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 昼頃に穴水駅に着いた。空は相変わらすどんよりとした雲が、低く垂れ込めている。僅かに雨が落ちてくるのが見えた。
 急行として金沢から七尾まで走って来た列車は、そのまま普通列車として穴水からは、前のほうの車両は能登線の終着、蛸島へ向かって大きく右の方へカーブをして先に出発した。夏樹が乗った残りの車両が輪島へと向かう。一両に乗客は十数人ほどだろうか、空いている。
 しばらくすると、山間部に列車が入っていった。駅を出発して数分が過ぎているが、いっこうにスピードが上がらない。駅が近づき徐行運転をしているかのように、ゆっくりと前に進んでいる。しかし次の能登三井駅まではまだ十五分ほどの時間が必要だが、相変わらずゆっくりと徐行運転をしている。
 車窓には雪が覆い被さった木々が目の前に続き、時々「キキィ、キィィ」と車輪が線路を擦る音が、窓を閉めていても大きく聞こえてくる。時々ではなく、頻繁に「キキィ、キィィ」と聞こえてくるようになった。こんなにも頻繁に車輪が線路を擦る音が続くということは、よほど半径の小さいカーブが続くことが伺える。
「きついカーブが続くさかいに、ゆっくりと走ってるんやなあ」

 穴水から四十分ほどで輪島に到着。駅前の道路に雪は少なく、車道の脇や歩道にはシャーベットのようになった、水分の多い雪が積っている、と言うより残っている。駅舎を出ると風が強く、空からは僅かに冷たい雨が強い風に乗って、横なぐりに夏樹を目がけて向かってくる。
「雨が降るなんて思ってなかったから、傘を持ってきいひんかったもんなあ」
 現在と違ってコンビニなどはなく、安い手ごろな傘を手に入れることは難しい。ましてやローカル線の終着駅である、なおさらのことだ。
 雪の少ない土地に育った者は雪に対して間違った認識を持っている。雪は雨と違って濡れない、だから傘が必要ないと思っている。大きな間違いである。もしかしてこのような認識をしているのは、夏樹だけかも知れないのだが。



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2010.02.13 / Top↑
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