しそうに見えた。

 佐藤と薬屋も食堂に現れた。男五人で朝食を済ませ、食器を片付けてから、イマさんと女性三人も呼んで係長のカメラで記念撮影をした。それぞれが係長に住所を教え、写真を送ってもらうことを約束した。
「係長はん、ちゃんと送ってやあ。楽しみに待ってるから」
「ごめん、俺んちの近くの郵便局は名古屋より西には送れないから」
「そうかあ、ほなしゃあないなあ、そのうち貰いに行くはって、こらあぁ、そんな郵便局はないわい」
 みんなが大笑いした。久々にうけたので、夏樹も満足だった。

・拙い文章を読んでいただきありがとうございます。

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2010.02.08 / Top↑
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