上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- / Top↑
 新潟行きの特急列車がホームに入って来た。
「バイバイ、必ず東京に行くからね」
 クリタが二人の女子大学生の手を握り、笑顔で言った。
 二人は列車に乗り込み、とりあえずホーム側の空いている席の窓際に座り、ホームに残った四人に大きく手を振った。特急だから窓は開かない。何かを話しているのか、口が動いていても何を言っているかわからない。
 列車が動き始めた。ホームに残っている四人がゆっくりと歩きながら、二人に笑顔で手を振った。
 東京へ帰る女子大生を見送り、四人は臨時急行に乗り込んだ。臨時列車だからだろうか、七割ほどの乗客がまばらに座っていた。四人掛けのボックス席に陣取り、夏樹たちはさまざまな話しをした。一人で列車に乗る時はいつも車窓を眺めて、いろいろな発見をして楽しんでいたが、今日は通路側に座り、車窓をほとんど見ることはなく、四人での会話を楽しんだ。
 夏樹と二人の男子大学生が降りる京都駅までのあいだ、誰も席を離れることなく、会話が途切れることもなかった。三時間という時間は瞬く間に過ぎ去り、夏樹たちの乗った臨時急行は京都駅に入って行った。本当の別れがやってきた。
 クリタはそのまま大阪へ、そこから山陽線に乗り換え岡山の宇野から宇高連絡線で高松に向かう。家に着くのは九時を過ぎるようだ。

 大晦日から四泊五日の旅もまもなく終わろうとしている。ユースホステルと言う男女別相部屋の宿で多くの人と出会った。出身地や年齢、職業、その立場などは何の関係もない。旅の途中のある日に、同じ所に泊まった者同士、と言う共通点だけで、様々な会話をし、情報交換をした。ほんの少しだけど、人として大きくなったような気がする。
 夏樹と二人の男子大学生は改札口で握手を交わし別れた。
「いつの日か、またどこかで会いましょう」


       小説のような、旅のはじまり 七章 終り


・拙い文章を読んでいただきありがとうございます。

にほんブログ村 旅行ブログへ にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ
・応援いただき、ありがとうございます。

スポンサーサイト
2010.04.30 / Top↑
Secret

TrackBackURL
→http://suzukaze930.blog19.fc2.com/tb.php/293-2952c128

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。