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 列車が行ってしまうと、次の列車がくるまでに三十分から一時間の時間待ちとなる。真夏の炎天下での時間待ちは、ただただ暑いだけだ。目の前に海が広がっていても、泳ぎに行く時間はない。高さが四十一メートルの鉄橋のすぐ横にある駅から民家のあるところまでは、くねくねの山道を降りるのに十分近くかかり、登るのにはそれ以上かかる。海に行っている間に次の列車が来てしまう。海水浴が目的でここへ来たのではない、鉄橋を走る列車を見て、写真に撮って、鉄道研究会の活動としてきているのだ。

 時間待ちをしている間に、列車の最後尾のデッキにいる時よりも危険な体験をすることができた?してしまった?

「あと一時間はなんの列車も来いひんから、鉄橋を渡ってみいひんか」
「よし、行ってみよ」
 線路の枕木部分より五十センチほど下がったところに、金網の通路がある。横は夏樹たちの背丈よりも高い位置まで金網の壁が立っている。もちろん、保線用である。足元は四十一メートル下の、家や道路、田んぼが見える。
 あとで聞いた話では、餘部の人たちが隣の鎧へ行くのに、本数の少ない列車を待つより線路を歩いていったほうが、国道を通るより近道なのだそうだ。トンネルの中も通路があり、列車が着た時のための退避用の横穴も、数十メートルおきにあるようだ。

 足元から下が丸見え状態での歩行は、少々ビビリながらではあるが、海からの爽やかな風を受けて、三人はようやく鎧駅側のトンネルに着いた。こちら側から山を降りる道はないから、来た金網の通路をまた戻るしかない。
 ちょうど鉄橋の中間地点あたりだろうか『ピィーー』と警笛が聞こえてきた。鎧駅側のトンネルを入る合図の警笛だ。
「おいおい、あと三十分は来ないはずやなかったんか」
「あっ、貨物やで、きっと」
「また、貨物か。走ったって駅までは辿り着けへんで」
「しゃあない、この壁にへばりついて、通り過ぎるのを待つしかないなあ」
 やがて貨物列車はトンネルを出る合図の警笛を鳴らし鉄橋に入ってきた。駅には止まらないが、鉄橋上は徐行して走る。とはいえ地上四十一メートルの金網の通路の上、巾は一メートル少々、壁にへばりついても目の前に車輪が通過していく。




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2008.07.09 / Top↑
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