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 タケさんはタカハシ夫妻の結婚までの馴れ初めを話し終えると、湯のみに入っているお茶を一息に飲み干し、新たにポットからお茶をゆっくりと湯のみ茶碗に注いだ。
「そういえば彦さんが言っていたわ、ここで知り合って結婚した人が三十組ほどいるって」
 ヨッコが言った。
「私も聞いたことがある、その結婚した人たちのほとんどから招待されたって」
 ヨッチがヨッコの背中を軽く三回、叩きながら言った。
「へえ、ほなここにいたはるメンバーの中からも、将来、結婚に発展する人がいたはるかもしれんねえ」
 大阪出身のアマノ、通称テンちゃんが言った。なぜかこの話しには誰も反応を示さなかった。あえて避けて通ろうとしているかのようだった。
 三十年ほど前の話だから、今ではもっと多くのカップルが誕生しているかも知れない。千人以上の常連ホステラーの顔と名前が、一致すると言う話しも聞いたことがある。

「おうい、夕飯の準備を手伝ってくれないか」
 いまみんなが集まっているのはミーティングルーム兼、食堂である。そのすぐ隣に厨房があり、そこから彦さんの声が聞こえてきた。全員がすぐに立ち上がり、厨房の中へ入って行った。ここへくるのが初めての夏樹は、少し出遅れてしまった。
 イトウとポマード男のシンちゃん、タケさんがホットプレートを持って食堂に戻ってきた。今日の夕食は焼肉なのだと言う。正月の三が日は特別料理で、一人に一本だけ缶ビールも付いた。いまは飲酒もできるユースホステルもあるようだが、この当時は飲酒禁止がユースホステルの常識であった。
 あとにも先にも夕食時に酒を飲んだのはこの時だけ。いや、よく考えてみると、もう一度あった。それもペアレントさんと差しで、目の前に一升瓶を置いていたことがあった。その話しはもう少し旅が本格的に進んだころのこと、もう少し後のことだ。





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2010.03.10 / Top↑
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