上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- / Top↑
「夏樹、おまえKさんのとこに行ったことあるかあ。ちょっと頼みがあるんや」
 昼休みが終わり工場へ向かう夏樹を次長が呼び止めた。Kさんとは得意先の会社のことだ。
「行ったことはないですけど、場所を聞いたら分かると思います、たぶん」
「そしたら地図を書いてやるから、この書類を届けてくれへんか。急ぎなんや」
「ええ、おれがですか」
「今の時間は渋滞が多いやろ、車で行くと間に合わんかもしれんやろ、お前のバイクで行ってもらえると渋滞なんか関係ないやろ」
「はあ、わかりました」
「頼むわ」
 夏樹はあまり乗り気ではなかった。いつも工場で仕事をしている時に得意先の人が来ると、変な緊張感に襲われてしまう。それなのに、その得意先へ書類を届けに行くなんて、それも一人で、行く前から緊張してきた。
 書類と簡単な地図が書かれた紙を受け取ったその時だった、事務の女の人の声が社内スピーカーから聞こえてきた。
「夏樹君、電話です。夏樹君、電話です」
 仕事時間中に夏樹へ電話がかかってくることなど今までになかった。営業職ではないのだから、仕事関係の人から電話が来ることなどありえない。
「誰からやろ、こんな時間に」
 工場の隅に置かれた机の上の電話へ向かい、受話器をとった。聞き覚えのある女の人の声が聞こえてきた。
「夏樹君」
「はい、そうです。あれ、飛沢のお母さんとちゃいますか」
「久しぶりやね、急に会社へ電話かけてごめんね、仕事中だったでしょ」
「いえ、大丈夫ですよ。どうしたんですか」
「今から言うことを落ち着いて聞いてね」
 飛沢の家に遊びに行っていたころの、お母さんの雰囲気とは明らかに違った、とても切羽つまったような、緊張感のある話しかただった。
「はい」
「びっくりせんといね、トシキが、トシキがね死んだの」




・拙い文章を読んでいただき、ありがとうございます。

にほんブログ村 旅行ブログへ にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ

・ 応援いただき、ありがとうございます。


          下記URLにて、鉄道模型ブログも公開を始めました。
          そちらへもお立ち寄り下さい
             ⇒翼芭里鉄道建設記録





スポンサーサイト
2011.10.18 / Top↑
Secret

TrackBackURL
→http://suzukaze930.blog19.fc2.com/tb.php/471-21eb33c8

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。