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「そうかあ、映画の仕事は諦めたんか」
 夏樹が言った。
「実際、映画の世界はかなり難しいし、厳しい世界やから、俺みたいにあんまり積極的やない人間には、ちょっと無理なんよ」
「けどそれなりに、いろんなことをやってたんやろ」
「たまたまな。なんや知らんけど、あの時の助監督さんに気にいられただけやから」
「ほな、どっち方面に行くつもりなんや」
 飛沢は片肘をついて横になって言った。
「稲刈りは天気が良い時だけやるから、急に仕事を休まなあかんし、一般企業より公務員かなあ。飛沢はどないすんねん」
「飛沢はもう寝てるで、ほんまにこいつは酒が弱いなあ、缶ビールを一本飲んだだけやのに」
 そう言った夏樹の顔も真っ赤である。
 布団を敷き飛沢を叩き起こしてそこに寝かした。石田は三本目のビールを、夏樹は二本目を開け、三人で行った旅の思い出などを話した。
「出雲に行った時は、おもしろかったなあ」
「石田、お前は帰りの列車の中が面白かったんやろ」
「あの時に住所を聞いておいたらよかったって、最近思い出す時があるんや」
「そやなあ、ちょっと美人さんやったもんなあ」
「そやなあ」
「皆が働くようになったら、旅にもなかなか行けんようになるなあ」
「そうやなあ」

 翌朝は昼近くまでごろごろとして、ちょうど昼に二人とも帰って行った。
「ほな、またな」
 飛沢の帰る時の決まり文句である。
 夏樹はインスタントラーメンを作り、それを食べ終えると原付のトレールバイクに跨り、山沿いの国道を郊外へ、気の向くままに走った。しかし、今は一月である晴れていてもまだまだ寒い。生身を寒風から守る防寒対策には限界がある。バイクを走らせて浴びる風により、体感温度はさらに下がり、体中が震え上がっていた。




・拙い文章を読んでいただきありがとうございます。

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2010.05.10 / Top↑
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