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 野田は面接という雑談だけの就職試験を難なくクリアーして、夏樹と同じ会社に就職した。入社して直ぐに型紙を使って模様を染めていく部門に配属された。入社して三年目、楽しく仕事をこなしているようだ。
「仕事はやりがいがあるし、面白いですよ。版画は趣味として少しやってます」
「そうかあ、それはなによりやなあ」

 そんな話をしながら、一本目の缶ビールを飲み干した。船内の柱時計は、まだ午前十時を少し過ぎたころだった。今日はとても一日が長く感じる。この後もフリースペースで乗客ウオッチングしたり、船内探索と称して、うろうろと廻って見たりもしたが、そんなに広い船でもなく、ほとんどが客室なのだから見て回れる場所は、かぎられている。直ぐに全部を見て廻ってしまった。
「今度は缶ビール持って、甲板に行こうか。暑いところで冷えたビールは美味しいのとちゃうか」
「いいですねえ、そうしましょう。今度は俺が買ってきますよ」
 そう言うと野田は自動販売機へ向かった。
 甲板からは360度の水平線しか見えない。空には雲がほとんどなく、甲板の床は夏の日差しに炙(あぶ)られ、熱くなっている。床に座り込んで、短パンの下から出ている素足で直に触れることはできなかった。
「やっぱり暑いなあ」
「けど、風は気持ちが良(い)いやないですか」
「そやなあ、ビールもよよう冷えてるし、なんかこの開放的な風景の中で、昼日なかからのビールが、心地よい酔いを・・・」
 夏樹は低い段差でつまずき、転びそうになった。かろうじて右手に持っていたビールをこぼすことはなかったが、ビーチサンダルしか履いていない右足の二本の指がかなり痛手を被ったようだ。
「あいたたった・・」



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2010.10.26 / Top↑
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