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「こんばんは、おばちゃんビールちょうだい、コップは三つで」
 青田が店に入るとすぐに言った。店には他の客の姿はなかった。
「はい、いらっしゃい、なんやあんたらか、けどこちらさんは初顔やねえ」
「野田、この店初めてか、給料前の金のない時はここに来るなよ、このおばはんに、金がない時はインスタントのラーメンでも食ってしのぐもんやって、怒られるで」
「当たりまえやんか、若い時はちゃんと貯金をして、頻繁に外へビールを飲みにいくもんやない、ましてや給料日の前に金があるわけがないやろ」
「そんなことを言うてるから、儲からえへんねんで、おばちゃん」
「あほなことを言いなや、あんたらが来てくれんかて、商売はやっていけます」
 おばちゃんはビールの栓を抜いて、青田のコップに注いだ。青田は少しコップを傾けて持ち、微笑んだ。
「ところで青ちゃん、寮を出てアパートに住んでんにゃて、もったいないなあ、結婚資金に残しといたらエエのに」
「俺かてもう二十五やで、いつまでも寮にいるわけにはいかんやろ」
「ええ、そうなんですか、二十五になったら寮を出んとあかんのですか」
 野田が少し不安な顔で言った。
「ちゃうちゃう、どうせ青ちゃんは、部屋に女を連れ込むために一人暮らしを始めたんやんやろ」
「おばちゃん、今日はその話は禁句や、ふられたばっかりやねん」
 夏樹が小声でおばちゃんの耳元で言った。
「女にふられたぐらいで、辛気臭いなあ。そしたら今日は青ちゃんのおごりやな」
「青田先輩、ふられたんですか」
「野田、まあええやんか。先輩、まあ飲もう、ね」
「青ちゃん、誰にふられたんや、会社の子か」
「おばちゃんは、真っ直ぐやなあ。もっちょと飲んでからの方が、ええのとちゃうか」
「夏ちゃん、飲んでからやと、余計に辛気臭くなるさかい、早めに喋った方がええねん。青ちゃん、男なんやから、いつまでもくよくよせんと、ほら、うちからのおごりや、飲み」
 おばちゃんはそう言うと、ビールの栓を抜き、青田の前に置いた。


・拙い文章を読んでいただきありがとうございます。

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2010.09.20 / Top↑
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