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 信号はほとんどなく、対向車もあまり見かけない、いわゆる田舎の道なのだが、鳥居町の常照皇寺という寺には天然記念物の、九重桜がある。とても大きな枝垂れ桜だ。数年前にNHKの桜を特集した番組で見たように思う。初めてこの満開の桜を見たのは三十年ほど前のこと、現在はどうなっているのだろうか。
 田園風景の緩やかな道路を走り、やがて周山に着く。福井と京都をつなぐ国道162号、通称周山街道を左へ曲がる。ここからはカーブが連続の山道に入り、二つの峠を越えて、京都市内に入る。(現在は統合して、周山も京都市右京区になっている)
 時々急カーブがあり、そのたびに右へ左へとバイクが大きく傾くが、後ろに千葉が乗っていることを忘れてしまいそうになり、つい一人で乗っている時のようにスピードを出しまま、カーブを曲がってしまう。
「あっ、そうか」
 一つ目の峠の頂(いただき)付近に、車が三台ほど止められる空き地があり、そこにバイクを止めて小休止とした。
「ほんまに、乗せてもらうのは上手やねえ、乗せているのを忘れてしまうわ」
「だって、せっかく乗せてもらうんやから、運転する人の負担にならんようにせんとね」
「いやあ、恐れ入りました」
「また、乗せてくださいね。ちょっと厚かましいけど」
「かまへんけど、青田さんはええのんか」
「青田さん?別に何でもないけど、ただのお隣さんやけど」
「あっ、そうなんや」
「・・・ええ。いや、かなんなあ、関係ないから」
「先輩、残念でした」夏樹は心の中でつぶやいた。
 小休止を終え再びバイクを走らせ、そのまま千葉のアパートまで行った。その三ヶ月後に突然、千葉は福井の実家へ帰ったと、青田から聞かされた。


・拙い文章を読んでいただきありがとうございます。

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2010.09.15 / Top↑
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