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「ビール、飲もうか」
 野田が夏樹を誘いビールだけが入っている自動販売機へ向かい、それぞれがレギュラー缶を落とした。栓を開けてひとまず乾杯をした。
「うんん、なんや随分とぬるいなあ」
 夏樹が言った。
「ええ、そうですかあ、俺のは、よう冷えてるけどなあ」
 同じメーカのレギュラー缶の見本が七本並んだ自動販売機に、もちろん同じ値段のボタンが七個ある。夏樹は右端にあるコイン入れに右手でお金を入れ、右手でボタンを押したから、おそらく右端を押したようだ。
「野田はどのボタンを押した?」
「左手で押したから、左端かな」
「左の方が冷たくて、右の方はぬるいんやろか」
 ビールが冷えていないからと言って、交換してもらうわけにいかず、仕方なくそのまま近くの椅子に座り飲むことにした。
 二人は缶ビール片手に他愛のない会話をしながら、目の前の自動販売機で缶ビールを買う人を、なんとなく視界に入れていた。係員が販売機にビールを補充しているのを見たときだった。
「あっそうか、なるほどな」
 夏樹はあることに気がついた。なぜ夏樹の買った缶ビールが冷えていなかったのか。
「野田は左利きやったかいなあ」
「字を書いたり、箸は右ですけど、ボールを投げたり、バットを左なんです。絵を描く時も左を使うことがあるなあ」
「それや」
「ええ、何が」
「人の多くは右利きなんや、そやから右側にコイン入れがある、右手でコインを入れて、右手でボタンを押す。七個も並んでいるボタンも売り切れでないかぎり、無意識に右の方のボタンを押すんや」
「なるほど、そやから右の方のビールが早くなくなるから、右の方だけ補充をする、ほんでまた右の方のビールが買われるから、ぬるいのが出てくるんやねえ」
 廻りを見渡したところ、缶ビールの自動販売機はこの一台だけだった。




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2010.10.14 / Top↑
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