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 夏樹はモジャヒゲ男の話を聞きながら、スウェットのズボンのポケットから煙草を出し、潰れた紙の外箱に開けられた穴に指を入れて、一本の煙草を取り出した。少し曲がった煙草が最後の一本だった。空となった外箱を両手でギュッと捻じり、近くにあったゴミ箱に投げ入れた。
「ナイ、シュート」
 モジャヒゲ男がそう言うと三回だけ素早く手を叩いた。
「おぅ、入ったやんか。ご声援おぉきにぃ、ありがとさんです」
 夏樹は少し微笑んで、親指を上に立てて前に突き出した。
「夏樹さんは、いつまで北海道に居るんですか」
「いつまでって、今日、フェリーで小樽に着いて、明日は小樽まで戻って、あさっての朝のフェリーに乗って帰るんや。そやから北海道に五十二時間ぐらいしか居られへんなあ」
「ええっ、たったの三日だけなんですか、せっかくここまで来たのに、二泊して帰っちゃうんですか、なんとももったいない」
 モジャヒゲ男はそのモジャモジャのヒゲを右手で二回なでた。
「そやかて、しゃあないやんか、それが社会人の現実ちゅもんや。それでも五日間の盆休みをフル活用をして、やっとここまで来たんやから。ギリギリのスケジュールなんやで」
 夏樹は右手の指に挟んだ煙草を口に運び、煙を大きく吸い込み、そして大きく吐き出した。
「働くようになったら、給料を貰ってお金があるから、ゆっくりと旅ができると思っていたけど、時間がないから、じっくりと旅を楽しむことはできひんのやねえ」
 またモジャモジャのヒゲを右手で二回なでた。
「大学生は、時間はあるけど、お金がないのやろ」
「ええっ、何でわかるんですか、俺に金が無いことを」
 今度はモジャモジャのヒゲを左手で二回なでた。
 


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2010.12.29 / Top↑
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