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 郡上八幡に近づくころには交通量も減り、信号もあまり現れなくなった。快晴の空模様の中をひたすら北へバイクを走らせた。
 南中に近い位置にいる太陽が、夏樹の背中を容赦無く照りつける。合皮とはいえ、防寒用のジャンパーから湯気が上がっているのではないか、と思えるほどに暑い。北に向かって走っているのだから、常に南からの太陽の熱を背中に浴びていることになる。
「暑っついなあ、背中も暑いし、エンジンからも熱が上がってきて、それがヘルメットの中へ入ってきよるがな、腰も痛くなってきたなあ」
 単気筒のエンジンは排気量が百二十五cc、小太鼓をリズムよく叩くように、タンタンタンと軽快な音を轟かせて前に進んだ。
「おしりも痛いなあ、ちょっと休憩しょうか」
 まだ郡上八幡の手前である、あまり長く休んでいることは出来ない。この先、二百キロほどの距離が残っているのだから。
「缶コーヒー一本と、たばこを一本だけ」
 この当時は禁煙前である。
 自販機の前にバイクを止め、ヘルメットを取り、バイクのミラーに被せた。
「ふう」
 冷たい缶コーヒーを落とし、一気に喉を通した。
「ああぁ、うまい」
 少しだけ暑さが和らいだように思える。その時だった、右手の方から数台のバイクがエンジン音を轟かせてこちらに向かってきた。先頭はロードタイプの大きなバイクだ。四百ccを越える大型のもので、夏樹の前を通り過ぎる瞬間にこちらを見ながら右手を少し上げた。ヘルメットのシールドの中の笑顔は、夏樹に挨拶をしたように見えた。夏樹は見ているだけで、何もすることができなかった。
「今のはなんやったんやろ」と思う間もなく、次々と大型のバイクが目の前を通りすぎ、どのライダーもこちらを見ながら右手を軽く上げていった。



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2010.07.17 / Top↑
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