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 他に誰も起きてこない少し遅めの朝に、二人だけが朝食も食べずに、かつら崎の話を夏樹は聞いた。そして、タケさんと夏樹とは十歳の年の差があることをタケさんから確認した。
 タケさんは三十歳を過ぎていたが独身だった。タケさんより一歳年上のジュンさんに見習って、かつら崎でいい人とめぐり合えることを期待し、年間に数回はここへ来るのだが、運命の出会いは、まだ叶っていない。
「じゃあ、いままでにいい人やなあって思った人はいたんですか」
「いたんだけど、なぜかここへは一回だけ来て、リピーターとしてまた来る人がいないんだよ。二回目に合ったらアタックしてみようと思うんだけどね。その二回目が運命的だと思うんだよ」
「そんなにうまいこと、いきまっかいなあ。一回だけって、二回目のときにたまたま、タケさんが来てへんかっただけとちゃいますのん。俺みたいな恋愛経験なんかほとんどない若造が言うのも変やけど、一回目の時にええ子やなあと思ったら、二回目への道筋を作っとかなあきまへんがな」
「道筋を作ったら運命的じゃないじゃないか」
「めったにあることや、ないさかいに、運命的なんとちゃいますか。それにその運命的な出逢いが、ほんまにいい恋愛を作ってくれるとは、かぎらへんしねえ」
「それは、そうなんだけどね」
 そう言ってスキー帽を右手で持ち、左手で大きく頭を掻いた。
「いま、ここに泊まっている人の中には、いいなあと思う人はいてないんですか」
「いないよ。でも・・・・・・」
 タケさんは途中まで言いかけて話すのを止め、煙草に火を点けた。
「昨日から泊まっている人の中にはいないんだけど、今日、ここへ来ることになっているんだ」
「ほんまですか」




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2010.03.23 / Top↑
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