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「夏樹、今度の日曜日に俺んちに、来いひんか」
 飛沢からの電話がかかってきた。
「新しいレコードを買ってきたんや、聞きに来いよ」
「あぁ、ええよ。昼から行くわ」
 飛沢は洋楽を中心にレコードを買ったり、友達から借りたりしては、夏樹に声を掛けて、飛沢の家の親父さんのステレオで鑑賞会を開いた。いつも二人だけだった。夏樹が気に入るとテープに録音してくれた。

 夏樹も近くの電気店で安いラジカセが売りに出ていたのを、妹と折半でようやく手に入れた。買うのに出した金額は折半でも、八割がたは夏樹が使っていた。正直なところ、妹はあまり音楽に興味はなかったようだが、夏樹にはお金がなかったし、父親には買ってもらえるわけも無く、妹を説得して半分の金額を出させたのであった。
 そのラジカセで、毎日、何回もテープを聴いていた。
 
 こうやって音楽鑑賞会を開きながら、サイクリング同好会の打ち合わせも行う。通う高校が違うのに、二人はこうして集まっては親交を深めていった。だからと言ってそれぞれの通う高校には、それなりに友達はいた。特に飛沢はいままで以上に友達作りに精を出していたようだ。いや、自然と飛沢の周りに人が集まり、なんとなく友達が増えていったと言うほうが、正しいのかもしれない。
 飛沢の家に行っての会話の中には、彼が通う高校での友達の話も多く聞かれた。レコードもその友達たちから借りてきていた。

「今日は、オリビア・ニュートン・ジョンや」
高い音の声、なめらかなで心地良いメロディーを聞き、いつものように詩の内容は二の次、耳に入ってくる音を何も考えずに、単純に楽しむ。そして気に入るとテープに録音して、また毎日、何回も聞き返すのである。
「なんや知らんけど、えぇ曲やなあ」
「そやろ、おれも気に入ってる」
「また、テープに録ってもうてもええかあ」
「ええよ」
「そしたら、すぐに持ってくるは、こないだ買うたのがあるや」

 レコードだけでは飽き足らず、FMラジオでエアチェックしたテープも聞きあさっては、見識を広げ、番組表が載っている雑誌を買って、アーティストの特集を録音して、テープのコレクションを増やしていった。全てが飛沢のおかげである。
 アルバイトで稼いだお金でアンプとチューナーを買うまでは(スピーカーは夏樹の六歳年上の従兄弟から貰う約束をしていた)、ずっと飛沢が録音してくれた。
 感謝、感謝である。


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2008.07.22 / Top↑
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