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「あっ、はい、七時からです」
 今まで何もなかったかのように、モジャヒゲ男は一人のスタッフの顔になり、朝食の時間を教えた。夏樹のその場を繕うために、とっさに思いついた粗末な言葉が、それなりに功を奏したようで、松井もモジャヒゲ男の左腕を離し、椅子に座った。
「さっき自分は偶然、ここで彼女に逢ったって言うてたけど、ほんまは追いかけて来たんとちゃうの」
 なぜかおさまったものを、元に戻すようなことを夏樹は聞いてしまった。
「ヨッちゃん、そうなんか、追いかけて来たんか」
 松井は今までとは違い、やさしく、柔らかい話し方で言った。
「いいえ、違いますよ、松井さんが北海道に向かっているのは知ってましたけど、北海道のどこに居るのかは分かりませんでしたから」
モジャヒゲ男は少し途惑った表情になり、話し方に元気がなくなった。現在と違い携帯電話など無かったころの話だ、そう簡単には居場所を突き止めて追いかけることは、ほとんど不可能だ。
「なんや、違うんや」
 松井の表情は寂びしそうだった。さっきまでの荒っぽい元気は、完全に影を潜めた。
「松井さんに逢えたらいいなあ、とは思ってましたけど、こんなに早く逢えるやなんて、やっぱり僕たちには何かかが纏(まと)わりついて繋がっているんやわ」
「纏わりつくって、ちょっと表現が違うんとちゃうか」
 夏樹はモジャヒゲ男の右肩を軽く叩き、つっこみを入れた。そして、三人はユースホステルの食堂全体に大きな笑い声を響きわたらせた。その後も就寝時間まで、三人は他愛のない話に興じた。



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2011.01.27 / Top↑
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